理系の専門知識を活かし”技術コンサルタント”としてコロナウイルに挑む!!ーダッソ・システムズー

ダッソー・システムズ株式会社では、政府や企業が講じなければならない新型コロナウイルス感染拡大防止対策へソリューション(飛沫感染の解析等)を提供しています。With Coronaの状況で、ダッソー・システムズが企業や市町村に対してどのようなサポートを行っているのか、活躍するコンサルタント2名に理系女子学生が取材してきました。


オンライン企業取材の様子

”技術コンサルタント”の仕事とは!?

お二人の所属している部署について教えてください。

岩本さん:私の所属しているチームは、シミュレーションの技術に特化した技術メンバーのコンサルタント・チームになります。チームには各分野のエキスパートが約40名在籍しています。

技術メンバーのコンサルタント・チームということですが、具体的にはどのような仕事をされていますか。

岩本さん: ダッソー・システムズには、13のブランド、ソフトウェアのソリューションがあり、それらを様々な業界のお客様に提供しています。我々技術コンサルタントは、お客様が抱える様々な課題や挑戦(例えば規制対応、市場の拡大あるいはコストを削減など)への解決策を我々の製品、サービスを含めてお客様に提案しています。

 解決策を提案するには、お客様の現状を把握し、お客様が今後目指す姿、あるべき姿をきちんと定義する必要があります。その上で、現状とのギャップを明確化して、あるべき姿を実現するためにどのようなソリューションを使い、どういうプロセスを踏んでいけばよいのか、コンサルタントとして課題解決を提案しています。

甲斐さん:具体的にどのような業務かというと、例えば、部屋でエアコンを使うと音が発生しますよね。特に外にいると室外機の音がうるさいと感じることもあると思います。その音を静かにする(低騒音化)したり、エアコン自体の性能を良くしたりするにはどうすればよいか、そういったことをシミュレーションしながら解決する、ということをしています。

ありがとうございます。イメージすることができました。それでは、学生時代どのような分野を学ばれていたのでしょうか。今のお仕事と同じようなことを研究されていたのでしょうか。

岩本さん:私は機械システム工学の中でも伝熱系のシミュレーションのプログラムをつくる研究室に所属していました。熱交換器にフィンを付けて熱交換効率を上げるには、どういったフィンが最適かをシミュレーションして設計する。ということをしていました。

甲斐さん:私も似ているのですが、ヘリコプターのブレードの設計をしていました。静かで、なおかつ効率的な翼型を設計することを目指していました。基礎的な流体力学の実測やシミュレーションの経験は大学で学んだので、私にとっては大学4年生の時と、大学院での2年間の研究は非常に重要な3年間だったと思います。これによってだいぶ今の自分の技術力が形成されたと思っています。

同じ部署のコンサルタントの方は、大学時代はやはり工学系でシミュレーションをされていた方が多いのでしょうか。

岩本さん:そうですね。やはり、我々のチームのメンバーは、基本的には工学系の大学出身が多いです。前職でソフトウェアに携わってきた人間もいれば、製造業のメーカーで働いていたメンバーなど、様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。

一方で近年では、我々のブランドの中にBIOVIA(BIOVIAは、生物、化学、素材・材料を高度にモデリングする、科学分野のコラボレーション環境を提供します。)やMEDIDATA(製薬企業、バイオテクノロジー企業、医療機器企業、診断薬企業及び学術研究者が価値を高めリスクを最小化し、結果を最適化するためのエビデンスとその洞察を生み出すサポートをいたします)という、マテリアル・サイエンスや薬を作るためのシミュレーション技術を提供するサービスがあるため、医療系、ライフサイエンス系のメンバーがどんどん増えて、バックグラウンドがより多様化しています。

