【スマートアクセスキー - 最先端技術】 スマートデバイス統合アクセスソリューション エンジニアストーリー
コンチネンタルでは、自動運転やコネクテッド分野における様々な先進技術を開発しています。その中の一つに、スマートフォンを活用して車両を開錠したり、他の人と車両キーを共有することができる、スマートデバイス統合アクセスソリューション ” CoSmA (Continental Smartphone based Access)“ があります。このソリューション開発に携わった3名の社員にそれぞれの経験や思いを語ってもらいました。
(2021年7月現在)
Tao A. (写真左)
早稲田大学大学院を修了後、2017年にコンチネンタル・ジャパンへJ.DRIVE2017として入社。現在はシステムエンジニアとして、デジタルキーのプロジェクトを担当。
Yukinobu M. (写真中央)
早稲田大学大学院を修了後、2017年にコンチネンタル・ジャパンへJ.DRIVE2017として入社。現在はシステムエンジニアとして、デジタルキーのプロジェクトを担当。
Yasuhiro Y. (写真右)
大学院修了後、日系大手電機メーカーで通信技術や映像配信技術のシステムエンジニアとして従事。コンチネンタル・ジャパンでは現在、テレマティックスユニットの要件管理と、セキュリティに関する業務を担当。
Q1. コンチネンタル・ジャパンへ入社を決めた動機やきっかけについて教えてください。
Yasuhiro Y.: 転職を検討していたときに、前職の同僚がコンチネンタル・ジャパンで働いており、ネットワーク関連の仕事を紹介してもらったことで興味を持ち、チャレンジしてみようと応募したことがきっかけです。
Tao A.: 私はソフトウェアプラットフォームに興味があり、コンチネンタルも車載ソフトウェアプラットフォーム開発をしていることを知り、興味を持ちました。大学院ではロボットを使ったソフトウェア工学を専攻しており、ソフトウェアプラットフォームの開発には関心をもっていました。
Yukinobu M.: 元々タイヤに興味がありコンチネンタルは知っていました。会社説明会などを通じて、自動運転に興味が湧き、そこからコンチネンタル・ジャパンに対して広く興味を持つようになりました。さらに、座談会での社員とのコミュニケーションを通じて働きやすい環境で自分に合っていると感じ入社することを決めました。
Q2, CoSmA(Continental Smartphone based Access)の技術概要について教えてください。
Yasuhiro Y.: 車の鍵は従来、クルマとセットになっています。その鍵が皆さんも持っているスマホになり、ユーザーにはメリットがあります。
Tao A.: 車載キーECU(Electronic Control Unit/電子制御ユニット)、サーバー、スマートフォンの三者を組み合わせたことが従来と異なります。使われている個々の要素技術はITでは既に広く使われている技術ですが、それらを組みあわせて車載向けに提供しているのは面白いポイントです。
Yukinobu M.: 私もそう思います。従来ですと、他メーカーはどれかができないところが多いと思います。たとえばサーバーが扱えない、スマートフォンは扱えないなど。そういった企業と比較すると、コンチネンタルはバランスよく進んでいると思います。
Q3. CoSmAのプロジェクト全体を通じて、最も達成感を味わったことと最も難しかったことを教えてください。
Yasuhiro Y.: コンチネンタルの中で、グローバルチームとの技術的なやり取りが最も難しかったです。。毎週1回本社のセキュリティ担当チームのエキスパート主導で実施しているオンラインのチームミーティングがあり、コンポーネントごとにシステムアーキテクチャ―担当、もしくは各チームリーダが代表して参加していました。議題は通常、開発過程や実装上の技術的な課題を話し合うのですが、日本側からも私が参加して、対応方針に意見を述べたり、一緒に仕様作成をしました。このやりとりはプロジェクト期間の約2年間続いたのですが、この期間にて積み上げられ吸収した知識やノウハウは非常に大切なもので、お互いに知恵を絞りあって結果を出していったときの喜びは大きかったですね。
設計思想についてはよく考えられていました。よく考えられていただけに、お客さまにとっては分かりにくいものもありました。開発した人間の思いと利用者側の思いを一致させることが最も大変でした。
