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【イベントレポート】INPEX 技術研究所見学ツアー 2022

INPEXは世界をフィールドとする日本のリーディングエネルギーカンパニーで、主に石油や天然ガスの開発を行っている企業です。

私たちの生活に欠かせないエネルギーの開発・生産・供給を持続可能な形で実現するために、INPEXでは、日々技術の研究が行われています。

今回、その研究拠点であるINPEX技術研究所(東京都世田谷区北烏山)を、理系大学生・大学院生が訪れ、施設を見学しました。

このイベントの様子をレポートします。

イベント開催情報

■開催日時 2022年8月2日

■開催場所 INPEX技術研究所 東京都世田谷区北烏山

■プログラム 事業内容、技術研究所の説明、ラボツアー

■参加者  理系大学生・大学院生


イベント内容

千歳烏山駅に集合し徒歩で現地へ移動

2022年8月2日晴天に恵まれたこの日の気温は34℃、大変暑い中での開催でした。集合場所の千歳烏山駅には、さまざまな大学・分野・学年の理系学生が集合しました。

RIKEJO CAFEでの対面イベントは久しぶりの開催です。学生の皆さんは、企業へ訪問することが初めての方も多く、最初は緊張している様子でした。

全員そろったところで、現地へ徒歩で移動します。

学生さんどうし、大学のことや就職活動のこと、自身の研究内容などを各々話しながら、次第に打ち解けていきました。

INPEX技術研究所到着

技術研究所に到着しました。

まず、会議室で、INPEXの事業内容、研究所について吉田所長より説明していただきました。

石油や天然ガスの開発を大学で学んだことのある学生は少なく、みなさん、はじめて知る情報とあって真剣に聞いています。


INPEXの技術研究所では約40名の研究者の方が働いています。

大きく3つのグループ(貯留層評価グループ、金属材料グループ、環境・化学グループ)に分かれて研究が行われています。

加えて、今年(2022年)の4月には新しく「I-RHEX(アイレックス)」という組織を発足し、クリーンエネルギー技術の開発・高度化に係る調査、研究および開発に取り組んでいます。

事前説明で、石油・天然ガスの開発プロセスや、INPEXの未来に向けた新しい取り組みなどを学びました。


ラボツアースタート

一通り、知識のインプットが行われ、いよいよラボツアーに出発です。

研究所では、研究者の方が実際に行っている研究について詳しく説明してくださいます。


貯留層評価グループ 主に原油回収促進技術(EOR)の研究がおこなわれています


石油は地下深くに存在するため、非常に高い圧力がかかっています。

そのため井戸を掘ると、圧力差で自然に油が噴き出してきます。

しかし、生産していくにつれ徐々に地下の圧力が下がってしまいます。そこで、ポンプを使ったり別の井戸から流体を入れて押し出すなど、さまざまな方法で油を回収する必要があります。

このようにして油の回収を試みても、実は地下に眠っている油の3割ぐらいしか回収できないそうです。

とくに、石にこびりついている油の回収が難しく、いかにして油の回収量を増やすかという技術が研究されています。

例えば、圧入水の塩分濃度を下げることで、岩に付着した油を回収する手法や、界面活性剤やポリマーを地下に圧入して油を効率良く回収するといった手法があります。最近注目されている技術として、CO2を地下に注入して油を押す技術などがあるそうです。

見学では研究内容の他に実際に研究に使用されている装置を説明していただきました。

また、各地域で採取された原油の臭いを嗅ぐこともできました。地域によって匂いが異なり、とても興味深かったです。


研究者へも積極的に学生から質問が出ました。



環境・化学グループ 環境分析や水銀・水処理技術の研究

地下の石油・天然ガスにはわずかに水銀が含まれていることが多く、この水銀が石油開発において大きな問題を起こす一つの原因となっています。

天然ガス中に含まれる水銀がLNGプラントで使用されているアルミニウムと接触し、アマルガム腐食を起こすことで重大なプラント事故につながることもあり、さらに水銀は人体にも影響があるため、適切に水銀を除去するための技術研究は欠かせません。

石油・天然ガスの開発と聞くと、化学系の分野を想像される方が多いとおもいますが、実は、生物系の分野も技術研究に応用されています。

生産施設における随伴水の分析や、微生物による水質悪化、腐食に関連するトラブル予測にアデノシン三リン酸(ATP)を用いた菌数測定の活用が研究されています。




金属材料グループ 金属材料の選定や腐食防止のための研究


石油・天然ガスの開発には腐食の発生は避けられない問題です。

石油は井戸に設置している「油井管」と呼ばれる鋼管を通って地上に出ます。この鋼管が、地下のCO2や硫化水素、有機酸、微生物などによって腐食してしまいます。


腐食が原因で地下の油井管に穴があくと、生産が止まるだけではなく、環境への影響も懸念されます。ケーシングの他にも地上の生産プラントにはさまざまな鋼管が使用されており、それらの腐食問題は非常に大きな課題です。

金属材料グループでは、腐食が起きる条件を解明することや、腐食しにくい金属材料の選定、「インヒビター」と呼ばれる薬剤を注入することによる腐食を抑制する研究などが行われています。

どの分野も初めて聞く話が多かったのですが、ときどき、会話の中で学校で学んだ知識や知っている単語がでてくると嬉しくなります。

「いま学んでいることがこうやって研究につながっていくのだな」と、知ることができました。 

限られた時間ではありましたが、とても勉強になった見学ツアーでした。


見学を終えて参加学生の声

「実際に企業の研究所を訪れたのが初めてだったのですが、大学の研究室に比べてとてもきれいで、装置も充実していることに驚きました。」

「研究者の方に直接解説していただき、研究に対する熱意が伝わりました。なかなか、大学の研究では実際に私たちの生活に役立つところまで想像できなかったのですが、今回、研究が直接、事業や生活につながっていくことを知ることができ、研究職そのものの魅力にもあらためて気づくことができました。」

「生物学の分野も石油・天然ガスの開発研究に関わっていることに驚きました。」

「研究者の方が丁寧に解説していただき、大変勉強になりました。ありがとうございます。」

「CCUSについては大学で学んでいましたが、今回自分の知らなかった事を知ることができ、とても勉強になりました。」

「企業での研究のスケールに圧倒されました。」


久しぶりに開催された対面でのイベント、実際に現地に行き、直接社員の方とお話ができたことで、参加した学生さんも企業を身近に感じることができました。

INPEXでは、2050年のネットゼロカーボン社会への実現と、石油・天然ガス分野での徹底したクリーン化とともにネネルギーの安定供給への実現を社員一丸となって取り組んでいます。その熱量も感じたのではないでしょうか。

イベント開催にあたり、ご協力いただきましたINPEXの皆様、貴重な機会をありがとうございました。


一般社団法人理系女子未来創造プロジェクト

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