テクノロジーを駆使してCOVID-19と闘う

withコロナの状況下において、ダッソー・システムズさんが企業に提供しているサービスを具体的に教えていただけないでしょうか。

岩本さん:我々のサービスを紹介します。

1)3D EXPERIENCE

我々のテクノロジーである3D EXPERIENCEプラットフォームでは、家でも仕事を会社にいる時と同じようにできる環境を提供します。

2)CATIA および SOLIDWORKS

CADや設計ツールで場所を選ばず、リアルタイムに必要なデータにアクセスすることが可能です。

3)BIOVIA

研究者のコラボレーション・ツールでマテリアル・サイエンスに関するソリューションを提供しています。

4)3DS LEARNING SPACE

自宅でオンライン学習ができるような環境を提供します。

5)Home By Me

コンシューマー系のインテリア・デザインのツールで、デザインをサポートします。

6)SIMULIA

シミュレーションのソリューションを使ってコロナ禍の安全な環境、ファシリティや製品などの、ものづくりを加速しようという取り組みをしています。

7)モバイル関連

いつでも、どこでも、どういったデバイスを使っても仕事や業務ができる環境を提供するソリューションです。

このような我々の様々なソリューションやプログラムを提供することで、コロナ禍でもこれまでと同様にお客様のビジネスを継続できる環境をご提案させていただいています。

その中でどのようなプロジェクトにお二人は関わっていますか

甲斐さん:詳細までは公開できないのですが、例えばオフィスや乗り物、空港など、閉鎖空間におけるコロナウイルスの飛沫シミュレーションをする案件に取り組んでいます。流体シミュレーションや数値計算をコンピューター内で行うことで、withコロナの状況下でも安全な生活環境をつくるための対策を考えています。

感染に関しては飛沫・空気感染と接触感染の2つにわかれますが、私たちは飛沫・空気感染における流体シミュレーションに取り組んでいます。

飛沫感染と空気感染の違いは何ですか。

甲斐さん:飛沫感染とは、感染者がくしゃみなどをすることで、唾などの飛沫と一緒に放出されたウイルスを他の人間が口や鼻などから吸い込んで感染することです。一方、空気感染は、感染者から放出された飛沫や、飛沫核(飛沫が乾燥したもの)が空気中に浮遊することで、感染者と離れた場所にいた人がそれを吸い込むことで感染することです。

左側は、咳をしたときの粒子の飛び方をモデリングしています。このモデリングは、世界各国で測定された実測データと比較しながら行っているため、整合性が取れるデータとなっています。

最初の咳の粒子の分布が正しければ、その後の気流に乗って粒子がどのように飛んでいくかを見せるところは我々の得意とするところです。

モデル化のために様々なことを行っています。例えば、粒子の大きさもいろいろ違います。5µmや1µm、0.1µmなど、いろいろな粒子の大きさがあるので、その粒子の重さも計算に入れてなくてはいけません。大きな粒子は、当然、重力の影響によって早く下に落ちます。一方で、小さな粒子は、空気の流れがあれば、気流に沿ってどんどん流れていきます。私たちがしているマスクは、大きい飛沫が下に落ちることを防ぐことができます。ところが、マスクをしていても、小さな粒子はマスクの横や上から出ていってしまうため、マスクをしていても防ぐことはできません。テレビや新聞では、「マスクは感染防止にはならないけれども抑制にはなる」ということが言われていますが、それは今お話したようなことが背景にあると思います。

現在は、フェイス・シールドのいろいろな形状の比較検討もしています。このようなシミュレーションをすることで、フェイス・シールドの形によって、実際に顔や頭に付着する量がだいぶ違ってくるのが分かります。

またこれらの技術を使って、病床が何部屋もあるような大きな病院の全体の中で、空気の循環をどのようにすればよいのかなど、そういった取り組みもしております。


この図は、ウイルスによる空気の汚染率を見ています。右側の丸で囲っているところが、ウイルスが行ってはいけないはずの安全エリアです。ところが現状では、汚染されている空気が、エアコンや換気によって流れていっているのがわかります。この状況を、建物の構造をあまり変えずに改善できるか、計算をしてみました。

 例えば、現状調査でウイルスが安全エリアに行ってしまっている背景に、安全エリアの部屋が小さいことがあります。部屋が小さいと圧力が低く、部屋の大きいところは圧力が高くなります。当然、空気は圧力が高いところから低いところへ移動していきます。それを避けるために考えたのが、このシミュレーションの#2です。例えば、現状では安全なエリアにウイルスが吸い込まれているので、半分の換気量にしたらどうなるかを示したのがこの図です。現状では赤く示した流れが見られますが、改善後では、だいぶ収まっています。このような計算をしています。

