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就職試験に用いられるフェルミ推定とは?例題と解説に触れて攻略のポイントをつかもう!

多くの企業では理系の学生に論理的な思考を期待しています。

しかし、理系の学生とはいえ、必ずしも論理的な思考ができているとはかぎりません。そこで就活生の論理性を試すために、採用試験にフェルミ推定を用いる企業が増えています。

この記事ではフェルミ推定について、例題や解き方のポイントをふまえて解説しています。就職活動のフェルミ推定対策に、一読してみてはいかがでしょうか。


目次[非表示]

  1. 1.フェルミ推定とは
  2. 2.フェルミ推定によって何を評価されているのか
    1. 2.1.論理的な思考力
    2. 2.2.思考力の柔軟性
    3. 2.3.プレゼンテーション能力の有無
    4. 2.4.コミュニケーション能力の有無
  3. 3.例題と回答、解説
    1. 3.1.フェルミ推定の例題1「日本には何人の男性がいるか」
    2. 3.2.フェルミ推定の例題2「日本の学校に通う小学生から大学生までの総数」
  4. 4.フェルミ推定を攻略するポイント
    1. 4.1.1.前提の確認と整理をする
    2. 4.2.2.解答へのアプローチを考える
    3. 4.3.3.アプローチをモデル化
    4. 4.4.4.実際に計算する
  5. 5.抑えておくべき材料
    1. 5.1.日本の情報
    2. 5.2.世界の情報
  6. 6.フェルミ推定では思考の筋道と解答を伝える能力が問われる


フェルミ推定とは


世の中には、実際に調査しづらい事柄がたくさんあります。

例えば、東京都内にある電柱の数は何本なのか、地球上には蚊がいったい何匹生息しているのか、といった問題は、正確な数を把握するのが難しい事柄です。

このような事例を、いくつかのデータを手がかりとして論理的に概算すること、もしくはそのような問題がフェルミ推定と呼ばれています。就職活動でフェルミ推定の結果を重視する業界にチャレンジするときには、入念に対策しておくようにしましょう。

採用試験においてフェルミ推定を重視している業界としては、「コンサルティング業界」があげられます。

コンサルティングの仕事では、依頼者の抱える問題を分析し、問題を探し出し、その解決方法を探し当てなければなりません。その上で、解決方法を依頼者に納得してもらう必要があります。それには、納得するだけの根拠と論理性を示さなければなりません。

採用試験でフェルミ推定を使えば、問題解決への論理性を就活生が持っているかを確かめられます。そのため、コンサルティング業界はフェルミ推定を好んで採用試験に用いています。

また、投資銀行の「投資銀行部門」の採用でもフェルミ推定が重視されやすいです。この部門は、IBD部門や財務コンサルタントとも呼ばれており、顧問企業のために資金調達やM&Aを提案します。しかし、資金調達のための株式発行にしても、M&Aにしても、その正しい市場価値を把握するのはとても難しいことです。

そのため、顧問企業にアドバイスするためには、データを元にした論理的な思考で推論を立てる必要があります。このような資質があるかを知るために、投資銀行部門の採用ではフェルミ推定が用いられています。


フェルミ推定によって何を評価されているのか


採用試験で就活生がフェルミ推定を解くとき、面接官はどのようなポイントを評価しているのでしょうか。フェルミ推定の課題を就活生に与えたとき、面接官が重視するポイントは以下の4つであると言われています。

論理的な思考力

与えられた条件やデータから、飛躍せずに結論を導くためには、物事を論理だてて考える力が必要です。論理が構成できていいない結論は、根拠が薄く、人を説得することは難しいでしょう。また、筋道を通せる思考力は効率的に問題を解決できます。

このような理由から、面接官は就活生にフェルミ推定を解かせ、論理的な思考力を評価します。理系の就活生に対しては、特に論理的な思考力を重視する傾向があるので、理系の学生は意識して解答するようにしましょう。


