理系学生の就活における学校推薦とは?メリット・デメリットも合わせて解説
理系学生の就職活動では、自由応募のほかに学校推薦がよく用いられます。学校推薦には多くの利点があるのですが、よく知らずに利用すると、後々不自由なことになるかもしれません。
この記事では、学校推薦にどのようなメリット・デメリットがあるのか、学校推薦を探す時期はいつなのか、といった知っておくべきポイントをまとめました。
学校推薦の利用を検討しているなら、参考にしてみてはいかがでしょうか。
学校推薦とは何か?
理系の学生の就職活動では学校推薦が用いられることが珍しくありません。学校推薦とは、大学側に推薦状を用意してもらいエントリーする応募方法です。
エントリー先の企業は採用人数分の推薦枠を各学校に割り当てています。学校推薦では、この推薦枠の中から就職先を探します。なお、推薦枠の人数は毎年見直しが行われています。
年度によっては就職したい企業の推薦枠がないということもあるので注意しましょう。
自由応募と学校推薦の違い
ところで、就職の応募は自由応募という方法でも可能です。自由応募とは、企業が一般公開している求人票にエントリーする応募方法です。それぞれの企業のホームページ、就活情報サイトなどを利用して就職先を探します。自由応募は最も一般的な就職先の探し方といえます。対して、学校推薦は学校側が認めた学生のみが使える就職応募の方法です。そのため、学力や学校内での素行などが良好と認められていなければなりません。
なお、理系学生の応募枠には自由応募・学校推薦のほかに両方併用と書かれている場合があります。これは、推薦枠を設けているが自由応募でのエントリーも可能であるということです。また、応募枠の形態について記載がない求人票は自由応募ができます。
学校推薦の実施時期や選考基準
学校推薦を受けるためには説明会に参加し、その後に選考や選別を経て、推薦状をもらわなければなりません。学校推薦の受付開始は学校ごとによって異なります。ですが、学士課程なら3年、修士課程なら1年の2月から3月頃から開始する大学が多いようです。
時期は学校や年度によっても前後するため、学校推薦に興味がある人は注意しておきましょう。なお、企業の推薦枠が公開される時期も一定とは限りません。少し後れてから公開される推薦枠もあるので、学校推薦に興味がある人は、学生課や就職課に頻繁に足を運んでおくようにしましょう。
学校推薦のメリットやデメリットとは?
学校推薦を利用すれば就職活動を有利に進めることが可能です。では、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
学校推薦のメリット
学校推薦では学校と企業の間に信頼関係があるため、企業は学校推薦の就職希望者に対して、能力や人間性について一定の基準を超えているとみなします。
そのため、学校推薦では、過程を省略して選考が行われます。例えば、筆記試験やエントリーシートの審査が免除されたり、面接回数が減らされたりします。なかには推薦状を持つ就職希望者は、最終面接のみで内定が決定されることケースもあります。
このような理由から、学校推薦では倍率が高い企業であっても内定を得やすくなります。また、就職試験において、学業も成績もほぼ同じ就職希望者と横並びになったときに有利です。同じレベルの人材なら学校からの推薦状を持っている就職希望者が選ばれることがほとんどです。
学校推薦を使えば就職活動が効率よく進むので、就職活動に費やす時間を短縮できます。現在の日本では、就職活動にかける時間が非常に長く社会問題にもなっています。学士過程なら3年の途中からほぼ1年間の時間をかけて就職過程を探さなければなりません。
学校推薦を利用すれば、目的とする企業に対しての準備と、滑り止めとして併願で応募する企業の準備だけで済むので、あまり大きな時間をかける必要がありません。さらに、学校は推薦枠の企業に対する情報をたくさん保有しているので、短い時間でしっかりとした対策が立てられるでしょう。学校生活で使える時間は限りがあります。余った時間を大学内での活動や学習にあてられるのは、大きな魅力ではないでしょうか。
学校推薦のデメリット
学校推薦を利用すれば、たしかに就職には一歩近づきます。しかし、忘れてはならないデメリットが存在しています。
まず、就職活動の準備がおろそかになることです。学校推薦と聞くと、絶対に就職先がみつかるものだと思うかもしれません。しかし、実際にはその合格率は100%とはいえません。毎年、何人もの学生が不採用となっています。なぜなら、推薦状があったとしても選考の全てが免除されるわけではないからです。
選考の場では、ほかの就職希望者と競い、自分がよい人材であるとアピールできなければなりません。ですが、学校推薦を受けた学生は、このアピールのための下準備が足りないことがよくあります。必ず、志望企業の企業研究・自己分析と自己PRの作成・業界研究などはしておかなければなりません。
もう1つのデメリットが、自由な就職活動が阻害されることです。自由応募とは違い推薦枠での就職は基本的に内定辞退が簡単ではありません。これは、学校と企業の信頼関係のもとで推薦枠が設定されているからです。一度辞退してしまうと、今後は企業からの推薦枠がもらえなくなるかもしれません。学校・学科・研究室など多方面に大きな迷惑をかけるので、必ず学校推薦を受けた企業に入社するようにしましょう。
学校推薦が向いている人とは?