ダッソー・システムズさんは今回のコロナに関するプロジェクトに多く取り組まれていますが、今回のコロナウイルス感染拡大の前から、今回のような世界的なウイルスの蔓延が起こった場合を想定されていたのでしょうか。

岩本さん:私たちも正直に申し上げて、コロナの影響がここまで大きくなるとは、思っていませんでした。私たちはIT企業というところもあって、外出先でもネット経由でプラットフォームに接続でき、コミュニケーションがとれる環境は整っていました。そのため、在宅勤務を含め、業務はそれほど大きな問題なく遂行できています。一方で、お客様の中にはコロナの影響が業務に出ている場合もあり、私たちが以前から取り組んでいた、流体解析をベースにした室内空調の換気のシミュレーションがフォーカスされ、ニーズが大きく広がっていったと考えています。

withコロナで、今後、社会はどのように変わっていくと思われますか。

岩本さん:ますます、ソフトウェアやシミュレーション、バーチャルの技術がどんどん加速し、技術が向上していくと思います。

withコロナで、お二人が私生活で大きく変化したことなどはありますか。

甲斐さん:家では本を読むようになりました。休日も外出をしない分、時間ができたのでひたすら専門書を読むようになりました。昔、学生のときに読んでいた本をもう1回見直したりして、エンジニアとしては楽しんでいます。

岩本さん:時間を効率的に使うようなりました。在宅勤務で空いた通勤時間は、家族と一緒に過ごすことで、新しい発見がありました。

シミュレーションの話からちょっと外れてしまうのですが、大学では今、基本的にオンライン授業となってしまっていて、対面での授業が受けられていません。そこで、ダッソー・システムズさんだったら、対面授業や、それに近い授業形態を実現するためにどのような提案をされますか。

岩本さん:ダッソー・システムズは、非常に幅広い技術を持っているというお話をさせていただきました。その中で、クラウドやソリューション、バーチャル・リアリティ(VR)、ミックスド・リアリティ(MR)などの技術と私たちの主力商品である3D EXPERIENCEプラットフォーム(コミュニティの場の技術)、これらを組み合わせて、先生をバーチャル・リアリティで目の前に見ながら、あたかも実際に授業を受けているような形で、どこにいても、どんなデバイスを使っても授業が受けられるような、そういったソリューション、テクノロジーを提供できるのではないかと思います。今後はそういうものを使いながら、授業の在り方も、だんだん変わってくるのかもしれないですね。

最後にお二人から見たダッソー・システムズさんの強みはどんなところだと感じますか。

岩本さん:ダッソー・システムズの会社のスローガンは「ダッソー・システムズは、企業と人に3Dエクスペリエンスの世界を提供し、製品、自然、生活が調和する持続可能なイノベーションを描きます。」です。ダッソー・システムズはテクノロジーを使って、今よりもっといい生活、世界をつくり上げていくという思想を持っている会社です。

我々は、ソフトウェアの会社、あるいはエンジニアリングの会社というよりも、サイエンスの会社であるとも言われますが、幅広い分野に、最先端のテクノロジーを提供できるというところが強みになっています。

岩本さん:我々はフランスの会社ということもあり、長期的なビジョンを持って、そこに対して一歩一歩近づくようにビジネスを行っています。そういった中長期的なビジョンを持ってソリューションを追求することができる企業だというところが一番の強みだと感じています。

取材を終えて

学生の私達にもわかりやすいように丁寧に説明いただきありがとうございました。

ダッソー・システムズさんはこのコロナ禍でも独自の技術を用いて世界に安全な環境を提供したり、お客様のビジネスを継続させることにより、経済的な面でもコロナと闘っている企業だということがわかりました。世の中の為になる仕事をすることができる”技術コンサルタント”という職種にも憧れを抱きました。

今後もダッソー・システムズさんのチャレンジに目が話せません。


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