思考力の柔軟性

フェルミ推定は面接官とのディスカッション方式で行われる場合があります。このとき面接官の多くは、就活生の思考力の柔軟性を見定めるために、就活生の答えでは解決できない、相いれない提案をします。論理がしっかりした考えであっても、考えを押し付けてしまうと、相手はなかなか納得してくれません。

相手の意見や考えを聞き入れられる柔軟な考え方が社会では必要です。相いれない提案に対する就活生の反応を通して、面接官は思考力の柔軟性をチェックします。


プレゼンテーション能力の有無

フェルミ推定では結論が論理的であっても、聞くものにとっては突拍子もない答えがでる場合があります。それを上手に伝えるためには、プレゼンテーション能力が必須です。

いかに課題解決能力が高かったとしても、それを発表するプレゼンテーション能力を持っていなければ、意味がありません。面接官はプレゼンテーション能力を重視します。


コミュニケーション能力の有無

相手にうまく提案を伝えるには、表現方法や伝達手法といったプレゼンテーション能力だけでなく、上質な人間関係を築きあげられる意思疎通能力が求められます。また、社会では1人の力では成し遂げられないことが多くあります。

時には、考えの違いで対立することもあるでしょう。それを乗りこえるためには、コミュニケーション能力が欠かせません。面接官は、フェルミ推定を解くという課題を通して、就活生のコミュニケーション能力を評価します。


例題と回答、解説


実際にフェルミ推定の問題を解いてみましょう。以下では簡単なフェルミ推定の問題を紹介します。なお、フェルミ推定では考えに至った筋道も重視されます。答えを思い付いても、そこに論理性が見いだせるまで何度も考えましょう。

フェルミ推定の例題1「日本には何人の男性がいるか」

答えは約6,000万人です。

2021年の時点で、日本には約1億2,000万人の人が住んでいます。そのうち、およそ半数は男性です。そのため、約6,000万人の男性がいると推測できます。フェルミ推定では、基本的なデータを知っておくことが大切です。日本の人口がどのくらいなのかは、知っておくべき一般常識の範囲の事柄といえるでしょう。なお、フェルミ推定はおおよその答えが分かれば十分です。正確な答えにこだわりすぎないことが、フェルミ推定を解くコツです。

フェルミ推定の例題2「日本の学校に通う小学生から大学生までの総数」

約1,400万人であると考えられます。

この問題では、小学生から高校生までの人数と、大学生の人数を分けて計算します。なお、小・中学校は義務教育なので、子どもは全員学校に通っていると考えました。そして、高校への進学率は約100%と仮定して計算しました。2020年のデータでは高校への進学率はおよそ97%です。仮定と比べて大きな差はないといえるでしょう。

また、1年間に生まれる子どもの数を約100万人としています。これは基本データとして知っておくべき事項です。以上の情報から考えるに、小学校から高校までの12年間に在籍する子どもの数は「約100万人×12学年」で約1,200万人となります。

同じようにして大学生の数を計算します。日本の大学への進学率は50%ほどです。そのため、1年間に高校を卒業した人数を100万人とすると、その内の50%が大学に進学したと推定できます。その数は約50万人です。大学は4年間在学するので「約50万×4年間」となり、およそ200万人が大学生であるとの推論が立てられます。小学生から高校生までの人数と大学生の人数を合算すると、日本にいる小学生から大学生までの総数は約1,400万人である、という結論に達します。


フェルミ推定を攻略するポイント


フェルミ推定が出題された場合、以下の4つのポイントを順番におさえて考えるとよいでしょう。これら4つの攻略ポイントを踏まえて解答をすると、論理的で説明がしやすい答えになりやすいです。

1.前提の確認と整理をする

課題には必ず曖昧な点が存在しています。課題の文言や定義は、必ず確認してその内容を整理しておくようにしましょう。この確認をせずに問題を解き始めると、思ってもいない解答が導き出されて混乱してしまう場合があります。

