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【仕事紹介】化学メーカーの研究職とは?

こんにちは。私は2009年に神戸大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーに就職して研究開発に携わっています。 

本記事では、私のキャリアを公開しながら研究職のお仕事内容など紹介したいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.化学メーカーの研究開発とはどんなお仕事?
    1. 1.1.製品開発研究
    2. 1.2.基盤技術研究
    3. 1.3.製品開発研究(マーケティング事業と連携)
    4. 1.4.基盤技術研究
  2. 2.私の職歴
    1. 2.1.1年目~3年目
    2. 2.2.3年目~9年目
    3. 2.3.9年目~現在
  3. 3.学生時代と社会人の今、研究に対する取り組みの違いは?
  4. 4.研究職にはどんな人が向いている?
  5. 5.学生時代にやっておくといいこと
  6. 6.まとめ


化学メーカーの研究開発とはどんなお仕事?


皆さんは、化学メーカーの研究開発というお仕事に対してどんなイメージを持っているでしょうか?

多くの化学メーカーの研究開発部門は、「製品開発研究」「基盤技術研究」に分かれています。

製品開発研究

製品の発売や改良に関わる研究

基盤技術研究

様々な製品に広く横断的に活かされていく科学技術の研究や、次の新しい事業展開のための中長期的な視点での研究

そして、各社の事業領域によって、製品開発、及び、基盤技術に関する分野が異なってきます。参考までに、私が所属している会社の場合を紹介しますね。

製品開発研究(マーケティング事業と連携)

美容分野、健康分野、家庭品分野、化学品分野

基盤技術研究

物質科学分野(素材開発や解析科学)、生命科学分野(安全性評価)、生産技術分野、人間科学分野(香り研究)、環境科学分野、衛生科学分野


製品開発の初期段階から「製品開発研究」と「基盤技術研究」を融合させ、更に、社内外の研究機関や大学、他企業との交流が加わります。このように様々な専門領域の知がダイナミックに、柔軟に交わりながら製品化されていきます。


近年は事業領域を拡大している化学メーカーが増えています。これから就活を始められる方、やりたい研究や関わりたい分野が明確な方、ぜひ、会社の事業領域も併せて調べてみることをオススメします!


私の職歴


 研究職について、もう少し具体的にイメージしやすくなるよう、簡単に私の職歴を紹介します。


1年目~3年目

基幹化学品(他社向けに販売、自社製品の鍵成分原料として提供)の安定供給が使命である部署に配属。特に、製造に関する知識や技術を学びました(特許作成や資格取得、プレゼンも含む)。男性しか入れないと言われた部署に “女性初”として配属され、社会人としての基礎を身に付けました。


3年目~9年目

種々自社製品の鍵成分の研究開発に携わりました。鍵成分の設計や製造、配合提案など幅広く経験。特に、1)自分が開発した製造技術が工業化に繋がって現場にプラントを残せた事、2)開発した鍵成分が製品化され多くのお客様に使用頂いている事、は大きな宝です。また、新人さんはじめ教育担当や国内/海外グループとの共同プロジェクトリーダー、大学/他社との共同研究などを経験しました。


9年目~現在

多くの他社と共同で、地球環境問題の解決、脱炭素社会の実現に向けた技術と機能性素材の研究開発に取り組んでいます。


学生時代と社会人の今、研究に対する取り組みの違いは?

私は、大学4年生から研究室に入り、毎日実験をしていました。研究室(有機化学専門)は、基礎研究に重きを置いており、持続可能社会の実現に寄与する研究を行っています。また、企業と共同研究も時々していました。

私の場合は、大学での経験が企業での研究にも活かされていると思っています。とは言え、仕事内容は幅広いので、社会人歴が長くなっても知らないことや未経験の事は山ほどあります。

一方、「研究の進め方」に関しては。大学と企業では大きく意識が違うと思います。

私が所属していた研究室は当時、夜遅くまで実験室が開放されていたこともあり、ダラダラと実験しがちでした。しかし、企業に入ると残業の場合は手続きが必要になりますし、実験以外のお仕事も増えます。そのため、1回の実験でどれだけ多くの知見を得るかが非常に大事になってきます。つまり、「本質を見抜いて考える力」をしっかり養わないと、短時間で結果が出ないのです。

「本質を見抜いて考える力」は自分の価値をも大きく左右する重要なものです。ある程度はできる理系の皆さんは多いと思いますが、今よりも更に高め続けて下さい。


研究職にはどんな人が向いている?

