【自動運転 - 最先端技術 Vol.2】 自動運転車両公道走行テストの全体像

コンチネンタル・ジャパンは、内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 自動運転(システムとサービスの拡張)」の東京臨海部実証実験に参加し、乗用車タイプと近未来の完全無人運転車両を想定したバスタイプの試験車両の計2台の車両を使って臨海副都心地域の一般道で自動運転技術や、将来的な検討課題の検証を行いました。プロジェクトメンバーは経験豊富なシニアエンジニアのみならず、若手エンジニアも参加しており、コンチネンタルの多くのエンジニアたちの世界レベルでのチームワークがプロジェクトの成功をもたらしました。

前回掲載した「東京臨海部での自動運転車両公道走行テスト成功の軌跡」(下記リンク参照)に続き、今回は、自動運転技術開発チームのリーダーであり実証実験の責任者を務めたYoshitomo A.と、J.DRIVEプログラムを経て自動運転技術開発チームに属しているメンバーのMitsuyasu M.に、コンチネンタル・ジャパンでのキャリアと共に当時のプロジェクト全体を振り返り、各々の想いを語ってもらいました。

  【自動運転 - 最先端技術】 東京での自動運転車両公道走行テスト成功の軌跡 コンチネンタルでは、グローバル市場にて次世代モビリティ実現のために様々なバックグランドを持つエンジニアが活躍しています。次世代モビリティ技術が実際の車両に搭載され、多くのドライバーが正しくそれらの技術を活用できるようにするためには、多くのプロセスを必要としますが、自動運転技術といった新たなコンセプトにおいては、車両の外にいる他の交通参加者への影響なども考慮しながら各国の道路環境状況に適したシステムを開発することが求められます。国内では、自治体の自動運転実証実験プロジェクトへの参加機会などを活用しながら試験車両による公道走行テストを行っています。今回は、J.DRIVEプログラムを経て自動運転技術開発に携わっているエンジニアを含め、自動運転技術開発チームにて活躍するエンジニア4名に最近まで行っていた公道走行テストに関するストーリ—を取材してきましたので、将来的に自動運転技術に関わっていきたい学生の皆さんだけではなく、その最先端技術に関心をお持ちの方にはぜひお読みいただきたいコンテンツです! 理系女子のWEBメディアRIKEJOCAFE

(2021年6月中旬現在)


Yoshitomo A. (写真左)

自動車メーカーでのキャリアを経て、2015年にコンチネンタル・ジャパンに入社。現在は、先行技術開発本部にて、次世代情報技術と自動運転技術開発プロジェクトの統括者として、自動運転技術開発チームのリーダ―を務める。

Mitsuyasu M. (写真右)

電気通信大学大学院を修了後、2017年にコンチネンタル・ジャパンへJ.DRIVE2017として入社。現在は、システムエンジニアとして車内モニタリングシステムのプロジェクトを担当。


Q1. 入社理由、日々の業務上でのお互いの関係、各々の主な役割などを教えてください。

Yoshitomo A.: 前職でドイツに1年ほど赴任した経験があり、自分にとってドイツ企業は身近な存在であり、魅力的に感じたことがきっかけでコンチネンタルへの転職を決めました。現在は、近未来の無人運転を目指した自動運転車両プロジェクトや自動運転の実証実験プロジェクトを管理しつつ、自動運転技術開発チームのリーダ―を務めています。

Mitsuyasu M.: 私は元々自動車業界への就職を志望しており、就活サイトでコンチネンタル・ジャパンのこと見かけ、説明会に参加しました。J.DRIVEプログラムの一環で浜北工場へ仮配属となった時、製品を作る製造プロセスを体験したのですが、次は製品のコンセプト設計や開発計画の流れを理解したいと希望した結果、今のチームへの配属が決まりました。自動運転技術開発チームでは、先行開発を進めていくにあたり、コンセプト設計、提案、デモなどの一連の流れをプロジェクトとして行っています。上長であるYoshitomo A.とは、日々の業務の進捗状況や解決した技術的課題などを報告し、次にどのような行動をとるべきか確認しています。

Yoshitomo A.: Mitsuyasu M.との日々のやりとりのなかで、私も新たな発見や多くのことを得ることができるようになりましたので、非常に助かっています。彼は業務上での相談、報告、時には議論をする内容のレベルが高くなってきており、そういったやり取りより日々の成長を感じることが出来ています。


