理系大学院生のリアルなお話 ~研究活動と就職活動~
理系学生で、大学院への進学を考えている方は多いのではないでしょうか。大学院では、研究活動や就職活動など、大変そうなイメージがあると思います。
そこで、実際どのような生活をしているのか、国立大学理系院生の筆者が修士課程1年目の生活についてお伝えします。
自己紹介
筆者は、国立大学大学院修士1年生のリケジョです。応用化学専攻で、日々実験に励んでいます。コロナ禍での研究活動や就職活動など、私が体験した修士課程の1年間を紹介します。
大まかな1年の出来事
大学院に入学して1年目の生活を月ごとにご紹介します。
大変だったこと
とにかく時間がない
授業、研究活動、就職活動、TAなどやることが多く、1年を通してとにかく時間が足りなかったです。特に化学分野の研究は実験手順が多かったり、時間がかかったりするものが多く(数十時間の反応待ちなど)、毎日コンスタントに研究活動に取り組む必要がありました。
午前中は授業を受け、毎回レポートを提出し、午後はTAのお仕事、その後にやっと研究活動スタートという日も多かったです。必然的に帰宅時間は遅くなり、帰宅後は就職活動の作業をする必要があります。やるべきことを整理して優先順位を決め、計画的にこなすことを意識して1年間を過ごしました。
助教や教授から就職活動の理解を得ること
研究の世界では常に成果が求められます。私の研究室でも毎週進捗報告をする必要があり、常に成果を求められます。しかし、どうしても授業や就職活動で時間をとられてしまい、コンスタントに実験をたくさんこなせるわけではありません。
その点を伝え、理解してもらえないと精神的にも肉体的にも辛くなってしまいます。就職活動に理解をもってもらえるよう、助教や教授と良い関係性を構築することは理系院生にとって最も重要なことかもしれません。
やっていてよかったこと
学会にたくさん参加していたこと
多くの学会に参加したことで、自身の研究を他の分野の人に簡潔に伝える力を養うことができました。これは就職活動でとても役立ちました。
理系就職では必ずと言ってよいほど、自身の研究内容について聞かれます。技術面接では、理系の社員の方により詳しい内容まで掘り下げられることも多いです。学会を通して、自身の研究を与えられた時間内で的確に伝える力、結論ファーストで質問に答える力などを身に着けることができました。そのため、就職活動では技術面接の対策はほとんど行わずとも乗り切ることができました。
受賞経験や論文という成果を残したこと
就職活動を進める中で受賞経験や論文執筆など、成果を残していることが必ずしも必要なわけではありません。しかしエントリーシートで受賞欄があったり、面接で聞かれたりと、プラスの評価として捉えてもらえることもあります。
ただここで注意してほしいことは、深堀された際に詳しく説明できるくらいに自分の考えが反映されている受賞経験および論文であるということです。ある会社の人事の方が、「受賞経験などは評価しますが、それよりも企業が知りたいのは、研究への理解度および研究への取り組み方などのプロセスです」というお話をされていました。そのような場合、いくら自分の名前が載っている論文があったとしても、「この子は言われたことしかできない子だ」というマイナスの評価を受けてしまいます。自分で主体的に取り組み、きちんと意見をもって説明できることが大切です。
また、このような成果は奨学金の返還免除申請の際の加点ポイントにもなるので、研究活動への積極的な取り組みをお勧めします。
TOEICを受験していたこと
就職活動の際にエントリー条件としてTOEICの点数が必要な企業もあります。また、条件がなくともエントリーシートにTOEICの点数記入欄がある企業も多いです。
修士課程1年目では、TOEIC対策をする時間をとるのが難しいので、早めに一度受験しておくことをお勧めします。多くの企業で点数の有効期限が2年間とされているため、学部4年生時に一度受験しておくことをお勧めします。
研究活動と就職活動を両立するためのコツ
余裕をもった計画設定
研究活動でも就職活動でも期限が決まっているものに関しては、3日前には提出できるような計画設定をしていました。そのために、取り組み始めるのは1週間前に設定しており、常に期限から逆算してスケジュールするようにしていました。
直前にバタバタすると、焦りから自分の最大限の力を出せない可能性が高いです。そうならないためにも常に余裕を持った計画を立てるようにしましょう。
朝の時間の有効活用
早朝はメールの通知もなく、エントリーシートの文章作成など集中して取り組むことができます。また就活のイベントは、平日夕方にオンラインで行われることが多かったため、早朝に実験を仕込み、夕方には就職活動の時間を確保できるようにしていました。早朝は実験室も人が少なく、装置の予約など被ることなく実験ができる点もメリットです。ただ危険な実験をする際には、朝一人の時間帯に行ってしまうと事故に繋がる可能性があるので、その点はそれぞれの研究室のルールに従うようにしましょう。
趣味の時間や睡眠時間を削る
これは最後の手段です。余裕をもった計画を実行しても、朝の時間帯を有効活用しても、それでも時間が足りない時は、趣味の時間や睡眠時間を削るという手を使うしかありません。ある会社の人事の方が、「理系院生は忙しい。ある程度は根性でやり遂げるしかない。研究活動や授業、就職活動などマルチタスクをやり切ったというエピソードを話せば、それは理系院生にしか話せないアピールポイントになる。」というお話をされていました。このように忙しい時期には、根性でやり遂げるタフな力も必要です。
行き詰ったときにやっていたこと
他の研究室の人と話す
異なる研究分野の人と話すことで、自身の研究活動に活かせるヒントを見つけることができます。私も雑談の中で異なる視点からのヒントをもらい、研究活動に活かせたことがありました。また理系院生は研究室内で生活が完結し、閉鎖的な関係になりがちですが、研究室外の人と話すことで息抜きをすることができます。
趣味に没頭する
オフの時間を作り、趣味に没頭する時間を作るようにしていました。短くても適度に休息の時間を作ることで、研究活動や就職活動の作業効率を上げることができました。オン・オフの切り替えをしっかりすることで、与えられた時間で最大限のパフォーマンスを実現できるよう心がけていました。
最後に
大学院生の生活は忙しいですが、とても充実しています。大変なこともあるかもしれませんが、それらも含めて学生生活を楽しみましょう!応援しています。