「化学の未来を創る現場から」— 三菱ケミカル社員に聞く、技術職の魅力とやりがい
三菱ケミカル株式会社は、機能商品とケミカルズという二つの事業分野を通じて、新しい価値を創造するグローバル企業です。「KAITEKI」の理念のもと、持続可能な社会の実現に向けて、革新的な技術とソリューションを提供しています。
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その現場で活躍する社員たちは、日々どのような課題に向き合い、どのような思いで仕事に取り組んでいるのでしょうか?今回、学生たちがインタビューを通じて、技術職の魅力、そしてキャリアに対する思いを深掘りしました。
写真左から:
・坂江さん
入社3年目、福岡事業所勤務
大学時代の専攻:化学システム工学専攻
・今古川さん
入社12年目、岡山事業所勤務、マネージャー
大学時代の専攻:化学生命・化学工学
大学院時代の専攻:応用化学工学(反応工学)
総合化学メーカーでの多様な業務とスケールアップの魅力
――現在、どのようなお仕事をされていますか?
坂江さん:トウモロコシなどの植物由来の原料を使ったプラスチックの製造に関わっています。具体的な業務内容としては、月次でお金の換算(水道や電気などのコストの集計)や報告を行うほか、プラントが稼働中には製品の品質を確保するための管理も行っています。毎時間、研究開発の分析データやプラントの圧力データなどを見比べながら、お客様が求める品質に合うよう細かい調整を行い、運転員の方に条件の変更や継続の指示を出しています。
こうした一連の流れで製品が売れて利益が出ていることを、製造にいるからこそ全体として見られる点が面白いです。
今古川さん:ケミカルエンジニアとして、研究開発で作られたラボスケールの製品を実際のプラントで量産化するためのスケールアップを担当しています。研究開発段階で作られた数十gや数百gの製品を、数百t/Y、数千t/T単位にまで拡大するプロセスを構築し、スケールアップの過程で発生する機械的・反応的・制御的・品質的・安全的な課題 や法的制約についてもクリアしていくのが私の役割です。1つの製品を一貫して担当するので、製品が大きくなるところを見られるのが、この仕事の魅力です。
――大学での研究内容は現在の仕事にどのように活かされていますか?
坂江さん:大学では、火薬の熱に対する危険性評価を研究していました。現在の職場でも、工場の配管や装置を更新する際や、新しい物質を使用する際に危険性評価を行うため、大学で学んだ評価手法と知識が役立っています。内容をスムーズに理解し、安心して実務に取り組めることに繋がっています。
今古川さん:大学ではイオン交換樹脂を使った反応速度解析研究を行っていましたが、今の仕事では異なる材料を扱っています。それでも、実験計画を立てて評価するステップや、データ分析の考え方、そして基礎知識は今も仕事に活かされています。
面接官との相性と会社の雰囲気が決め手に
――就活生のとき、どのような基準で三菱ケミカルを選びましたか?
今古川さん:化学が好きだったので、総合化学メーカーに入りたいと考えていました。将来的には一つの職種だけでなく、研究開発 、製造、システム工学、知財や特許など、さまざまな分野でキャリアを築きたいと思っていたので、総合化学メーカーなら幅広い経験が積めると思ったからです。
就職活動中は、「どの企業が自分に合うのか」と悩むことが多かったですね。
そんな中で、最も決め手となったのは、面接で感じた“人との相性”でした。
三菱ケミカルを選んだ理由の一つは、面接の場で出会った人事や製造、知財、技術担当の方々の人柄や、接し方に非常に好感を持てたことです。例えば、面談での言葉のニュアンスや対応から、その会社で働く人々がどんな文化を持っているかが垣間見えると思います。将来一緒に働く人たちが自分に合うと感じたことで、三菱ケミカルに進む決意ができました。
坂江さん:化学を勉強していたため、そこで得た知識を活かしてモノづくりに携わりたいと考えていました。三菱ケミカルは化学会社の中でも多くの製品を扱っており、さらに研究しながら、ワークライフバランスの取れた生活が実現できそうだと思い、志望しました。
三菱ケミカルでは製造や知財担当の方も含め、複数人での面接があり、いろんな方とお話しする中で、自然と『話しやすい』『マッチしている』と感じたことが決め手でした。
失敗から学び、プロフェッショナルへと成長する
――仕事で失敗した経験や苦労した経験はありますか?
