誰もが最先端ネットワークの恩恵を受けられる社会へ エリクソン・ジャパン
昨今、急速に日常や様々な産業界で活用が進んでいる「5G」の通信網。高速・大容量・低遅延・同時多接続の通信を可能にすることが大きなメリットで、今後さまざまな場面でさらなる活用が期待されています。
5Gテクノロジーの恩恵を享受できるのは、安定したネットワークがあってこそです。エリクソンは大手携帯通信事業者の5G通信ネットワーク構築を技術的にサポートしています。今回はエリクソンで働くエンジニアの日常に迫りました。
エリクソンの信用を守り高める砦―事故ゼロを目指すカスタマーサポート
齊藤:理学部化学科卒業。入社3年目。無線ネットワークサービス統括本部 カスタマーサポート本部カスタマーネットワークサポートに在籍。通信事業者向けの業務支援システム(BSS/ビジネスサポートシステム)のサポート担当。
通信インフラの障害は人命に関わる場合も
ーーカスタマーサポートはどんなお仕事ですか。
お客様のネットワークに通信障害が起きた際に、問題を特定し、解決・復旧をさせる業務を担当しています。エリクソンにとってのカスタマー(お客様)は、キャリアと呼ばれる携帯電話通信事業者です。
キャリアではエリクソンの製品を含むサーバーやネットワーク機器などを使用しサービスを提供しているのですが、それらがハードウェア的に壊れたり、ソフトウェアの動作に不具合が発生するとアラームが発報されます。このアラームを検知したカスタマーから連絡を受け、調査や解析を実施し解決へと導くのが私たちのミッションです。
ーーアラームが発生すると、通信ができなくなってしまうのですか。
実はお客様の通信ネットーワークというのは堅牢に設計されており、アラーム(システム異常の警報)が発報されても即時に通信が完全に停止することはありません。「冗長構成」と呼ばれる部分がシステム的に設計されており、完全にサービスが停止しないような保険があります。
この部分に機能が移管されて、一旦は何事もなかったかのように稼働し続けることができます。
しかし、その状態が長時間にわたり継続されると、ネットワーク全体の容量が下がり、そのことにより副次的な問題が発生する可能性があります。このような事態を起こさないためにも早めに対応する必要があります。
通信ネットワークは、現代の日本で全ての人が恩恵を受けており、万が一使えなくなると大問題になります。「通信障害で救急車を呼べない」となれば、人命にも関わります。
システム障害を起因としたサービス停止が社会に与える影響は甚大です。事故を限りなくゼロにするために、緊張感を持って仕事に取り組んでいます。
サードパーティーと共同で問題解決
ーー齊藤さんが実際に担当しているのはどんな業務ですか。
私の所属するチームでは、大手メーカーのハードウェアを一部取り込んだ製品群で構成されているネットワークの保守を、主たる業務としています。アラームの原因を特定するために、サードパーティー(社外製品またはその提供元)と呼ばれる会社と協力をしながら問題解決に向けた作業を実施します。
簡単な流れとしては以下の通りです。お客様からのご連絡を受け、まずは調査を行います。調査結果を基に復旧方法を提案します。お客様と合意ののち、実際の復旧作業が行われます。
アラームが発生すると、装置内部の「ログ」中にシステムのエラーが記録されます。このログを入手し、サードパーティーの会社企業へ解析を依頼します。解析結果から原因が判明すると、解決のための作業手順書を作成し、お客様へ報告します。お客様が報告内容を了承され、作業許可がおりると、作業を開始し問題を解決します。
日常の作業はリモートで実施しますが、ハードウェア製品の交換が必要な場合はお客様のサイト(データセンター)で作業が必要になります。作業時はサードパーティーと特別な作業体制を編成し、共同で問題解決に取り組みます。その際はお客様へのフロントエンド(最前線)はエリクソンですので、問題解決におけるタスクフォースの司令塔のような役割を果たします。
ーーカスタマーサポートの仕事の中で、どんなことを大切にしていますか。
カスタマーサポートで最も気を付けなければならないことは、事故を起こさないことです。社内の検証(試験)環境では、失敗を繰り返すことによって学べることもあるでしょうが、お客様環境での失敗はすなわち事故であり、非常に大きな問題となります。