Q2. SIPへの参加目的や具体的なプロジェクト内容について教えてください。

Yoshitomo A: 国内では、政府主導の自動運転関連実証実験が行われており、重要な国家プロジェクトとして進んでいるプロジェクトがいくつもあります。今回私たちが参加したSIPもそのうちの一つで、コンチネンタル・ジャパンは、約5年前からSIP内で実施されている大規模な実証実験に参加しています。コンチネンタルは、日本国内の自動車部品サプライヤーとしては初めて高速道路にて自動運転車両実証実験を行いましたが、今回、国内の一般道路にて初めて実証実験を行うにあたり、このプロジェクトへの参加の目的は3つありました。

まず、東京臨海部での実証実験では信号情報を使った自動走行の実現です。具体的には、実験を行った東京臨海部(青海地区)の信号機情報(青、赤、黄色の灯火と各灯火の残秒時間)を自動運転車両に配信し、車両はその信号情報を認識して、安全かつシステム上での問題なく自動運転走行できるかどうかを検証します。

次に、Seamless Urban Mobilityというコンチネンタルが提唱する自動運転コンセプトを日本の公道で実現し、それを世の中に広く知ってもらうことです。

最後に、これら一連の開発を通じてコンチネンタル・ジャパンの技術力の向上を図るとともに、得られた実験結果と共にコンチネンタルグローバルの自動運転技術開発へ貢献することです。コンチネンタルは、グローバルで各国の技術要件や実証実験結果から得られたデータや発見を今後の製品開発に活かしており、そのために、日本の交通環境に適した自動運転システムを実現できるか検証し、その結果を得ることも参加目的の一つでした。

Mitsuyasu M.: 私はこのプロジェクトにおいて、車内状態をカメラでモニタリングするシステムの実証に携わっていました。技術そのものは元々シンガポールで骨組みが作られていましたが、日本の公道向けに作られたものではなく、かつ屋外環境へ適応できるシステムが組まれていなかったので、それらをこの実証用に調整する必要がありました。シミュレーションでは上手くいっていることでも、実際に車両を動かして初めて分かる課題がたくさんあるということに改めて気付かされました。また、正確なデータを取得するためにテストを進めるには、各工程のタイムマネジメントへも細心の注意が必要でした。

Yoshitomo A.: とはいえ、Mitsuyasu M.が担当していた車内モニタリングシステムの開発と実証では大きな問題は起きていなかったので、彼がシンガポールと日本の各拠点のエンジニアたちを取りまとめてシステム調整をしてくれた成果だと思っています。日本で自動運転技術の開発がスタートして約6年になります。彼やその他のチームメンバーは、今まで誰もやっていないことを率先的に挑戦し、その道中では予期せぬ課題に面することもありましたが、ドイツ-フランクフルトやシンガポールなどのグローバル拠点と密に連携とり各技術的課題を解決しているのは素晴らしいことだと思っています。

コンチネンタル・ジャパンとして、今後予定されているSIPの実験へは引き続き参加していく予定です。現在想定されている自動運転車両では、万が一に備えて運転責任を担うドライバーが搭乗していますので、この責任を軽減するための技術開発を行っていきたいと考えています。



Q3. コンチネンタルで実現していきたいことや今後の目標について教えてください。

Mitsuyasu M.: 将来的には、多くのドライバーに、車を運転することが更に楽しく、快適に感じてもらえるような革新的なシステム開発を実現していたいと思っています。従来の楽しく快適な車のコンセプトは、ドライバーと車両の協調を主眼に置き、ドライバーのドライビング操作(アクセル、ハンドル操作など)を忠実に車両挙動で再現することで実現されてきました。今後は、ドライビング操作の予測や道路環境状況に適したサポートすることで、ドライバーの能力を最大限に引き出すことが出来るシステムを作りたいと思っています。また、ドライバーをいかに快適にさせられるかもとても大事な課題だと考えています。そのためには、車両自体がドライバーを学習し、搭載されたシステムが車両を最も効果的に動かすことが出来るシステムを開発していきたいと考えています。

Yoshitomo A.: 将来的にはグローバルビジネスの中で、コンチネンタル・ジャパンが多くの最先端自動車技術開発をリード出来るようにしていきたいと思っています。私たちは、日本の自動車メーカーとの密な連携を行なえる環境にいますので、それらを活用して世界各国から高い技術レベルを持つ拠点であると注目されるようにしていきたいと考えています。

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