オックスフォード・インストゥルメンツ は、1959年、オックスフォード大学からスピンアウトした初のベンチャー企業として誕生しました。
その創業者であり技官として活躍したマーティン・ウッド氏は、超伝導マグネットの開発と製造に取り組み、その成果は医療分野のMRIの誕生につながりました。
 
オックスフォード・インストゥルメンツ は65年にわたる歴史の中で、多くの企業の買収や合併を経て、物性、元素分析、ライフサイエンス、量子コンピューティング、半導体などの分野で革新的な製品開発を推進し先端科学研究の発展に貢献しています。

本記事では、オックスフォード・インストゥルメンツ の独自の技術や製品に焦点を当て、その特徴や新たな挑戦について解説します。

オックスフォード・インストゥルメンツ ってどんな会社？

オックスフォード・インストゥルメンツ は、世界18カ国に28の拠点を展開し、約2000人の社員が技術革新の最前線で活躍しています。本社はイギリスに位置しており、アメリカやドイツなど世界各国の企業を買収合併し、グローバルに展開を続けています。
日本の拠点では、115名前後の社員が在籍しており、グローバルと連携しながら革新的な技術の開発や販売を行っています。

代表的な製品と技術

製品ラインナップには、エネルギー分散型X線分析装置や原子間力顕微鏡、高速共焦点顕微鏡、共焦点ラマン顕微鏡など、さまざまな種類の顕微鏡や卓上型NMR、希釈冷凍機、エッチング装置などがあります。

もしかすると、みなさんの大学の研究室でも見たり使ったりしたことのある製品があるかもしれませんね。

次に、これらの製品や技術がどのような分野の発展に貢献しているのか具体的に見ていきましょう。

量子コンピュータ開発

量子コンピュータは従来のスーパーコンピュータよりも高速であり、特に新規材料開発や創薬など、複雑な問題の解決において大きな進歩をもたらすことが期待されています。
 
オックスフォード・インストゥルメンツ は、初期段階の量子ビットの研究開発と商用量子コンピューティングソリューションに向けたスケールアップの両方に必要な高度な希釈冷凍機システムを提供しています。

また、量子コンピュータの安定した動作と性能向上には量子ビットの回路設計が重要で、光学顕微鏡で回路をみると、回路の中心部に向かってマイクロ波を通すための導波路（伝送線）があることがわかります。
この導波路の表面の原子間力顕微鏡でわかる程度の微細な凹凸は、マイクロ波の伝送ロスに大きく影響します。エッチング処理を行い、滑らかにすることで、コンピュータのエラーの原因となる伝送ロスを減らすことが可能となります。

ライフサイエンス・ヘルスケア

がんや認知症などの疾患に対する研究や不妊治療において、顕微鏡技術が重要な役割を果たしています。

例えば、不妊治療において、受精卵の品質を評価することは非常に重要です。共焦点顕微鏡は、受精卵の内部構造や染色体の配置を非常に高い解像度で観察できます。これにより、不妊治療において重要な卵子の老化や受精卵からの詳細な成長メカニズムの解明など、基礎的で重要な知見が得られます。

また、化粧品原料や美容液などの研究において、皮膚への浸透性や化粧品の効果を評価するために、ラマン顕微鏡が活用されます。ラマン顕微鏡は、分子の結合状態や振動状態をカラーで表示し、それぞれ異なる色で表示されます。この技術は共焦点顕微鏡と組み合わされ、皮膚表面から数十ミクロン上の液体中の成分の分布を調査できます。

カーボンニュートラルな社会を目指す

カーボンニュートラルな社会の実現のために、リチウムイオン電池やパワー半導体、風力発電などの研究開発にもオックスフォード・インストゥルメンツ の製品が使用されています。
リチウムイオン電池の開発にも、電池内部の機能や特性の調査にラマン顕微鏡が重要な役割を果たしています。電子顕微鏡では見分けることが難しい、機能していない部分をカラーで見分けることができます。

このように、量子コンピュータ、半導体技術、ライフサイエンス、エネルギー分野など、さまざまな領域でオックスフォード・インストゥルメンツ の製品が革新的な貢献をしています。そして、現代社会のさまざまな課題に対する解決策を提供し、未来の技術革新を支えています。

日本拠点の役割と仕事内容

オックスフォード・インストゥルメンツ の製品・技術の研究開発拠点は海外にあります。日本では、海外から製品を輸入し、日本のお客様の使用用途や要望に応じて製品のカスタマイズ・販売・アフターサービスを行っています。

顧客は主に大学などの研究機関や企業の研究開発所になるため、担当する社員には理系の知識が必要です。輸入した製品をそのまま納品するのではなく、顧客の研究者や開発者とコミュニケーションをとりながら、製品のアプリケーション開発やカスタマイズ、技術トレーニングやサポートを行っています。

そのため、製品の知識や技術を深く理解する必要があります。そこで、新入社員はまず、フィールドサービスエンジニアとして経験を積みます。その後、自分の興味やスキルに応じて、サービスエンジニア 、営業、アプケーションエンジニアへと他の領域にキャリアを広げることが可能です。

様々な教育システムや研修が整っており、たとえ、大学での専門分野が違っていても、大学・大学院での研究経験がとても活かせる職種であり、やりがいのある仕事です。

パーパスと多様性を掲げた企業文化

オックスフォード・インストゥルメンツ は、その活動の基盤として「Greener」「Healthier」「More connected」「Advanced」という四つの指標を掲げています。これらは、カーボンニュートラルの実現や医療分野への貢献、半導体技術の推進、科学研究の発展に焦点を当てたものです。
このパーパスに基づき、オックスフォード・インストゥルメンツ は四つの価値観を大切にしています。

Inclusive 多様性の尊重

多様性を強みと捉え、あらゆる違いを尊重する姿勢を示しています。

Innovative常に革新の精神

最先端の科学技術を追求し、常に進化し続けることを重視しています。

Trusted 信頼

信頼関係を築きながら業務を進め、社内外の関係性を大切にしています。

Purposeful 目的意識

明確な目標を持ち、その達成に向けて努力することを意味しています。

このようなカルチャーを築くため、オックスフォード・インストゥルメンツ はLGBTQや人種、障害、ジェンダーなど、さまざまな違いを尊重し、それを強みとしています。

これらの取り組みは、オックスフォード・インストゥルメンツ の魅力の一つであり、多様性と包括性を重視する企業文化は科学技術の進歩にも貢献しています。

この記事で理系の知識や大学・大学院での研究経験が活かせる魅力的な仕事があることがおわかりいただけたでしょうか。
オックスフォード・インストゥルメンツ では新卒採用・中途採用を実施しております。
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