デンソーの基礎研究所で働く 女性研究者にインタビュー
デンソーさんの基礎研究所は愛知県日進市の愛知池という池のほとりに位置しています。
実際に基礎研究所での研究の様子や研究所で働く先輩理系女子社員のお二人を取材しました。
デンソーの基礎研究所とは?
1991年に設立され,10年以上先の技術を見据えた長期のテーマを扱って研究開発を行う研究所です。
半導体研究をメインに開始しましたが、現在では、人工知能、バイオ、人間特性まで幅広い研究を行っています。
先進・先端の研究をしていくだけでなく、事業化を意識して社内の事業部とも密に連携し、共同研究も盛んに行っているそうです。
今回、先端研究部でバイオ分野の研究をされている金指さんと、人間特性の研究をされている鈴木さんの職場を見学させていただき、詳しくお話を伺いました!
バイオ研究 〜藻からオイル?〜
化石エネルギーの代替燃料として環境に影響を及ぼさないオイルを藻から生産する技術の研究をしています。
光合成を利用してバイオ燃料を生産します。藻は、他のバイオ燃料の原料とは違い、食料とは競合しない原料であることがメリットです。
「シュードコリシスチス」という藻を利用しています。「シュードコリシスチス」は、酸性下でも生き続けることができ、増殖も早いという特徴があります。
現在、九州で80メートルの水槽を利用して屋外実証実験にも取り組まれています。
今回は屋内ですが、実際に増殖している様子を見せていただきました!
藻の培養をして増やしたのちにオイルをためる段階になり、藻を回収してそのオイルを抽出した後で酸素原子を除く操作などの精製を行い完成するそうです。ここの研究室では、日本に数台しかないような研究機材もあり、最先端の研究が行われていました。
また、研究の中で藻の保湿成分に注目しmoina(モイーナ)というハンドクリームも作られました。女性技術者が中心となって製品開発を行ったそうです。自動車部品メーカーがハンドクリームを作るという発想と行動力が面白いですね。
人間特性研究 〜居眠り検出〜
自動車部品と人間特性は一見関係ないように思われますが、これからの自動車は付加価値が求められていて、より安全・より快適な車の実現のために人間の感情や快適さを定量的に評価する人間に関する研究が不可欠です。
ここでは、カメラでドライバーの顔を検出し、眠気レベルを判定して眠気が危険レベルになる前に起こす眠気検出システムを開発しています。
実際に体験させていただきました!
表情の要素を検出して眠気レベルを0から5まで判定します。話している、笑っているなども検出できます。
判定の要素は顔の3つの筋肉が眠気と関係していて、筋肉の動きを画像処理で測定して判定を行っています。
眠気があると判定されるとドライバーの顔に送風をして眠気を覚ます、といったことが想定されているそうです!
自動車運転だけではなく、試験勉強などにも使いたいですね(笑)
基礎研究所で働く!女性技術者の先輩にインタビュー
次に、基礎研究所で働く、女性社員2名の方に現在のお仕事内容や就職活動などお話を伺いました。
金指さんは5年目、鈴木さんは2年目の若手の社員さんです。
現在のお仕事とこの分野の研究をすることになった経緯をお聞かせください。
金指さん: 現在、バイオ材料研究室に所属し、微生物の力を利用して工業的に良い特性のある材料を作り出す研究をしています。
学生時代は藻類の研究をしていたため、研究を通じてデンソーのことを知りました。大学時代の分野を活かした仕事がしたいと考えていました。
鈴木さん: 現在、人間特性基盤研究室に所属しています。
大学時代は脳科学の研究をしていて、就職活動時に人間研究をデンソーが取り組んでいることを知って興味を持ちました。
デンソーでの技術職を選ばれた理由を教えてください
金指さん: 「自分が楽しんでできる仕事ってなんだろう」と考えた時に技術職が楽しそうだなと思って選びました。バイオをやっていたため、当時、自動車業界で仕事をすることは予想していませんでしたが、未知の世界で面白そうだと感じて飛び込みました。
鈴木さん: 私は大学院に進んだときから技術職につくことを決めていたので迷いはありませんでした。また、海外に行きたいという思いがあるのでそれが叶うかどうかも考慮に入れました。デンソーにした決め手は面接での印象が良かったからです。
企業での研究は学生時代の研究と違いはありますか?
