【修士・博士課程修了者が語る国家公務員の魅力】様々なステークホルダーと協力して社会の一翼を担う
修士や博士課程を修了して国家公務員として各省庁で働く4人の職員に国家公務員の魅力について語っていただきます。
第三回は、農林水産省大臣官房政策課技術政策室技術調査班に所属し、スマート農業の実現に向けた技術開発に携わる助川さんです。
プロフィール
農林水産省 助川 洋平(Yohei Sukegawa)
所属:農林水産省大臣官房政策課技術政策室技術調査班 課長補佐
略歴:理工学部・応用生物科学 卒業 公共政策学教育部修了。平成21年4月に農林水産省に入省後、環境省水・大気環境局土壌環境課土壌モニタリング係、農林水産省大臣官房国際部国際経済課TPP/WTO交渉チームを経て米国ミネソタ大学大学院へ留学し技術経営学を学ぶ。留学後に同省同部の国際機構グループ国際専門官を務め、現職に至る。
国家公務員を志望したきっかけや理由を教えてください
学部生の時は生物学を専攻していて、基礎研究に従事していました。でも基礎研究って人の役に立つまでには10年、20年という期間で研究し続けていく必要があるんです。その中で、一つのことを追求し続ける研究者となるよりも、色々なものに携わりながら、より社会に近いところで仕事をしたいという想いが日に日に強くなっていきました。
とはいえ研究開発や技術に関してはすごく興味を持っていたので、複数の研究を支援できるような仕事を探していました。もちろん民間でいうコンサルタント職であれば、色々な分野に携わり、技術を学んで、自ら提案していけるような仕事もできるかなとは思いました。
しかし、より深くステークホルダーとして関わっていけるという点、予算や事業担当としての裁量の大きさから、国家公務員の方が強く技術開発や研究開発に携わっていけるんじゃないかと考え、今の仕事を選択しました。
大学院での研究テーマについて教えてください
大学院では農用地の転用規制というテーマで研究に従事していました。当時、農地の規模拡大が進まないのは何故だろうっていう問題意識が自分の中にあって、その理由の一つに農地の転用規制があるんじゃないかと考えたんです。農地の流動化が妨げられている理由を自分なりの視点で調査していましたね。
実は入省後に留学する機会をいただきまして、「Improving Effectiveness of Government-funded R&D Programs」というテーマで研究をしていました。留学のきっかけは入省後に携わっていた民間実用化研究促進事業というプロジェクトになるのですが、これは民間企業の技術開発を支援しながら、得られた利益の一部を国庫に納付してもらうといった事業になります。
でもこれが中々思い通りにいかず、技術開発におけるマネジメントに大きな課題を感じていました。もっと本格的に勉強したいと考えた私は留学を決め、留学先では「どういう風にR&Dをマネジメントしていけば、農林水産省の研究開発事業で良い成果が得られるか、またその成果が市場に繋がっていくか」という観点からリサーチペーパーをまとめさせていただきました。
今携わっている業務について教えてください
業務の中心はスマート農業実証プロジェクトになります。もともとのきっかけは2013年に立ち上がった「スマート農業の実現に向けた研究会」だったのですが、令和元年から本格的に実証が始まりました。これまでに研究開発プロジェクト等を通して様々な技術が開発されてきました。
例えばロボットトラクタとか、自動水管理システム、リモコン式の草刈り機などです。この開発してきた技術を実際に現場へ導入して生産者の方に使用してもらった場合、技術面の効果がどうなのか、そして経営面の効果がどうなのかを実証してもらうための事業を始めています。
現在は148地区で実証中なのですが、1年目が終わった段階の成果や進捗はどうなっていって、では2年目はどういう計画で進めていくのかといった状況を確認しながら、適宜助言して、より良い方向へ繋げていく、という業務に従事しています。
国家公務員の仕事のやりがい・魅力
社会変革の一翼を担うことが出来ることですね。例えば、今携わっているスマート農業実証プロジェクトでは、生産者、企業、大学、研究開発機関が参画する形で実証を進めているんですが、自ら起こすということではなくて、色々なステークホルダーと一緒になって、新しいことにチャレンジして、それを世の中に還元していけるっていうのはすごく魅力的なところだと感じています。
ロボットトラクタやドローン等による超省力化、各種データに基づく生産管理による収穫量・品質の向上など、21世紀の新しい農業を形作る第一歩を踏み出したところと考えていて、そこに携わることが出来たのは本当に幸運だと感じています。
また、国際交渉や環境省への出向など、本当に全く別の分野の仕事も経験することができます。こういった色々なものにチャレンジして、自分の成長が実感できるというのも国家公務員の魅力の一つだと考えています。