デンソーのダントツ工場推進部 女性技術者にインタビュー
みなさん1台の自動車には大体何個ぐらいの部品が使用されていると思いますか?
100個ぐらい? 3000個ぐらい?
なんと、
自動車は約2万〜3万もの部品から構成されており、そのうち自動車部品メーカーがてがける部品はおよそ70%も占めているのです。
今回は愛知県刈谷市に本社を置く大手自動車部品メーカー、株式会社デンソーさんを取材いたしました。
技術と技能の融合を大切にする株式会社デンソー
出典:株式会社デンソーHP
連結売上収益 4.5兆円、151,000人が働くグローバルな自動車部品メーカーで、わかりやすい製品を挙げると、カーナビゲーションシステムやプリクラッシュシステム(衝突回避)等は、デンソーが世界で初めて開発した製品です。
また、普段私たちがよく使っているQRコードもデンソーが開発しました。
デンソーでは、地球環境に配慮し,より交通事故の少ない社会を目指して製品開発,生産が行われています。
部品メーカとしての誇り
デンソーは世界中の自動車メーカと取引があるため、デンソーが新しい良い技術を開発すると世界中の車に革新をもたらすことができます。
そのことから、「常に車の進化をリードする存在でありたい」と考えられているそうです。
例えば…
・ヘッドアップディスプレイ
交通事故の主な原因の1つである、脇見運転を防ぐため、フロントガラスに速度計や方向指示器等の情報を表示するシステムです。すでに一部の車に導入されています。
また、夜間の交通事故を減らすため、暗い状況でも人の存在を認知しやすくするナイトビューシステムなどの製品も作っています。
これらの製品は、画像認識技術などの基礎技術を発展させたり、新しいことにチャレンジしながら技術知見を高めてきたデンソーだからこそ開発できるものなのです。
他にもロボットの技術を利用した医療支援ロボットや空調管理システムを利用した農業支援など、デンソーが自動車の開発を通じて培った技術を応用し、新しい分野にも取り組んでいます。
自動車=男性のイメージ?
自動車業界というと男性社会のイメージがあるため、
デンソーさんの実態を伺いました。
実際のところ、女性比率は12%とまだまだ男性の社員が多いです。
しかし、現在、車のユーザーの半分は女性ですし、最近では、高齢者の方など運転に不安を覚えるユーザーも増えてきています。
走りを追求していくばかりでなく、多様なユーザーに配慮した安全な車が求められているため、車の機能の中核を担う自動車部品メーカーとして、多様な価値観を大切にしていきたいと考えています。
そのため、女性の意見も今後更に重要になってくると思います。
女性社員へのサポートとしては、例えば、出産後の支援については、子供が小学校卒業するまでの間に分割取得可能な法定以上の育児休暇や短時間勤務制度、事業所内の託児施設など多様な施策を用意しています。
また、制度だけではなく、社員自身の意識改革も重要だと考えており、育児休職からの復職前には、夫婦での家事・育児の役割分担について考えられる機会を設ける研修などにも取り組んでいます。
普段、家庭で夫婦の役割分担の話し合いをすると喧嘩になることもあるそうですが、夫婦で一緒に研修を受けることで、すんなりと受け入れてくれる旦那様が多く、このセミナーは好評です。
女性のリーダー育成にも力を入れており、現在56名の女性管理職を2020年までに100人にすることを目標にしています。
女性優遇でなく、男女関係なく成果を出せるよう、会社と社員両方の成長につながる施策に取り組んでいます。
ダントツ工場推進部で働く若手女性社員にインタビュー
主な技術系職種には設計職、研究職、開発職、生産技術職などがあります。
今回、生産技術職で働く、4年目の本田さんと日髙さんにお話を伺いました。
お二人が所属されている「ダントツ工場推進部」は企業全体の生産効率の向上や革新を、開発から量産まで全ての領域で考える部署です。
ダントツ工場推進部ではどのようなお仕事をされていますか?