鈴木さん: デンソーは基礎研究をしっかりやっているので、企業の研究でも大学時代とあまり変わらないなという印象です。
ただ、スピード感はとても違いを感じます。学生時代に半年かけていた内容を3週間程度で行うくらいの感覚ですね。また、学生時代は研究室に女性が一人でしたが基礎研究所は意外と女性が多くいます。
金指さん: 私も時間の使い方に気をつけるようになりましたね。
私が感じた違いは、学生時代は1から10まで自分たちで研究しなくてはならないことが多いですが、デンソーでは自分たちでは難しいことを業者の方に依頼したり共同研究先の方に依頼したり、といった効率化ができているなと感じます。
外部機関に仕事をお願いする時は意図した測定や計算になっているかフォローする必要があるため、コミュニケーションの大切さを感じますね。
研究所での一日の仕事の流れを教えてください。
鈴木さん: 出社してメールチェックをした後にその日やるべきことを確認します。与えられたテーマについてデータをとってまとめて…という感じでひたすら研究をしています。
金指さん: 9時くらいに出社してメールチェックまでは同じです。私は前日に次の日やることを決めています。実験や打ち合わせ、共同研究先とのやりとりなどをしています。
デンソーさんの良いところはどのようなところですか。
金指さん: 会社の規模が大きいので、様々な分野の専門家が社内にいることです。わからないことがあってもすぐに専門家に聞くことができます。
鈴木さん: 福利厚生が充実しています。例えば産休から復帰してきた先輩が普通に活躍されているのを見ると安心します。また、基礎研究をここまでしっかり予算をつけて取り組ませてもらえるのは大企業であるデンソーだからだと思っています。
将来の目標は何ですか。
金指さん: 自分の研究をしっかり行い、研究した技術が事業になって会社に恩返しできるようになれればと思います。
鈴木さん: まだ若手なのですが、自分の研究で人々の幸せにつながるものを作りたいというのが夢です。また、海外勤務をし、海外の技術を勉強してデンソーに還元したいと考えています。
最後に学生へアドバイスをお願いします。
金指さん: 社会人になってから知った企業が多くあります。B to Bの企業では優良企業がたくさんありますので、名前を知っているかどうかに限らず色々な企業をみると良いと思います。
鈴木さん: 私は面接で緊張してしまうタイプだったのですが、今思うと緊張する必要は全くなかったなと思います。自分らしく話すことが大切だと思います。
デンソーの基礎研究所では、先進的な車社会を目指して、自動車部品に直結するものに限らず、広い視点から車を使う社会全体のことを考えて研究開発が行われています。
しっかりした基礎研究ができるからこそ、デンソーさんでは様々な技術が開発されているのだと感じました。
基礎研究所の皆様、金指さん、鈴木さん、ありがとうございました!
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会社概要
社名 | 株式会社デンソー |
設立 | 1949年12月16日 |
本社所在地 | 〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1 |
資本金 | 1,874 億円 |
売上収益 | 連結 4兆5,245億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
営業利益 | 連結 3,157 億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
当期利益 *親会社の所有者に帰属 |
連結 2,443 億円 * 2015年4月1日~2016年3月31日 |
従業員数 | 連結 151,775名 単独 38,490名 |
連結子会社数 | 188 社 (日本 62、北米 28、欧州34、アジア 58、南米/その他 6) |
持分法適用関連会社数 | 36社 (日本 13、北米4、 欧州 4、アジア13、南米/その他 2) |
数値は、IFRSに基づくデータです。特に記載がない限りは、2016年3月31日現在のデータです。