 さて、冒頭で神戸大学大学院を卒業したと述べましたが、入学した大学は別の大学です。実は、大学3年の時に編入しています。私は理系の職業に対して「かっこいい!!」との憧れを持っていたことから、リケジョになることを極普通に決めていました。

しかし、勉強は得意ではなく、大学受験でかなり苦い思いをしました。そのため、大学入学後も「こんなにギリギリで、私は理系で研究者としてやっていけるのだろうか…」とモヤモヤしていました。そんな時、大学編入制度がある事を偶然知りました。

そこで、編入試験に合格したら大学院に進んで研究職に就き、不合格なら大学院には進まずに就職しよう、と自分の中で決めたのです。周囲から見れば意味不明な考えかもしれませんが、本人はそれなりに悩んで、しかし、いつまでも悩んでいる訳にもいかず、ある程度で答えを出さなくてはと考えていました。

結果的に編入試験に合格し今の人生があるのですが、「あなたは研究職に向いていますか?」と質問されたら、「憧れの職業をそう簡単に諦められなかっただけで、向いているかどうかは分かりません」と答えます。

 とは言え、編入試験に合格するために自分の色々な弱点と向き合ってきました。その中で気付いた事、加えて、周囲を見て「向いているなと思う人の特徴」を考えてみました。それは、「どんな事も自分事として関心を持ち、自分なりに考えて粘り強く楽しく努力できる事」だと思います。

弊社の入社試験項目の1つに小論文がありますが、私が受験した時のお題は「あなたは入社後、社会と会社にどのように貢献しますか?」でした。あなたの信念を、行動力を、周りの人達は見ていて、一緒に働きたいと思える人に、様々な環境/素晴らしい仲間/先輩方…を投資してくれるのだという事が伺えると思います。

私は企業研究者としての顔を持つ一方、キャリアコンサルタントでもあります。キャリアコンサルタントとは、学生や求職者を対象に職業選択や能力開発に関する相談、助言を行う専門職です。自分にとっての適職を考えるためには、自分の強み、得意なこと…自分自身と向き合い、そして職業について知る事、両方が必要です。一度、ゆっくり考えたり、調べたりする事をオススメします。

「自分の人生を決めるのは自分である」という事、声を大にしてお伝えします。


学生時代にやっておくといいこと


 ズバリ、1)どういう生き方をしたいか考える。2)勉強する。です。

何が起きても不思議ではない今の世の中、これまでの常識は通用しません。だからこそ、「自分がどうしたいか?」自分で考えて自分で決断し→計画を立て→行動する、このサイクルをしっかり回す事が大事だと思います。そのためには、「本質を見抜き自力で考える=勉強する」、が欠かせません。

自分が生きている世界/日本/会社/大学は、どういう仕組みになっていて、誰が何の意図でどんな仕組みを作っているのか?本質を見抜き、その上で自分の生き方を考える事です。変化が激しい今、根本の仕組み自体が大きく変わることも少なくありません。

どんな人生を創造するのか、正解はなく、皆さんの自由です。


まとめ

 私のキャリアを公開しながら、研究職の事や振り返って思う事を述べてきました。

若い皆さん、ぜひ、前向きに色んな事に挑戦して、自分の人生を切り開いて下さい。心より応援しています!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


ゆっこ

ゆっこ

大阪出身、30代。2009年に神戸大学院卒業後、化学メーカーに入社。 企業研究者としての顔を持つ一方、キャリアコンサルタントとしても活動中。 理科教育の発展を目指し、働く女性の支援、若者の支援等を行っている。

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