これは私の入社一年目で担当をした作業時の失敗談です。作業時に発生する全てのアラームを見逃さないように、システムからの出力を監視しなければならなかったのですが、確認が漏れたことことにより一つ見落としてしまうミスがありました。幸いにも発見が早期だったことで大事には至りませんでしたが、一歩間違えればネットワークにも影響が出る可能性があったので、肝を冷やしました。
それ以来、作業の際には最新の注意を払い、マニュアルに沿った手順を遵守し続けてきたことにより、ミスを未然に防いでいます。
ーー今後の目標をお聞かせください。
カスタマーサポートが対応する仕事の中には、早期に復旧しないとネットワークに著しい影響を及ぼす(重大な)障害の緊急対応があります。緊急事態は決して起こって欲しくはないですが、万が一このような事態に遭遇しても混乱せず冷静に対処する必要があります。
部署の先輩方は常に正確に素早く対応されており、私も様々なことに気付きを持ち、先輩方のような対応ができるエンジニアになりたいです。
5Gの技術を支える仕事。エンドユーザーの満足度に直結する達成感
甲田:工学部 機械システム工学科修了。入社3年目。無線ネットワーク統括本部 無線ネットワーク技術部 システムインテグレーション課に在籍。新しい無線機器及びその構成の商用導入に向けた検証を担当。
海外で開発された製品を日本仕様にカスタマイズ
ーー入社したきっかけについてお聞かせください。
大学院までは航空エンジン(流体力学)の研究をしていました。実験データの取得には莫大な時間を費やします。そこを自動化できればもっとデータ活用の方に時間を割けると考えていました。そのような経緯もあり、就職活動時には工場の自動化に興味を持っていました。
「工場の自動化」というキーワードで企業を探していた時に、エリクソンに辿り着き、仕事内容の説明を聞いたときに、まさに自分がやりたい仕事だったこと、また責任のある仕事に携われるというところが合致し入社を希望しました。
ーー現在はどのような仕事をされていますか。
工場の自動化そのものには関わっていませんが、自動化を可能にする5G技術を支える仕事をしています。
携帯電話の基地局はいくつものソフトウェア、ハードウェア、アンテナで構成されており、ネットワーク設計によって設置場所の違いはありますが、大体半径数キロ四方に1基以上が設置されています。その基地局で使われるハードウェアの設定検証を担当しています。
海外で開発されたエリクソン製品は、日本のお客様の要望に合わせて設定値/無線機器/構成を変更する必要があります。その一連の作業が検証項目の対象となります。
具体的にはお客様のご要望をヒアリングし、仕様に落とし込みます。その後オフィス内にある試験ラボで検証を行い問題がないことを確認した後に、フィールドでのトライアル(商用環境への部分的な適用)を実施します。様々なデータを確認し、お客様からの承認が得られれば全国の基地局へ導入されるという流れになります。
商用で基地局を建てる際には、自分が検証した設備がエンドユーザーに実際に使用されるということですので、非常に緊張感があります。
エンドユーザーが求めるネットワーク環境の活用機会や活用方法は多様化してきており、その要望を満たす新しいハードウェアや構成の導入ケースも増えてきています。私たちが導入する製品やサービスが、エンドユーザーが感じる満足度に直結しているので、この仕事はとても大きなやりがいと責任を感じます。
5Gの技術で世界が変わる。高度な技術に携われる喜び
ーーエンジニアからみた5Gの凄さはどういうところでしょうか。
例えば工場の自動化に必要とされる要素の一つが5Gです。なぜなら5Gには高速・大容量、多接続、低遅延の3つの特徴があるのですが、工場内を通信で繋いで細かな作業を自動化する場合、送受信の時差が少ない「低遅延」であることが重要となります。
数ミリ/秒が作業の精度や品質に大きな影響を与えるので、情報の受け渡しに遅れがないことが求められるからです。
将来このような技術が工場の自動化や自動運転などに応用されると考えれば、より高度な技術に携われることでモチベーションは高まります。
