【連載】国家公務員《技術系》職員が携わる業務を紹介します① 総務省・国土交通省・防衛省
国家公務員の技術系職員が携わる業務をシリーズで特集します。
第1回⽬は、総務省の通信インフラ分野、国⼟交通省の物流分野、防衛省の施設・装備分野の業務をご紹介します。
総務省 Ministry of Internal Affairs and Communications
世界無線通信会議(WRC: World Radiocommunication Conference) は、国連の専⾨機関である国際電気通信連合がおよそ4 年に1 度開催している会合であり、電波利⽤の国際的なルール等について各国代表が集まり様々な議論が⾏われています。直近では 2019 年10⽉28⽇から11⽉22⽇までの間、エジプトでWRC-19 が開催され、163か国から約3,400名が参加し、我が国からは、総務省・⺠間事業者・研究機関などから約90 名が参加しました。
総務省では、2023 年に開催予定のWRC-23 で有意義な議論ができるよう、⽇本の考え⽅をまとめるなど準備を進めています。
「Beyond 5G」(いわゆる 6G)は、2030 年頃の導⼊が⾒込まれる5G の次の世代の携帯電話の通信規格であり、現実世界とサイバー空間の⼀体化(CPS:Cyber Physical Systems)を進展させ、LPWA 等のIoT 無線とともに、不測の事態でも⽣活や経済活動を⽀える通信インフラのコアとして期待されています。総務省では、Beyond 5G の実現に向けて、2020 年6⽉に策定した「Beyond 5G 推進戦略」に従い、研究開発の⽀援、知財の取得や標準化、5Gの展開等について、産学官の連携の下で戦略的かつ強⼒に推進します。
職員に聞く
「通信分野の最前線の現場に⽴ち会える」
無線システムのうち、LPWA やスマートメーターなど、技術基準適合証明等(いわゆる「技適」)を取得した適合表⽰無線設備であれば免許不要で使⽤できる⽐較的低出⼒な無線システムに「特定⼩電⼒無線局」があります。私の業務は、主に特定⼩電⼒無線局の技術基準を、専⾨の⽅々の意⾒を伺いながら検討し、策定する仕事です。無線技術は⽇進⽉歩で進化しており、ITU-R やIEEE SA などの標準化機関等では、常に新たな無線技術の研究・標準化が⾏われています。これらの内容をフォローしていくことは⼤変ではありますが、技術系の⼒を発揮できる分野であり、新たな技術に触れることは⾯⽩く、やり甲斐のある仕事だと感じています。
※記載された役職・業務内容は執筆時のものです。
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国⼟交通省 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
元シンガポール⾸相のリー・クアンユー⽒は、かつて「島国の経済レベルは、その国の港湾や空港のレベルを超えることはできない」と発⾔しました。⽇本は、貿易量の99.6%が港湾を、出⼊国者の98.0%が空港を通じて出⼊りする島国です。 国⼟交通省の技術系職員は、グローバルな観点から物流・⼈流を分析し、⽇本と世界をつなぐ港湾・空港の最適な整備・運営等を推進することにより、我が国の経済発展や国際競争⼒強化に貢献しています。
世界最大級コンテナ船「MSC Isabella」が入港する横浜港
年間8,500 万人(H30)が利用する羽田空港 提供:関東地方整備局東京空港整備事務所
職員に聞く
「最前線の現場から霞が関での政策⽴案・調整まで幅広く担当!」
私の所属する国⼟交通省道路局では、道路政策を推進するとともに、国道の整備・維持管理なども担っています。道路というと少し地味な印象がありますが、グローバル市場への窓⼝である空港や港湾から、地元のスーパーに⾄るまで、⼈やモノの流れをつなぎ、まさに⽇本の「⾎管」として経済を根幹から⽀えています。更に近年は激甚化する災害への対応など、とてもダイナミズムのある政策領域だと思います。また、国⼟交通省での技術系職員の活躍の場は⾮常に幅広いものとなっています。私⾃⾝も、メンテナンスの現場や、災害現場での⽀援、本省での様々な政策調整、更には海外へのインフラ展開⽀援・技術協⼒に⾄るまで、⾯⽩い仕事に数多く携わらせてもらっています。
※記載された役職・業務内容は執筆時のものです。
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防衛省 Ministry of Defense
我が国の安全保障の確保、災害派遣、国際平和協⼒活動などを通して、⽇本国⺠の⽣命と財産、そして⽇本と世界の平和を守る⾃衛隊。全国に約25 万⼈いる⾃衛官がその実⼒と技能を余すことなく発揮するため、彼らを⽀える技術があります。⾃衛隊の活動基盤である駐屯地・港湾・⾶⾏場等の「防衛施設」。⾃衛隊の精強さを担保する⾞両・艦船・航空機等の「防衛装備品」。これら「⾃衛隊を⽀えるモノ」があってこそ、⾃衛隊は役割を果たし続けられます。防衛省の技術系職員は、「技術⼒」で⽇本と世界の平和に貢献します。
災害派遣の司令塔となり救援物資が集積する駐屯地。友好国との共同訓練を終えた護衛艦が帰港する港湾。対領空侵犯措置のため戦闘機がスクランブル発進する⾶⾏場。⾃衛隊が役割を発揮するための活動基盤である「防衛施設」は安全保障を⽀えるインフラです。必要な時までに必要な施設を確実に整備する。それが施設系技官の任務です。
⾃衛隊の任務遂⾏に不可⽋である防衛装備品。厳しい財政制約の中、防衛装備品を効率的に取得する重要性が⾼まっています。装備系技官は、性能やコスト、スケジュールといった要素を総合的に勘案し、全体最適を図った防衛装備品の取得を⾏います。また、防衛産業の強化、外国との防衛装備・技術協⼒などを進め、中⻑期的な視点から、取得の安定化・効率化を図ります。
日本最西端の島に建設した与那国駐屯地
日本の上空を守るF-35
職員に聞く
「将来の我が国の安全保障を左右し得る次期戦閾機の開発プロジェクトを担当しています」
私は、2035 年に導⼊を⽬指す次期戦闘機の開発事業のメンバーとして、プロジェクトの⼀端を担っています。次期戦闘機は、⼗年単位/兆円単位という数字が⽰す事業規模もさることながら、将来の我が国の安全保障をも左右し得る装備品です。私は、この事業のスケジュール、コスト⾯を中⼼としたプロジェクト管理や開発体制の検討を⾏っています。次期戦閾機事業は、これまでにない先進的な戦い⽅を可能とする戦闘機を作り出すことに加え、この事業を通じて、産業界に⾰新をもたらし、⽇本の産業競争⼒を⾼めることも期待されており、英国・イタリアとの国際共同開発、航空機開発を根本から変えるDX(デジタル・トランスフォーメーション)導⼊検討など、常に新しいことへのチャレンジが求められています。
※記載された役職・業務内容は執筆時のものです。
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