【創薬研究】憧れの製薬会社の研究職に就くために
製薬企業の研究職といえば、会社を代表する花形職種。ですが、就職活動時においてその競争倍率は最大1,000倍以上とも言われ、内定を勝ち取るためには対策を練ることが必要となってきます。
では、製薬企業で研究者として働くためにするべきこととは一体なんなのでしょうか?
本記事では企業研究の方法からエントリーシート(ES)作成のテクニックまで、幅広くお伝えしていこうと思います。
製薬企業の研究職に就くために必要なこと
製薬企業での研究内容は、基礎研究から薬物動態試験まで多岐にわたります。
ですので、製薬企業だからといって募集者を薬学部生だけに限定しているということはなく、生物や分析化学など各方面について専門的な知識を持つ他学部の学生の応募も受け付けています。
様々な理系学部に門戸が開かれている製薬企業の研究職。ですが、プロフェッショナルな研究を行うために、『最低限これだけは満たさなければいけない』条件もあるんです。
製薬企業の研究者になるためには最低でも修士の取得が必要
製薬企業、その中でも特に研究職では専門的な知識とスキルが求められます。
ですので、募集要項(研究職)に『修士以上』との記載がある企業は多いです。
学士取得だけでは研究職に就くことは厳しいかもしれないことを心に留め、また自らの可能性を広げるためにも、最低限修士の取得は目指しましょう。
ただし、薬学科など6年制学科の学生は例外で、6年のカリキュラムを終わらせ卒業すれば修士卒と同等の扱いになることがほとんどです。
これについては後ほど詳しく説明いたします。
研究職ではコミュニケーション能力も求められる
ひとくくりに研究職といっても、その内容は細分化されており、どの研究室に配属されるかは大学で扱っていた研究テーマによって決定することがほとんどです。
ただ、どこに配属されても共通して必要になってくるのは『コミュニケーション能力』です。
新薬の開発はスピード勝負。競合他社よりも早く新しい薬を世に出すためには、研究室内だけではなく各部門との連携を密に行うことが必要となってきます。
人と話すことに苦手意識がある人は、学生のうちに何かしらのコミュニティに入るなどしてコミュニケーション能力を磨いていきましょう。
就職活動の流れとその対策
就職活動というものは、解禁日によーいドン!の合図で始まるものではありません。
早い人ですと大学1年生のうちからOBOG訪問を始めています。精神的に余裕をもつためにも早め早めの活動開始を心がけましょう。
志望企業を決めるために
どんな研究をしたいのか?自分に何ができるのか?
限られた時間内で志望企業を見極めるためには、明確な目標意識をもつことが大切です。
製薬企業によって重点的に研究開発を行っている事柄は違い、新薬開発に力を入れている企業もあればジェネリック医薬品の開発に特化している企業もあります。
就職活動はとにかく時間に追われるため、内定をとることだけを目的として100社以上に適当に書いたESを提出するのはとても非効率です。
まずは自分が何をしたいのか自己分析し、企業が行っている事業内容と自分がやりたいことのすり合わせを行い、志望企業を20~30社にまで絞りこみましょう。
もちろん、給与や福利厚生について調べることも忘れないでくださいね。
採用者の目にとまるESとは
大前提として、ESは全ての項目において結論から書きだすようにしましょう。
結論に至るまでの導入が長いと「この人は最終的に何を言いたいのだろう?」と、何枚ものESに目を通さなければいけない企業側の読み手にストレスを与えてしまいます。
まず初めに結論を提示し、なぜそう考えるに至ったのか具体的なエピソードも絡めて説明し、閉めの言葉で終わらせるのがよい文章構成といえるでしょう。
志望理由の書きかた
志望理由を書くためには、まずその企業をよく知ることが大切です。
OTC医薬品の製造に特化した企業に提出するESに「画期的な抗がん剤を開発し患者様の命を救いたい」と記載するのは的外れ。
志望企業を数十社に絞った時点で、ある程度は自分がやりたい研究と絞り込んだ企業の主要事業はマッチングしていると思いますが、その中でも会社ごとに差別化は必要です。
規模、理念、実績、他職種との連携状況etc――これらについてリサーチし、企業がどこに重きをおいているのか把握した上で、自分がその環境で何を成し遂げたいのかを明確な言葉で書き出せるとよいでしょう。実体験も交えることができるとBESTです。
自己PRの書きかた
就職活動において自己PRは志望理由と同じくらい大切な項目です。特に研究職は専門的な知識のある学生を求めているので、機器操作スキルや学会発表の経験、作成に携わった論文があれば積極的にアピールしていきましょう。サークルやボランティア、バイトなど学業以外の活動も頑張ったのならばそちらでの実績をメインにアピールすることも可能です。
また、実績だけではなくそこに至る経緯も就活では重要視されるので、目標を達成する際に生じた問題とそれを解決するまでのプロセスも詳しく書けるとESを読む採用者も「おぉ」と感心するでしょう。
これまで何をしてきて、そこで培ったことを仕事にどう活かせるのか。――これらは面接時にも聞かれるので、必ず深く掘り下げていきましょう。
いよいよ企業の人と対面!でも何を言えばいい?
