
表面実装機の“中身”をつくる仕事──ロボティクスのメカ設計としての5年間
ヤマハ発動機には、バイクやマリン製品だけでなく、実は“電子基板をつくる機械(表面実装機)”を開発するロボティクス事業があります。今回お話を伺ったIさんは、その表面実装機のメカ設計を担当し、入社5年目でユニット全体の設計を任されるまでに成長されたエンジニアです。
Iさんの学生時代の専門は精密計測で、サブミクロン単位の精度を扱う研究に取り組まれていました。その経験が今の評価・設計の仕事にも活きているといいます。また、ロボティクスならではの“設計から評価まで一貫して担当する”スタイルにより、ものづくりの幅広いスキルを身につけてきました。
若手でも挑戦を歓迎してくれる環境があり、海外出張や現場調整など、多くの成長機会があったと語るIさん。この記事では、そんなIさんの仕事のリアルや、キャリアの歩み、学生へのアドバイスをご紹介します。
私は2021年にヤマハ発動機に入社し、現在はロボティクス事業のSMT 第2開発部 コストイノベーショングループ(CIG)でメカ設計を担当しています。学生時代は精密計測が専門でしたが、今つくっているのは“電子基板を量産するための機械”。
スマートフォンや自動車、家電……そういった身近な製品の多くに使われる電子基板。その基板に電子部品を搭載する装置が「表面実装機」です。
その中で私が担っているのは、性能と品質を落とさずにコストを下げる“コストダウン設計”。とても難しくて、とてもやりがいのある仕事です。

設計だけじゃ終わらない。
組立・評価まで一気通貫で関わる仕事
コストダウン設計とは
所属するCIGは、開発部の中でもコストダウンに特化した設計グループです。
「コストダウン」と聞くと単に“安くする作業”に聞こえるかもしれませんが、実際にはまったく逆で、性能・品質・組立性・メンテナンス性を損なわずに、原価だけを下げるという高度なバランスが求められます。
やることは多岐にわたります。
- 部品形状の見直し
- 材料の変更
- 構造の大幅な組み替え
- 加工工数の削減
- 組立の簡易化 など
安くつくるだけなら簡単なのですが、そのままでは求められる性能や品質をクリアできません。例えば、安くした結果、製造現場で「組み立てが難しくなった」「サービス担当がメンテしにくい」では意味がありません。
重要なのは“部品単体の最適化”ではなく “装置としての最適化” を目指す。
これこそが、この仕事の本質です。
設計だけじゃない。組み立ても、評価も自分で
ロボティクスは、設計者が評価まで行う文化が根付いています。
企画検討→設計・出図→試作組立→評価まで、一気通貫で関われるのがロボの魅力です。
- 図面で想定したとおりに動くか
- 組み立て方法に問題はないか
- 要求通りの性能を発揮できているか
- 量産で再現性があるか
これらを自分の手で確かめながら、製品をブラッシュアップしていきます。
「手を動かしながら理解が立体的になる」ことは、若手として非常に大きな学びになっています。
若手時代の成長:部品からユニットへ、トラブル対応から学んだこと
最初の壁:製造現場と技術の“橋渡し役”
技術配属から半年〜1年ほど経った頃、製造現場で起きた工程トラブルの対応を任されました。ここで大変苦労したのが、関係者間の認識合わせです。
- 製造部門
- 技術部門(機械・制御・ソフトウェア設計)
- 調達部門
- 品質保証部門
多くの人が関わる中で、「誰が何を知っていて、どこが問題で、何を決めるのか」を整理するのは想像以上に難しく、当時は本当にうまくできませんでした。
ただ、この経験が大きな財産になりました。
“情報共有の仕組みづくり”が設計より大事な場面もある。
技術力だけでなく、調整力・巻き込み力の重要性を、この時に強く実感しました。
部品単位から、“ユニット全体の設計”へ
入社5年目の現在は、電子基板を搬送するコンベアユニット全体のメカ設計を担当しています。
部品単位からユニットへ扱う範囲が広がり、責任や判断材料も増えました。
「なぜ過去機種ではこの設計だったのか?」
「この改善で別の問題を生まないか?」
多くの先輩方に相談しながら、毎日図面を書き、試作を組み、トライ&エラーを繰り返しています。
学生時代の専門は“精密計測”。その視点が今に活きる
±25μmの世界をどう“測るか”

