INPEX地質技術者の阿部さんにインタビュー!欧州・中東地域のプロジェクトやアブダビへの長期出張、水素・CCUS事業について聞いてみました!
INPEXは、世界でプロジェクトを展開する日本最大級の総合エネルギー開発企業です。
今後も増加すると見込まれている世界のエネルギー需要に応えるため、多様なエネルギーをよりクリーンな形で、安定的かつ効率的に供給しています。また、ネットゼロカーボン社会の実現に貢献すべく、エネルギー構造の変革に積極的に取り組み、再生可能エネルギーや水素エネルギー、カーボンリサイクルによる低炭素化事業も強く加速させています。
エネルギーの安定供給とネットゼロカーボン社会の実現の両立に向け、INPEXでは女性男性問わず様々な専攻やバックグラウンドを持つ社員が活躍しています。
今回は、INPEXで地質技術者として働く阿部さんにインタビューしました!
自己紹介・仕事紹介をお願いします。
INPEXで地質技術者として働いております阿部杏菜と申します。2017年に技術総合職として入社し、現在は水素・CCUS事業開発本部に所属しています。
大学・大学院では地球科学を学び、顕微鏡で観察する微小な化石「微化石」を研究していました。
入社後はまず約1年間の新入社員研修を経て、欧州・中東地域のプロジェクトに地質技術者として約5年間携わり、その後は国内掘削現場での坑井地質研修、アブダビの国営石油会社での長期出張などを経験してきました。現在は本社にて国内のCCUS事業や実証試験に関する地質評価に従事しています。
地質技術者の業務は、探鉱・評価フェーズのプロジェクトでは坑井掘削時のモニタリングおよび地下評価、地震探査データ解釈、埋蔵量評価等が挙げられます。
生産・開発フェーズのプロジェクトでは、生産量の管理および予測が非常に重要となり、生産・油層技術者と協同してシミュレーション作業を行います。
既存プロジェクトを管理する部署では各専門が1-2名ずつプロジェクトの担当となり業務を行うため、地質の知識だけではなく幅広い理解が求められ、プロジェクト進行に必要な作業計画や予算策定などの知見も得られます。
また、掘削現場では坑井地質係として掘進中の地質を観察・モニタリングして、掘削リスクや油・ガスの兆候を見逃さないことが求められます。
国内掘削現場にて
やりがいを実感した出来事・瞬間についてお聞かせください。
2023年の5月から半年ほどアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADNOC Offshore)にて勤務をしていました。コロナ禍で海外出張の頻度は減り、約3年ぶりの長期出張でした。
アブダビ国営石油ではLower Zakum油田のReservoir Management Teamに所属し、Operation Petrophysicistとして坑井掘削中のデータ取得計画の作成、取得中のモニタリング、油層性状評価を行いました。
全く日本語が通じない環境でUAEローカル、インド、パキスタン、カザフスタン等様々な国籍の同僚と働くことは、最初はとても困難に感じていましたが、女性の同僚たちと友だちになれたことで、コミュニケーションは円滑になり、彼らの文化や考え方を知るきっかけにもなりました。
業務はこれまでの下積みが功を奏し、仕事ぶりと成果を高く評価してもらうに至りました。自分の提案したデータ取得計画が承認され、掘削に至る経験は決して多くない機会であり、やりがいを実感することができました
LZ Petrophysicistチーム
ADNOCコア倉庫にてコア観察
アブダビ長期出張時の生活について教えてください。
2023年5月から半年ほど滞在したUAEのアブダビでは初めての経験が盛りだくさんでした。
UAEでは同性同士の結びつきが非常に強く、姉妹のように接してくれる同僚たちに恵まれました
特に思い出に残ったのは、友人が親戚の結婚披露宴に招待してくれたことです。UAE式の披露宴は男女別で執り行われ、女性だけでも400人程度が参列していたように思います。黒いヒジャブで普段は髪や肌を隠している女性たちですが、男性がいない披露宴ではヒジャブを外し、かなり派手なパーティドレスを着ておしゃれを楽しみます。女性側の披露宴に新郎が合流する前にはアナウンスが流れ、皆が一斉にヒジャブを装着し始めます。このタイミングで離席する参列者も多く、新郎に一度も会わないまま帰宅することも珍しくないと教えてもらい、非常に驚きました。想像以上に華やかで豪華な結婚披露宴に参列できたことは一生の思い出になりました。
ロシア出張のエピソードを教えてください。
2018年秋に地震探査データ解釈作業のため、ロシアのイルクーツクへ半月ほど出張に行きました
ロシアでは地質情報の生データを国外に持ち出すことが難しいため、現地(オペレーターのINK社)にて解釈作業を行い、その結果のみを持ち帰ります。
最初の数日は物探の先輩がデータチューニングのため同行してくれましたが、その後日本人は自分1人だけになりました。私はロシア語を単語程度しか知らないので、ロシア人通訳の方に英語(時には日本語)→ロシア語に通訳してもらわなければ、INK社の方々と話すことができず、言葉の壁が非常に高かったですが、Annaという名前がロシア人女性の最もポピュラーな名前であったことが幸いでした。
解釈作業を一通り終えた頃、INK社の地質技術者のトップの方とお話しする機会を頂き、何十年というキャリアの方を前にして自分の経験値の少なさを考えさせられました。解釈結果には大きな差はありませんでしたが、そこに至るまでの地質背景や情報量には雲泥の差があり、自分の立ち居振る舞いについても考えさせられる機会になりました。
オフシーズンのイルクーツクにはローカル以外の人は殆どおらず、英語を話す人も非常に少ない町で過ごした経験は、なかなか他では体験できないものだと思います。
イルクーツク出張、シベリア鉄道の停車駅にて
INPEXの好きなところはどんなところですか?
INPEXの好きなところは入社後も学ぶ機会があるところです。
たとえば地質関連では年に幾つかの国内・海外の地質巡検(フィールドセミナー)が社内で企画されます。自分が従事している業務との関連や知見の収集を目的に、参加を希望することが可能です。私は2019年に開催された炭酸塩岩フィールドセミナーに参加し、沖縄県と山口県の炭酸塩岩露頭、カルスト地形を観察してきました。
社内炭酸塩岩フィールドセミナー
社内炭酸塩岩フィールドセミナー、沖縄での集合写真
仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
仕事をするうえで大切にしていることは、分かり易い資料を作成するよう心掛けていることです。
事業を進めていくには事務系・技術系社員が協働する場面が多くあり、異なる分野の技術者と仕事をすることも珍しくありません。後からどの分野の方が見ても分かるような資料作り、説明の仕方を心掛けることは自分自身の理解度を深めることにもつながると考えています。
ある1日のスケジュール
9:00 |
出社、メールチェック、スケジュール確認 |
9:30 |
CCUSグループ定例会議 |
10:30 |
現場からの定時連絡会議 |
11:00 |
年度末の作業報告書作成 |
12:00 |
お昼休み |
13:00 |
地質モデルのデータ整理 |
15:00 |
コア分析に関する打ち合わせ |
16:00 |
作業報告書作成 |
17:30 |
帰宅 |
最後に、就活している、あるいは今後控えている理系女子学生に向けてメッセージをお願いします。
自分のキャリアやライフプランなど不安に思うことがたくさんあるかと思います。就活はたくさんの人に出会い、人それぞれのキャリアパスや考え方に触れられる機会です。「こんな考え方もあるんだ」と楽しみながら、自分の気持ちを大事にして就活を進めてほしいと思います。