ESやテストセンターでの選考も無事通過し、いよいよ面接が始まるぞ!でも一体、どんなことを聞かれるんだろう?――そう不安に思う就活生も多いことでしょう。
基本的に、研究職の選考過程や面接内容は他の職種と同じです。ただし、研究職ではそれに加えこれまで行ってきた研究テーマの発表もしなければいけません。
研究発表に向けて準備すること
企業によって異なりますが、研究発表では5分から15分程度の制限時間が設けられ、自身のこれまでの研究成果について簡潔に説明するよう求められます。
場合によってはスライドや配布資料の準備も必要となります。学会での口頭発表と同じく質疑もあるので対策しておきましょう。
薬学科の就職活動
研究職志望の就活生の中には、薬学科(6年制)に在籍する学生もいることでしょう。
「結婚した後は退職して、パート薬剤師としてのんびり働きたい」「臨床現場で働くことにも興味がある」――研究職を志望しつつ、こういった考えのもと薬剤師の資格取得を目指す方もいるかと思います。
もちろん、6年制の学生でも研究職に就くことは可能です。しかし、研究職の募集要項に『6年制学部卒は修士卒と同等とみなす』との記載があっても、実際にはそうではないケースもあるので要注意です。
薬学科では実習や資格試験勉強があるがために、どうしても研究する時間は削られてしまいます。そのため、6年制の学生は院生に比べ研究スキルがない――そういったバイアスがかかることもあってか、募集要項に6年制卒応募可の記載をしつつ修士を優先して採用する企業も存在します。
この傾向は一部の中小企業に見られるように思います。実際、私も「6年制ではなく院生を歓迎する」と明言する研究職の採用担当者を目の当たりにしたことがありました。
ですが、だからといって研究者としての道を諦める必要はありません。
実習などを通し、薬が実際に使われる現場を知ることができるというのは薬学科の学生だけがもつ強みです。私自身も6年制出身で一時期は研究職も視野に入れ就職活動を行っていましたが、実習での体験も交えESを作成したところ大手含め何社かは面接までこぎつけることができました。
最終的には薬局薬剤師として働く道を選びましたが、資格をとった上で企業の研究者として働いている大学の先輩や同期、後輩は数多くいます。
6年制だからといって、院生よりも劣っているということはありません。特に、薬学科出身者は薬のスペシャリストです。病院や薬局、ドラッグストアでの実地研修を振り返り、そこで学んだことを研究でどう活かせるのか考えアピールしていきましょう。
おわりに
製薬企業の研究職は非常に狭き門であり、ESの時点で落とされることも多々あります。ですが、自分のこれまでの努力を信じ適切な言葉でアピールしていけば選考を通過することは十分可能です。
・研究を通して何を成し遂げたいのか
・なぜその企業を志望するに至ったのか
・自分にどのような強みがあるのか
これらについて熟考し、具体的なエピソードも用意しつつ内定を勝ち取っていきましょう!
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