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理系女子の先輩、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ビジョンケア カンパニー代表取締役プレジデント 海老原育子さんにインタビュー

ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ビジョンケア カンパニー 代表取締役プレジデントの海老原さんに特別にインタビューさせていたくことになりました。

海老原さんに、学生時代のこと、技術職で活躍されていたこと、理系女子の先輩としてのアドバイスを頂きました。

(インタビュアー 慶應義塾大学 理工学部 化学科 3年 横山)

ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ビジョンケア カンパニー
代表取締役プレジデント 海老原育子さん 略歴

1990年  東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修士課程修了、修士(理学)

同年4月 住友スリーエム株式会社(現スリーエムジャパン株式会社)入社

1999年     スリーエム 米国本社に転籍

2013年     ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社入社

2016年9月より現職

ジョンソン・エンド・ジョンソンが理系女子を支援する理由

ーー今回の「女子中高生サイエンスツアー」をジョンソン・エンド・ジョンソンが開催した理由をお聞かせください。

今回開催した「女子中高生サイエンスツアー」の他にも、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、東京大学の理系の5学部(理学部、工学部、医学部、薬学部、農学部)で学ぶ女子大学生・院生14名が海外研修を行う「"Rikejo" Initiative」というプログラムを行いました。

そのプログラムでは、ジョンソン・エンド・ジョンソンの米国本社に訪問したり、デザインセンターやイノベーションセンターなど最先端の研究施設を見学しました。

また、そこで働く女性研究者と交流し、研究者がどういうキャリアを積んできたのか、また出産や育児などのライフイベントをどう乗り越えたのかなど、学生が質問できる機会を設けました。

こういった、ジョンソン・エンド・ジョンソンが行っている理系女子への支援は、別に男子を差別しているわけではありません。

日本だけに限らず、理系のフィールドになると、世界的にみても女子(女性)が少なくなります。人口では男女比は大体半々なので、これはきっと変なバイアスがかかっているからだと考えられます。

そこで、女子に対して、「こういう世界があるんだよ」ということを見せてあげる機会を提供することで、無意識にあるかもしれないこのバイアスを外してあげたい、というのがこの企画の意図になります。

 

ーー海老原さん自身も理系の女性で、女性技術者として働かれていました。理系女子の先輩としてご自身のことについてお伺いしたいと思います。

学生時代について

ーー理系に進まれたのは何かきっかけがありましたか。

もともと、算数や理科が好きだったということもありますが、小学生の時に天体観測会に参加して土星や木星など星に興味を持ったことがきっかけです。

 

ーー天文学に興味があって理系に進まれたとのことですが、大学の専攻に化学を選ばれたのはなぜですか。

「星をみること」が好きで、天文学を学ぶことができる東京大学の理科一類に進学しました。

しかし、大学に入ってから分かったのですが、実際の天文学はコンピューターからはじき出される数字を解析することが多かったのですね。

私が好きだったのは「星をみること」だったので「ちょっとこれ違うな」と思いました。

そこで、なぜ化学にしたかというと、量子力学を勉強した時に面白いなと感じたからです。

物質Aと物質Bが反応して、物質Cになったり、物質Dになったり、それが、波動関数などで表現できるのがすごいなと感じ、反応学を勉強したいと思って化学の道に進みました。

 

就職先に選んだ企業は外資系

ーー大学院を卒業した後に、就職先として外資系企業の技術職を選ばれたのはなぜでしょうか。

もともと、英語が嫌いではなかったということがあります。

また、当時はバブルで、いろんな会社が社員を獲得しようと一生懸命だった時代です。

しかし、男女雇用機会均等法も施行されていなかったこともあり、企業訪問にいくと「やっぱり女性はね」って言われることがありました。

それが、日本の会社では多かったという理由もあります。

今では考えられないかもしれませんが、男女で給料に差があったり、男性しか採用しない、ということも当時はありましたね。

 

ーーその後、海外の本社でも技術者として活躍されていますが、理系でも海外で仕事をするチャンスはあるのでしょうか。

外資系の企業で働いていると、海外に出張する機会は文系より理系の方が多いと思います。

海外の本社周りでは、様々なテクノロジーがあります。

技術者が海外でそのテクノロジーを身に付けて、日本のマーケットに応用するというニーズはとてもたくさんありますよ。

 

研究をすることで自然と身に付けることができるスキルは後の人生で必ず役に立つ

 

 

ーー学生時代の経験で役立ったことなど、ご経験から、理系大学生に対してアドバイスをいただけますでしょうか。

理系では、大学3年生の後半くらいから研究が始まってくると思います。

研究が始まると、今までやってきた頭の使い方と全く違う頭の使い方をしなくてはいけません。

例えば、今まではきっと正解があったと思います。試験があって、答えがありました。

しかし、研究では、正解は誰も知りません。思考を飛躍させて、ないものを生み出す、新しいこと、だれも考えなかったことを作り出していくフェーズになります。

「どのように課題を設定するか」このことが、もしかすると答えを見つけることよりも難しいかもしれません。

これが実際やってみると、とても難しいのです。

すぐすんなりできるかというと、最初は難しくて困ることもあるかも知れませんね。

私自身も最初は困りました。先生に「これでよいのでしょうか」とやっぱり答えを求めに行ってしまい、その度に「そんなの知らないよ」と言われ(笑)。鍛えられました。

また、実験って失敗することも多いので打たれ強くなりますね。

失敗から学び、効率性を追求したりすることで、ロジカルシンキングは自然に身に付けることができます。

ですので、必ずしも研究や学会発表などで得た知識を直接仕事で使わないかもしれませんが、その時に経験したことが、将来とても役に立ちます。

ジョンソン・エンド・ジョンソンのダイバーシティ&インクルージョンとは

ーージョンソン・エンド・ジョンソンはダイバーシティとインクルージョンを経営の重要課題として位置づけていますが、海老原さんが考えるダイバーシティとインクルージョンについてお聞かせください。​​​​​​​

例えば、従業員の男女の比率を五分五分にすることや、女性を何割にするなどといった数値目標をゴールにしているわけではありません。

男女だろうが、どんな人であろうが、自分が自分であること、例えば、変に「私って50代の女性だから・・・」ということを日頃意識しないで、普通にのびのびとしていられる状態が、ダイバーシティとインクルージョンの目指すところだと思います。

いろんな人が一緒にいるということだけですと、「ダイバーシティ」ですが、「インクルージョン」というコンセプトが入ることによって、「私は私、あなたはあなただから、性別や年齢、文化、宗教など関係ないよね」となります。

すべての人が居心地のいい場所で働けることが大切だと考えています。

 


海老原さん、貴重なお話ありがとうございました。

同じ理系女子の先輩で活躍されている海老原さんのお話を聞く事ができて、これから研究を始める理系学生にも刺激になったと思います。

今回このような機会をつくっていただきました、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) ビジョンケア カンパニー様、本当にありがとうございました。

 


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