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大成建設技術センター見学レポート 私達の生活を支えるゼネコンでの研究開発の仕事とは?

神奈川県戸塚区にある大成建設技術センターを見学し、そこで働く女性研究者にどんな研究をされているのか、お話を伺ってきました。

その様子をレポートします。

技術センターとは?

大成建設の建造物は、世界各国の地図に残されています。この「地図に残る仕事。」を支え、未来の技術を開発する役割を担うのが、大成建設技術センターになります。

技術センターには、最先端の設備や装置が備えられており、そこでは、優秀な技術者、研究者たちが日々研究開発に取り組んでいます。

例えば、津波への対策を検証する津波実験施設では、学校にある体育館ぐらいの大きい建物の中に巨大な水槽や津波造波装置がありました。

また構造実験棟では、大きな圧力をかけることによってどの様に壊れるかを検証する実験がまさにこれから行われようとしていました。

橋梁や建物などに用いられている鉄筋コンクリート構造物は、地震が発生した際に急に崩れてしまうと危険なため、いかに安全に壊れるかという壊れ方も設計で考慮しています。この実験では、十分な耐荷力を持っているかとともにその壊れ方も、実際に外力をかけて壊してみることで検証します。

他にも、コンサートホールを設計する際に検証する「音場シミュレーション」や火災時の構造物の耐火性能を実物規模で検証することができる設備など、さまざまな実験施設がありました。

実際に足で歩いて自分の目で見てみると、そのスケールの大きさに圧倒され、ゼネコンが手がける事業の規模の大きさを改めて実感することができました。

実際に働く女性研究者にインタビュー


では、実際どんな方がこの技術センターで働かれているのでしょうか。女性研究者にお話を伺ってみました。

ーー(学生)学生時代はどのような勉強をされていましたか。​​​​​​​

大学と大学院では、建設学科を専攻していました。その中の土木工学コースで、研究室では「コンクリート」の研究をしていました。

ーー(学生)「コンクリート」はよく聞くのですが、何からできていますか。

砂利と砂、セメントと水を混ぜたものが「コンクリート」と言われています。

みなさんは、コンクリート構造物をあまり意識して見たことはないかもしれませんが、実は身の回りにものすごくありふれています。

例えば、道路もそうですし、空港や港、トンネル、ダムなど「コンクリート」が使われていないものはないくらい、多くの構造物に使われています。

また、「コンクリート」と一言でいっても、ダムならダム用など、用途別にさまざまな技術が詰まっています。

ーー(学生)コンクリートってどれも同じではないのですね!では、なぜその分野に進もうと思われたのですか。​​​​​​​

もともと建物やものづくりに興味があり、建設学科を専攻しました。研究室を決めたのは、「コンクリート」はアイデア次第で全く性能が違うものができるということを知り、面白そうだなと思ったのがきっかけです。

例えば、「コンクリート」の中に鉄筋が入ると「鉄筋コンクリート」となります。鉄筋を入れることによって、お互いの欠点を補い、長所を伸ばすことができます。

「コンクリート」は実は押される力には強いのですが、引っ張られる力には弱くて割れてしまいます。「鉄筋」は逆に引張に強いため、「コンクリート」の中に入れることによって、鉄筋が引っ張られる力を受け持ってくれて「コンクリート」を守ってくれるのです。

「コンクリート」だけで構造物を作ろうとすると、ローマにある水道橋のようにアーチ型になります。これは、部材に引張の力を発生させないためです。

しかし、「鉄筋」が入ることによって、橋もスレンダーなど様々な形になることができます。それがすごく面白いなと思いました。

ーー(学生)現在はどのようなお仕事をされていますか。​​​​​​​

「鉄筋コンクリート構造物」の長寿命化や劣化の予測を研究テーマの一つにしています。

「鉄筋コンクリート構造物」の劣化の原因の一つに「塩害」があります。「塩害」と聞くと、みなさんは、農作物が海水に浸かってしまうことを想像されるかもしれませんが、「鉄筋コンクリート構造物」の「塩害」は、海水などの塩分がコンクリートの中に入って,コンクリート中の鉄筋を腐食させることを言います。塩害がとても進行すると、鉄筋コンクリート構造物の持つ本来の性能が発揮できなくなり,鉄筋コンクリート構造物を安全に利用できなくなります。塩害による鉄筋コンクリート構造物の劣化予測を研究することで塩害による劣化メカニズムを把握することができ,塩害による劣化に強いコンクリートの開発や既存の構造物の補修,補強方法の選定にも役立ちます。

また、高度経済成長期以降に建設された多くの建造物の劣化や耐久性の調査などの仕事も増えてきました。

ーー(学生)この技術センターでは何人ぐらいの社員さんが働かれていますか。また、女性の割合を教えて下さい。

約200人の社員が技術センターで働いています。その内の1割強が女性になります。

部署間の交流も頻繁にありますし、育児休業などで研究を離れてしまう場合も会社がつながりを持ってくれるようなセミナーもあり、復帰後もスムーズに研究開発に戻ることができます。

ーー(学生)今後の研究課題は何かございますか。​​​​​​​

研究課題はいくつもあります。

例えば単に性能が良い素材を使えばいいだけではなく、地球環境を考えた時に限りある資源を有効に用いることが求められるので、リサイクルや長寿命化を目指した持続可能な研究開発が必要になります。

自分自身の研究では一つに決めることはできませんが、「100年後、300年後を見据えて残っていく構造物はどういうものなのか。」ということをきちんと考えられるような研究者でいたいと思っています。


この見学を通して、当たり前のように蛇口をひねると水が出るという恵まれた私達の生活は、ダムの建設など土木の技術の発展によるものだということを改めて実感することができました。またそこには技術センターで日々研究・開発をされている研究者の努力があることを知ることができました。

そして、ゼネコンと聞くと建築や施工の分野が思い浮かびますが、大成建設には建物の設計・施工だけではない、研究開発という重要な仕事があることを学びました。

大成建設様、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。


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