次のような人は学校推薦が向いているといえます。就職活動を有利に進めたいのなら、ぜひチャレンジしてみるとよいでしょう。
成績が良く、かつアピールできるポイントがある学生
成績がよく、さらに学校生活が品行方正な学生は、学校推薦に向いています。学校推薦はいうなれば学校の看板となる学生を推薦するからです。なお、学生生活の中で目立った成果を収めた学生も、推薦状を発行してもらいやすいです。
例えば、スポーツで良い成績を収めたものは高く評価されやすいでしょう。アピールポイントは、海外での活動や地域のボランティア活動など、その内容は決まったものではありません。自分をアピールできるものがある人なら、学校推薦にチャレンジしてみるとよいでしょう。
早く就職先を見つけたい人
早めに就職先を決めて安心したい人も学校推薦向きです。多くの場合、学校推薦は自由応募よりも早く内定が出る傾向があります。就職活動を早く終わらせて、次のステップへの準備に取り掛かれたなら、就職後も有利に社会人生活を過ごせます。
推薦枠に志望する企業がある人
学校推薦の枠に、どうしても入社したい企業がある人は、必ず学校推薦を受けることをお勧めします。学校推薦は一度に2つ以上の企業を希望することはできない上に、自由応募での内定とかぶった場合には、学校推薦の内定を選択しなければなりません。
そのため、曖昧な気持ちで学校推薦を受けると、後になってから悔やむことになるかもしれません。ですが、推薦枠の中に志望度が高く、受かったなら絶対に就職したい企業があるなら話は別です。違う就職先に目移りする心配がないからです。学校推薦を利用して、入社への切符をいち早く手に入れましょう。
学校推薦の応募方法とは?応募の流れをチェックしておこう
学校推薦を利用するには、学生課やキャリアセンターといった就職支援課が開催する説明会に参加する必要があります。推薦枠の求人は、学校のホームページ、企業ホームページ、学生課掲示板などに求人票リストとして掲載されます。ただし、多くの大学ではインターネットで公開しているのは求人票のみです。資料まで確認したい場合には、各大学の就職支援課に相談してください。求人票リストには、応募方法だけでなく事業内容などの概要が書かれているので、エントリーする際にはよくチェックしておきましょう。
学校推薦での応募方法は次のような流れです。
1.まず、学校推薦の説明会に出席した後に、学内エントリーしています。
エントリー方法は学校によって異なります。メールやLINEなどそれぞれなので、学校ホームページなどから確認してください。
2.エントリーによって希望する企業を伝えたなら、次に学内調整が行われます。
学内調整での選考方法は学校によってさまざまです。ほとんどの学校では、成績の上下によって選考します。説明会の参加回数、学内試験、あるいは大学教授が決定するという学校もあります。1つの企業に就職希望者が殺到した場合には、じゃんけんで決定するという学校もあるそうです。
3.学内調整が終わったなら、就職課の担当職員などによる面接が行われます。
面接の合否によって推薦状が発行されるかが決まります。希望する企業の企業研究や業界研究は事前に済ませておくようにしましょう。面接に合格したなら推薦状が発行されます。決められた日時までに受け取りに行くようにしましょう。なお、推薦状は直接学校から企業に送付される場合もあります。
学校推薦は就職を有利にするが、よく考えて利用しよう。
学校推薦を使えば就職活動が飛躍的に楽になります。推薦状がもらえそうな理系学生は、利用するべきでしょう。ただし、内定が決まると辞退することはできません。そのため、自分がその会社で本当に働きたいのかをじっくり考えてから応募する必要があります。また、学校推薦は自分が学校を代表するという面があります。学校推薦を使う場合には、その点をよく自覚して、学校と企業の双方の信頼を裏切らないようにしましょう。