坂江さん:本配属前の実習期間中、消防設備の点検作業で誤操作をしてしまい、隣の工場に泥水を降らせてしまったことがあります。また、月次作業では、計算のミスで数千万円もの誤差を出してしまいました。しかし、上司や先輩方からは叱られることはありませんでしたが、『今後同じ失敗をしないよう、対策を考えること』を求められました。確認作業を強化し、確認しやすい自動化システムの導入を検討しています。
今古川さん:製造の現場では、物を作るためにさまざまな知識が求められます。化学反応や化学工学の知識は勿論、機械装置、分析、制御、電気、法令等、幅広い分野の知識が必要になるため、特に新入社員のころは対応に苦労しました。
入社して初めて、プラントの制御システムの更新作業を任されたとき、想定外の不具合が多発しました。その際、幸いにも会社にはプロフェッショナルな専門家がいるので、その方々の助言を受けながら、何とか工事期間内に更新を完了させることができました。
この経験から、わからないことがあれば無理せず、専門家に協力を求めることの重要さを学びました。大きな失敗につながりかねない場面でも、知見を共有してもらえる環境があることは非常に心強かったです。
また、会社に入ると、「答えのない問題」を取り扱うことが多く、自分で「正解」を見つけ出し、根拠をもって理解してもらう、という仕事が圧倒的に多いです。そういった面でも、苦労も多いですが、色々な分野の専門家(味方)がいるのは心強いと感じています。
――どのようなときにやりがいを感じますか?
今古川さん:自分の検討によって数千万円や数億円の利益が出たときには、大きな達成感を感じます。また、現場の問題を化学的なアプローチで解決できたときも非常にやりがいを感じます。さらに、研究開発での基礎研究が実際にプラントで生産される様子を目にすることができるのも、この仕事の楽しさのひとつだと思います。
坂江さん:私も同じです。以前の部署では、研究開発の方々と協力してプロセスを改善し、年間で数億円の利益を上げたことがあり、数字として結果が見えると、頑張ってよかったなと思います。また、プラントの運転員の方々が困っているときに、自分たちが検討し問題を解決できたときもやりがいを感じます。運転員の方々が喜んでくれる姿を見ると、私たちの取り組みが役に立っていると実感できて、とても嬉しいです。
多様な人材が支え合う温かい職場環境
――三菱ケミカルの社風について教えてください。
坂江さん:三菱ケミカルの特徴として『人がとても優しい』と感じます。先輩や同僚も含めて、皆さん親切で、何か困ったことがあれば気軽にサポートを受けられます。社風とは少し異なるかもしれませんが、休暇やフレックス制度も柔軟に活用できる点が魅力です。朝早く出社して、夕方3時に帰るといった働き方も普通に行われていて、仕事がきちんとできていれば、自由に働けるのが特徴です。
また、豊富な知識を持った社員が多く、わからないことがあればチャットで簡単に質問できるのもありがたいです。自分が気軽に聞ける環境が整っているのは、仕事を進めやすくしてくれると感じます。
今古川さん:コミュニケーションに対して誠実で真摯な姿勢が社風として根付いていると感じます。たとえば、ちょっとした立ち話で『これはどういう意味ですか?』と聞いたとき、その場でわからなくても、後から調べた情報をまとめて教えてくれる方が多いんです。相手に丁寧に対応する姿勢を見て、自分も常にその姿勢を心がけています。
――女性として働く中で、働きづらさを感じることはありますか?
坂江さん:働きにくいと感じたことはありませんが、製造プラントにはまだ女性が少なく、整備が行き届いていない部分もあります。例えば、私が入社してから各プラントに女子トイレが整備されました。
また、工場では安全第一なので、毎朝ヘルメットをかぶって事務所まで歩いています。夏場などはヘルメットの影響で髪が崩れてしまうのが少し悩みですね。
今古川さん:放射線を扱う部署や妊婦に影響がある可能性がある物質を扱う部署には、女性の配属に配慮が必要な場合があります。そのため、妊娠中や出産を考えるタイミングでは、一時的に別の部署に異動する、同じ部署でも影響の出ない業務を任せてもらえるなどの対応もありますので、そういったサポート体制は整っていると感じます。
妊娠や育児などのライフステージに応じたサポートが充実しており、状況に応じて柔軟に対応してもらえます。女性が長期的にキャリアを積みやすい環境になってきていると感じます。
―― 研究開発では英語を使うことはありますか?もし英語を使わない場合、それを活かせる職種があれば教えてください。
今古川さん:研究開発では、海外の企業と共同開発することもあり、アメリカやブラジル、シンガポール、イギリスなど 様々な国のプロジェクトに関わることがあります。研究開発の中で、マーケティングや技術に関連する情報を海外の文献や論文から得ることが多く、特許対応を含めて外国語を使う機会は非常に多いです。また、プロジェクトによっては現地での滞在が必要となり、数ヶ月から数年の長期滞在の可能性もあります。
製造や製造技術の分野でも、海外とのやり取りがあります。例えば、海外にプラントを建設する際など、オンラインや対面でディスカッションすることもよくあります。研究開発だから英語を使わないと思われる方もいるのですが、実際には理系の中でも特に英語を使う機会が多い分野だと感じます。
坂江さん:私の所属している部署でも、海外の顧客や原料供給元とのやり取りが多く、外国語を使う機会は意外と多いと感じています。プラスチック製品を作るにあたり、海外のクライアントとオンラインで会議をしたり、必要があれば現地へ出張したりすることもあります。私の先輩は、最近中国にプラントを立ち上げるために1〜2ヶ月間現地に滞在していました。
部署によって異なりますが、希望すれば海外との接点を持つ仕事に異動することも可能です。
――工場が地方にあることが多いですが、生活が退屈に感じたり、不便に感じたりすることはありますか?