本田さん: 私は、入社後、まず新製品の生産ラインの立ち上げを行いました。今は将来を見据えた要素技術開発を行っています。より高い品質で、よりコストを抑えて製品を生産できる革新的な生産システムを目指し、開発・設計を推進しています。
日髙さん:ファクトリーIoT推進という立場で生産現場での人の働き方を効率化することを目指しています。例えば、ウェアラブルデバイスを利用して、作業者のカン・コツといった動きをデータ化して分析し、技術や技能の伝承が上手くできるように活用したり、人員をより効率的に配置するよう変革を加えたりしていきます。
デンソーさんに入社されたきっかけを教えてください。
本田さん:学生時代より車に限らず、生産技術の仕事がしたいと考えていました。
なぜ「生産技術」を希望したかというと、どんなに素晴らしい技術開発が行われたとしても、実際のコストや生産方法が考慮されないと世の中に広めることができないからです。
「素晴らしい『価値』を世界中に広めたい」という強い思いがあり、グローバルに展開しているデンソーに決めました。デンソーが生み出した良い価値を世界中に広めたいと思っています。
また、インターンシップに参加した時に、デンソーでは学生である私に対し、一人の技術者としての意見を求められました。技術者としてみていただいていることがとても嬉しかったことも決め手のひとつです。
日髙さん:工業高校を卒業した時点でまだ技術を磨きたいと考えていました。その時に、デンソーには企業内学園があることを知り、仕事をしながらしっかり技術を学ぶことができると考え入社しました。もともと車が好きだったのも理由のひとつです。
このお仕事の魅力を教えてください。
本田さん:生産技術は製品の技術のことはもちろん、材料や生産現場に至るまでとても幅広い視点が必要なので大変ですが、楽しいと感じます。
また、周りも多様なバックグラウンドを持つ人が集まっていて面白いです。
日髙さん:それまで勉強してきたこととは違う分野の勉強をたくさんしなくてはならず、戸惑いましたが、仕事現場で「あのとき勉強したのはここで使われているのか!!」という気づきも多いです。様々な勉強をしておくことの大切さを実感しています。
本田さん:生産技術の仕事は、ユーザーが生産現場なので自分のやった仕事の反応がダイレクトに分かる点も魅力に感じます。
自分が導入したシステムがどう使われているのか実際の声を聞くことができ、「じゃ次はここにも気をつけよう!」と自分のモチベーションが上がります。
学生:自動車はたくさんの技術を複合してできているため、専門を大切にしつつも、専門だけこだわらず多様な知識を身につけた技術者を目指すという姿勢を大切にされていているのですね。だからこそ、社内の技術者教育には力を入れているそうです!
最近のお仕事内容を教えてください。
本田さん:10年後、20年後を見据えた生産技術の要素技術開発を行っています。
実際に手を汚しながら実験をしたり、専門部署を巻き込んで評価に反映したり、テスト機の仕様を考えたり。
世の中に今までなかった技術を創造するので、手探りで失敗も多いですが、試行錯誤したり、手を動かしたりするのが好きなので楽しんでやっています。
日髙さん:各拠点の方にIoT推進への理解を深めていただき、社内の仲間づくりをするために説明資料を作成したり、製造部を訪問することが多いです。
社内の雰囲気はいかがでしょうか?
本田さん:同期が多く各部署に散らばっているので、わからないことは助け合ったり、同期から詳しい人を紹介してもらったりして解決することも多いです。廊下ですれ違っただけで「あの件は大丈夫?」と聞いてくれたりしてとても助かっています。
日髙さん:去年結婚し、家族のことを考えて早く帰らなければいけない日ができましたので、日々のスケージューリングを意識して考えるようになりました。周りのフォローもあたたかいです。
本田さん: みんないい人ですよね。週に一回、課のミーティングがあり、仕事の負荷が個人に偏っていないかも配慮しあっています。
また、上司から「何をやりたいのか、どんな技術者になりたいのか」をよく聞かれます。年に上司との面談が数回ある等、若手の意見をしっかり聞いてもらえる雰囲気があり、とても風通しが良いです。
今後の夢や目標をお聞かせください。
本田さん:目標は自分の得意とする接合技術の分野で本田さんに聞けば分かると思われる技術者になりたいです。また、新製品のラインを引きたいという思いもあります。将来的に、家庭を持った際は仕事と上手く両立させたいです。
日髙さん:自分の軸を確立させ必要とされる技術者になりたいと考えています。ずっと仕事はし続けて行きたいですね。
デンソーは1月から新たに「Crafting the Core 」をスローガンに技術,技能のコアを磨き上げ、次世代に明るい未来を届けられる製品づくりを大切にしています。
技術力の高さはもちろんのこと、皆さんが口を揃えて社員の人の良さをおっしゃっていて、それぞれの目標を持ちながらも協力しあってポジティブにお仕事をされている様子が垣間見えました。
人事部の皆様,本田さん,日髙さん,ありがとうございました!
次に、デンソーの基礎研究所で働く女性技術者の方にもお話を伺いました。
デンソーさんの新卒採用の情報はこちら↓↓
会社概要
社名 | 株式会社デンソー |
設立 | 1949年12月16日 |
本社所在地 | 〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1 |
資本金 | 1,874 億円 |
売上収益 | 連結 4兆5,245億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
営業利益 | 連結 3,157 億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
当期利益 |
連結 2,443 億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
従業員数 | 連結 151,775名 単独 38,490名 |
連結子会社数 | 188 社 (日本 62、北米 28、欧州34、アジア 58、南米/その他 6) |
持分法適用関連会社数 | 36社 (日本 13、北米4、 欧州 4、アジア13、南米/その他 2) |
数値は、IFRSに基づくデータです。特に記載がない限りは、2016年3月31日現在のデータです。