ーー今後の目標をお聞かせください。
現在実施している作業に関する自動化を進めています。機器の設定値に関して膨大なパラメータを扱う必要があり、このチェック作業の自動化について検討中です。また基地局を建てる際にはソフトウェアとハードウェアの他にもう1つ、「ライセンス」が必要です。このライセンスを取得する煩雑な手続き(業務)を自動化したいと考えています。
これまで人数と時間をかけてやっていた作業が自動化によりかなり効率化されますので、コスト面や働き方の改善に繋がると思います。
私たちの仕事はあまり表に出ない部分ではありますが、とてもやりがいのある仕事です。これから就職活動を始める皆さんには、BtoBで技術を提供している会社にも注目していただけると、新たな発見があり面白いと思います。
海外の開発者とも協力し、日本に適した通信環境を支える
伊木:理工学部・数学科卒業。入社2年目。無線ネットワーク統括本部無線ネットワーク技術部 インテグレーションエンジニア課に在籍。新しい無線機用ソフトウェア及びその機能の商用導入に向けた検証を担当。
海外の開発者のアドバイスが改善の糸口に
ーーどのようなお仕事をされていますか。
海外のエリクソンで開発された新機能を日本の市場でサービスを提供する前に、その機能を実現するためのソフトウェアが問題なく動作するかの検証をしています。ラボと呼ばれる社内にある施設でベースバンドユニット(デジタル信号の変復調装置)からアンテナまでのハードウェア装置の配線を行い、テスト用の携帯電話を使用し仕様通りの性能(通信速度等)で動作しているかの評価を実施します。
ーー海外で使われているものを、日本で導入する際にさらに検証するのはなぜですか。
まず日本と海外では使用されている周波数帯が違います。日本で使用されている帯域の周波数を使用し、動作の正常性について検証が必要です。さらにグローバルで開発された製品は世界中の全てのお客様で使用されている組み合わせを想定しての試験ではなく、標準的な検証が実施されているので、日本のお客様向けにカスタマイズされた構成での試験ケースは、考慮されていないことがあります。
日本のお客様は世界の他のマーケットのお客様より求められる動作への合格基準が厳しいこともあり、お客様のニーズを満たすための追加テストが必要になることがあります。
ーー検証を続ける中でわからないことや、クリアできないことが出てきたら、どのように解決しますか。
入社後に基礎的な技術の研修はありますが、実際のプロジェクトの中ではわからないことが次々と出てきます。まずは自分で調べてみて先輩に確認して、という繰り返しにより知見が深まっていきます。
特に想定外のエラーが起きた際の原因分析は、自身の調査だけでは結論が出ないことも多いです。その場合はグローバル組織の製品開発者に問い合わせをし、回答を得ます。毎日のように開発元を含む海外のエンジニアとコミュニケーションをしますが、そのやり取りを通して新しい知識が増えるたびに面白さを感じます。
ーーこの仕事の魅力はどんなところでしょうか。
この仕事を通してエンドユーザーが使用している無線通信技術は、数多くの方々が関係するプロセス(過程)を経ていることを実感できます。人と人、或いは物が繋がる世界を作るプロセスの中に、自分の業務の過程も組み込まれていると思うと、この仕事にとても魅力を感じます。
また、ハードウェアからソフトウェアまで多様な技術の理解が必要とされるので、仕事をこなすうちに幅広い知識を身に着つけることが出来ます。とても成長できることを実感できる環境です。
会社をもっと楽しく居心地良く−新入社員の自主的な改善活動
エリクソンは若手・新入社員の意見であっても、耳を傾けてくれる先輩や上司が多く、誰でも遠慮なく意見が言える環境です。そうした風土の後押しもあって、横浜オフィスの同期の仲間と社内の改善活動を開始しました。
会社がより良い環境になることを願い、若手の観点から建設的な意見を出そうというコンセプトです。例えば、現在話し合っているのは、「新人研修」についてです。実際に昨年新人研修を受けた経験を基に改善できそうなものをフィードバックしようと話し合っています。フィードバックによる改善により、今後入社される新入社員の方にとってよりよい研修を提供したいです。