今古川さん:岡山は東京や大阪に比べると都会ではないかもしれませんが、不便に感じることはあまりありません。毎週末に大阪に行く人や、阿波踊りの練習のために徳島に行く人、香川にうどんを食べに行く人もいます。また、岡山には乗馬クラブもあり、乗馬を楽しんでいる人もいます。今の時代はオンラインでのコミュニケーションも活発なので、地方に住んでいても人との交流に困ることはありません。観光地も多く、地方の良さを生かしたライフスタイルが楽しめるのが魅力です。
坂江さん:九州事業所は北九州市にあり、駅からも近いので、車を持っていない同期も多いです。博多駅までも電車で40分ほどで行けるため、生活に不便を感じることはほとんどありません。工場によっては多少の違いがあるかもしれませんが、私のように車を持たない同期も多く、十分に便利に過ごせています。
学生時代に積んだ経験が、社会人生活をより豊かにする
――仕事を始めてから、大学時代に「やっておけばよかった」「やっておいてよかった」と思うことはありますか?
坂江さん:勉強面では、研究に真剣に取り組むことが大事だと感じます。
計画を立てて仮説を検証し、実行してフィードバックを繰り返すというサイクルは会社の仕事でも変わらないので、研究にしっかり取り組むのはおすすめですね。
娯楽面では、学生のときに長期間の休みが取れるのは貴重だと思います。三菱ケミカルでも有給はしっかり取れますが、学生時代はもっと自由にスケジュールを調整できたので、旅行などを楽しんでおくと良いですね。
今古川さん:三菱ケミカルは教育が手厚いので、入社後すぐに即戦力を求められるわけではありません。
学生さんには“基本的な知識”を幅広く学んでおくことをおすすめします。例えば、分析方法や反応速度、コスト管理など化学業界の基礎知識を浅くでも知っておけば、就職後のスタートがスムーズになると思います。
三菱ケミカルでは、もちろん長期休暇も取れる環境がありますが、やはり学生時代とは違い、タイミングや仕事の調整が必要になります。社会人になってからも充実した時間を過ごすためには、学生時代の長期休暇でできることをしっかり楽しんでおくのが良いと思います。
―― どのような能力に長けた人が求められていますか?
坂江さん:コミュニケーション能力が重要だと感じます。大きな会社なので、年齢や職種が異なる多様な人々と関わる機会が多くあります。特に製造部門では、研究開発や品質保証、事業部など多くの部署と連携する必要があるため、良好なコミュニケーションを取れる人材が求められています。
今古川さん:私もコミュニケーションの重要性は高いと思います。相手が何を考えているかを理解する“読解力”や、相手の話をしっかりと受け止める“傾聴力”など、一口にコミュニケーションといっても様々な能力がありますので、自分の得意なコミュニケーションスタイルを理解し、それを活かせると、社会人になってからスムーズに仕事を進めやすいと感じます。
また、自分の得意分野を一つ持っていると、それが仕事の自信につながると思います。入社後に学ぶことがたくさんあるので、まずは“これだけは自信がある”といえるものがあると良いですね。
まとめ
今回のインタビューを通して、三菱ケミカルの社員が持つプロフェッショナルとしての姿勢や、仕事への情熱が伝わってきました。多様な人材が支え合い、挑戦を楽しむ温かい社風があるからこそ、幅広い経験を積みながら成長できる環境が整っているのだと感じます。化学の未来を創るための第一歩として、三菱ケミカルでのキャリアを目指してみませんか。
12月には、三重県四日市市の東海事業所で、2026年卒業予定の化学・化学工学専攻の修士学生向けのイベントが開催されます。座談会も行われますので、三菱ケミカルに興味のある方はぜひご参加ください。
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