また、面接官とのディスカッション方式で行われる場合には、前提条件を面接官と共有するようにしてください。これがずれてしまうと、どのような答えも実態から遠くなってしまうからです。


2.解答へのアプローチを考える

前提の確認と整理が終わったら、解答へのアプローチの方法を考えます。これは計算式のベースとなる考えを組み立てることです。上述のフェルミ推定の例題2では、高校生までの子どもと大学生を分けて計算をし、後に合算するというアプローチ方法を採用しています。


3.アプローチをモデル化

アプローチに実際の数字を当てはめて数式を作りましょう。フェルミ推定の例題2では、高校までの進学率は100%、大学への進学率は50%という、2つのモデルが存在します。

モデル化する理由は、解答へのアプローチに具体性を持たせることで、推論に説得力を持たせるためです。



4.実際に計算する

以上の過程を経て、モデルに実際に数値をあてはめて計算します。その結果、高校生までの子どもの数を表す「100万人×12年間」と、大学生の人数である「100万人×50%×4年間」という2つの式が作り出されます。あとは間違えないように、落ち着いて計算しましょう。


抑えておくべき材料


フェルミ推定は必ずしも論理的思考だけで解答に近づけるとは限りません。

論理的思考で問題を解くための材料をあらかじめ持っていなければ、解けない問題が多く出題されます。例えば上述のフェルミ推定の例題1では、日本の人口の概数を知っていなければ問題は解けません。そのため、フェルミ推定への対策では最低限の情報を覚えておくことが効果的です。

ここでは、フェルミ推定を解くために、抑えておくべき材料を紹介します。

日本の情報

日本の情報は、国内問題への推論をたてるのに非常に役立ちます。なるべくなら将来どのように推移するかまで覚えておくと、推論を立てるのに効果的な材料となるでしょう。

例えば、日本の人口は2050年には1億人、2060年には9,000万人になるとされています。なお、このようなデータはおおよその数値を覚えているだけでかまいません。


・人口 1.2億人
・国土面積 38万平方km
・世帯数 5000万世帯
・平均世帯人数 2.5人
・生涯未婚率 15.4%
・既婚率 43%
・1年に生まれる子供の数 約100万人
・市の数 800
・町の数 750
・村の数 200
・平均年収 430万円
・平均世帯年収 550万円
・給与所得者 5,000万人
・労働力人口 6,200万人
・非正規雇用者数 2,000万人
・大企業の数 1.1万社
・中企業の数 55万社
・小企業の数 330万社


世界の情報

フェルミ推定を突破するには、世界の情報にも親しんでおく必要があります。特に話題に登りやすい主要な大国の情報は大切です。これらの数値を暗記するのは簡単ではありません。普段からあらゆるものにアンテナを向けて、積極的に情報を収集する必要があります。少なくともニュースや新聞に目を通す癖を付けておくことは大切です。

・世界の人口 76億人
・世界の国の数 196カ国
・アメリカ合衆国の国内総生産(GDP) 21兆アメリカドル(2019年)
・アメリカ合衆国の人口 3.3億人
・アメリカ合衆国の州の数 50州
・中華人民共和国の国内総生産(GDP) 14兆アメリカドル(2019年)
・中華人民共和国の人口 14億人
・地球の直径 12,000km
・地球の円周 40,000km
・地球の表面積 5.1億平方km


フェルミ推定では思考の筋道と解答を伝える能力が問われる

フェルミ推定では、解答の正しさよりも、答えに至る考え方やそれを伝える能力が評価されます。理系の就活生は正答にこだわり過ぎる傾向があるので注意しましょう。

ルミ推定を解く際は上述の4つの攻略ポイントを参考にしてください。

論理的で説明がしやすい解答が導きやすくなります。また、限られた材料だけでフェルミ推定を解くのは至難の業です。あらかじめ抑えておくべき材料を覚えておけば、問題が解きやすくなります。

一般社団法人理系女子未来創造プロジェクト

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