大学・大学院では精密計測(機械系)を専攻していました。
表面実装機は電子部品を±25μmの精度で置く世界。
学生時代に学んだ“どう誤差を減らすか”“どう測るか”という視点は、評価・設計のあらゆる場面で役立っています。
意外に活きるのは“発表力”
研究室で鍛えられたプレゼンやスライド作成も、予想以上に役立っています。社会人になってから、「資料作成の基礎」を学ぶ機会はあまりありません。
学生時代に身につけておけてよかったと感じるスキルのひとつです。
ロボティクスで働く魅力:BtoBの“ありがとう”と、挑戦に手を挙げられる文化
BtoBだからこそ、お客様の声が直接届く
表面実装機はBtoB商品です。
据付やトレーニングでお客様先に訪問することがあり、新人の頃に初めて現場に同行したとき、「ありがとう、助かったよ」と声をかけていただいたことがとても嬉しく、今でも覚えています。
“やりたい”にYESが返ってくる
入社3年目のとき、中国で行われた展示会への出張に立候補し、参加させてもらった経験があります。
- 海外での展示会運営
- 言語が通じない中でのコミュニケーション
- 海外の市場を肌で感じる経験
若手にもチャンスを与えてくれる文化がヤマハ発動機にはあります。
現在のチームは“若手中心”で、相談しやすい雰囲気
今携わっているプロジェクトチームは、4歳上〜2歳下くらいのメンバーが中心。
年齢が近く、会話しやすく、困ったときには気軽に声を掛け合える関係です。
職場環境:柔軟な働き方、女子寮の思い出、そしてヤマハ発動機を選んだ理由
ヤマハ発動機を選んだ決め手は「雰囲気の良さ」
就活の際、冬のインターンでSMTのテーマに参加し、職場の雰囲気の良さに惹かれました。
- 上下関係が堅苦しくない
- 部長とも気軽に話せる
- 皆さんが明るく、自然体
「ここで働きたい」と思えたのが、入社の決め手です。

入社後に意外と良かったのが“女子寮”
同期と夕飯を食べたり、休日に出かけたり、社会人1年目ならではの楽しい思い出ばかりです。希望者が入寮可能になっており、地方から来る方にとっても安心できる環境です。
働き方の柔軟さ
BtoB製品の開発では、時期によって残業時間が増えることもありますが、フレックスタイム制やテレワークを活用しながら、自分のペースに合わせて働けています。
私は、実機を確認しながら進める業務が多いため出社する日も多いのですが、状況に応じて在宅勤務を選べるのはとても助かっています。
仕事と日常のバランスを大切にしながら、自分らしく働ける環境が整っていると感じています。
学生へのメッセージ:資料力・観察力・視野の広さを大切に
① プレゼン・資料作成の基礎は必ず役に立つ
社会人になると“資料の作り方を学ぶ機会”は案外ありません。
学生のうちに研究発表で鍛えたことは、大きな武器になります。
② ものの構造に興味を持つ
設計は「発想の引き出し」が命です。
身の回りの機械の仕組みに興味を持つほど、設計のアイデアが増えていきます。
③ 就活では業界を広く見る
私はヤマハ発動機への就職に満足していますが、今思えばもっと多くの業界を見ておけばよかったとも感じます。
就活の時期は、異業界の会社を横断的に知る唯一のチャンス。
ぜひ広い視野を持って企業を見てみてください。
最後に
ヤマハ発動機はバイク・マリン・ロボティクス・自転車など、多彩な事業を持つ会社です。機械好きにはたまらない環境で、私自身も毎日刺激を受けながら働いています。
働く環境、挑戦のしやすさ、相談しやすい雰囲気。
私はこの職場を選んでよかったと心から思っています。
皆さんも、ぜひ“自分が気持ちよく働ける場所”を見つけてください。