Yukinobu M.: 私が達成感を感じたのは、お客さまの質問や要求に対してこちらから回答や提案をする際、お客さまの仕様整合がしっかりとでき、想定していた機能が製品に乗り実装できたところですね。難しかったのは仕様整合です。実は仕様整合に時間が掛かっています。お客さまの仕様や要求に合わなかったり、こうした方がいいのではないかなどの話あって、それらを整合させるという点が大変でした。また、お客さまの要求と本社側の言い分が異なり、その点の折り合いの付け方や期待値管理が難しかったです。
Tao A.: 達成感とは少し異なりますが、CoSmA技術の注目度の高さには感慨深さを覚えましたね。SNSなどで製品のエゴサーチをしていたのですが、エンドユーザーのフィードバックはポジティブ・ネガティブなものを両方見ることがありました。そういったものを見ていると、エンドユーザーの期待値が高く、注目度が高いことはとても実感がわきました。
難しかったのは文化的な考え方の違い、製造業とモバイルのカルチャーの違いという点でしょうか。製造業では開発する製品を一度で完璧なものを作ろうとする傾向にありますが、モバイル業界はどんどんアップデートしていく志向があるので、このギャップを埋めるのに今も苦しんでいますね。
Yukinobu M.: 完成車メーカー主導の自動車業界、モバイル業界のいずれかの産業が強引に各産業のカルチャーを押し通すことは無理なので、コンチネンタルのようなサプライヤーがその間に入って牽引していくことが大事だと思います。
スマホは多岐に渡り、それぞれにスペックが異なるので対応するのは難しく、また、お客さまの満足感を得るための機能を技術で現実化させるかも難しいところでしたね。毎年運用テストも行い、どこまでカバーできているのかテストもしています。
Q4. CoSmAの胆としてセキュリティが挙げられるかと思いますが、コンチネンタルがセキュリティという面において自動車メーカーに提供できるものは何でしょうか?
Tao A.: エンドユーザーの本当のニーズと対象製品の使用状況を把握して、市場へ技術提供していくことがサプライヤーに求められることですね。セキュリティは機密性や可用性など何か一つでも欠けると不完全なものとなってしまうのですが、すべてカバーできるのがコンチネンタルの強みです。
Yasuhiro Y.: まず、セキュリティ技術は現在の暗号強度で十分とされるレベル、NIST(National Institute of Standards and Technology 米国国立標準技術研究所)で定義されているレベルの暗号に準拠して使用しています。車載ECUにおける鍵の管理は、耐タンパー性が十分であるセキュリティチップを使用して堅牢につくられています。
CoSmAを実現するためには、BLE(Bluetooth Low Energy), NFC(Near Field Communication)、 4G通信技術、さらにはスマホ、バックエンドのセキュリティ技術が必要です。車載・スマホアプリ・バックエンドを包括して提供できるのがコンチネンタルの強みだと思っています。
Q5. CoSmAのプロジェクト経験を通じて、若手エンジニアという立場での学びを教えてください。
Yukinobu M.: お客さまの要求をより具体的に詳しく聞いて、理解して、余分な出戻り作業をなくすことはお客さまへ価値を提供する上で大切なことだと学びました。
Tao A.: Yukinobu M.の意見は、私もとても共感します。それに加えて、お客さまにどんなことを質問されても自信をもってアウトプットできるよう、常に勉強し情報収集しておくことも重要だと思いました。
Q6. 学生へのメッセージをおねがいします。
Tao A.: 自動車業界には機械系の人が多い印象があると思いますが、情報系の人にも来てほしいですね。情報系の人たちは製造業での活躍する姿をあまりイメージできないかもしれませんが、今の車には様々なソフトウェア技術が多岐にわたって活用されていますので、人財として活躍できる場は多いと思います。
Yasuhiro Y.: 私は通信・セキュリティを専門にしていますが、他にも様々な専門性を持った人たちが世界中にいます。コンチネンタルにはそのような人たちとコミュニケーションをとれる人的ネットワークがありますので、そのような環境に魅力を感じる人にとっては活躍の場があると思います。
Yukinobu M.: コンチネンタル・ジャパンは若手の力を伸ばしてくれる会社だと思います。主要プロジェクトの前線で働かせてもらえるチャンスもあるので、新卒入社の方にとってもよい環境があると思います。
今後実施される説明会やインターン、座談会へ参加して、コンチネンタル・ジャパンで働いている人の雰囲気や働き方を感じ取ってほしいですね。