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育休体験記〜最近流行ってるから育休取ってみた。


はじめに

本稿は、男性国家公務員の育休取得推進の旗を振る内閣⼈事局に所属する参事官補佐が2020年7⽉の第⼀⼦誕⽣に当たり実際に育休を取得した際の経験や感じたことを⼿拙くまとめたものです。

これから出産・育児を経験することになるであろう未来のパパ・ママたちに、⼀先輩職員の体験談として気楽に読んでもらえればとの思いで筆をとりました。

育休取得期間は計1か⽉程度であり、世に出回る“新⽶パパの育休奮闘記”のような⽴派なものではないので悪しからず。

※組織・制度に関する⾒解含め全て個⼈の意⾒です。


1 . 妊娠判明〜妊娠初期(2019年11⽉〜2020年2⽉ごろ)

11⽉中旬、妻の妊娠判明。妊娠が分かったとき「ありがとう」と妻にちゃんと⾔えてよかった。

予定⽇は7⽉中旬。産院の予約は早めに取るべしとのネット上での脅しにおびえ、早々に検討し予約。

産院が決まった後、仕事のことに思い⾄る。7⽉なら国会も閉じているだろうし、夏休み期間とも重なるので、ある程度休みを取っても平気かなと考える。しかし如何せんまだ出産後の⽣活に対する実感は湧かず、「何は⾷べちゃいけない」「何はしちゃいけない」など目の前の暮らしのことを考えるのに必死だった。


妊娠判明で浮⾜⽴ったのも束の間、妻のつわりが始まり、2⽉にかけてピークに。本⼈曰く「他⼈よりは軽い⽅だと思う」とのことだったが、⾒ていていたたまれない。家事をできる限り引き受け、“⼼配はするが構いすぎない”よう振る舞うことくらいしかできなかった。


2 . 妊娠中期〜(2020年2⽉〜)

安定期に⼊り、体調安定。このタイミングで夫婦そろって職場に報告(出産6か⽉弱前)。

男性育休PRにおける上司のお決まり⽂句として「おめでとう。それで育休はいつ取る?」というのを⼀種のメソッド的なものとして推奨してきた⽴場だったが、実際に上司から、何の含むところなく「おめでとう」と⾔ってもらえ、「出産後の休み⽅・家族との過ごし⽅の“希望”を考えてみて」と⾔われたことは、職場としても祝ってくれているんだと感じられ、じんわりと嬉しかった。この後、病院・親戚・友⼈等さまざまな⼈から祝いの⾔葉は数多くもらったが、“唯⼀出産により迷惑をかけてしまうかもしれない”はずの職場の上司からそういう⾔葉をもらえることは、とても⼼強いことだと実感した。


安定期には⼊ったものの世間ではコロナの風が吹きすさび外出等はできなくなった。お互い両親は遠くないがその往来も憚られた。⾃分もコロナ対応で若⼲多忙になった。妻は、従来は出勤が必須だったが、配慮してもらい3⽉末から完全テレワークに。妻は⾃動⾞出勤だったので相対的には感染リスクは低いと感じていたが、結果として5⽉中旬に産前休暇に⼊るまで出勤を求められることはなく、⼤変ありがたかった。

「出産前に旅⾏・外⾷やりつくす!」と思っていたため妻は「ショック〜。退屈〜。」と不満たらたら。とはいえ不満を⾔うだけで済んでいたが、⼈とのつながりが希薄になる上に外出もできないとなれば、⼈によっては精神的に⾟く感じることもあるだろう。ただでさえ妊娠中で不安を抱える妻を⽀えなければと思った。


2020年3⽉末(出産4か⽉弱前)、上司に育休等の取得意向を説明した。

産前までは現居で過ごし、出産後は⾃分の実家(夫の実家)で2か⽉ほど過ごし、その後現居に戻るプランとした。その際、出産直後に2週間育休、現居に戻るタイミングで3週間育休を取得する希望とした。

いわゆる“⾥帰り出産”は妻の実家に戻ることを指すのが⼀般的だが、妻の実家は妻の⺟がフルタイムで働いており、ここに⾥帰りしても妻にとって家事・育児上の負担がそこまで軽減されるわけではなかった。⼀⽅、⾃分(夫)の実家は、⾃分の⺟がパートタイム勤めであり妻⼦の⾯倒も⾒れ、⾃分の⽗や妹も住んでいるため皆で代わる代わる⾚ちゃんに構おう!ということでこのような形になった。幸い、妻は⾃分(夫)の実家メンバーとうまくやっていたし、実家メンバーも出産後の滞在を歓迎してくれたためうまくいったが、妻が不安・不満・不快に思うところがないかは何回も意向確認した。

そうは⾔っても妻にとっては退院直後かつ慣れない夫の実家暮らしを始めることで負担がかかるこのタイミングが重要と考え、妻と相談した結果、⾃分も2週間育休(休暇含む)を取ることにした。同居で⽣じるかもしれない軋轢にも⾃分が間に⽴つ必要があるとの考えもあった。また、⾃分の実家から現居に戻り、親⼦3⼈の⽣活が改めて始まるタイミングで3週間育休を取ることにした。

なお、収⼊⾯の懸念はなかった。特別休暇・年次休暇は有給だし、育児休業についても(業務上、実は⾃分が作った)収⼊シミュレーションシートに数字を打ち込んで3週間程度なら⼿取り減は数万円だと分かっていた。それよりも分娩費⽤・ベビーベッド・ベビーカー・チャイルドシート等の調達など、⼀時的により⼤きい出費が控えていたため、もはや気にならなかった。(その時は気づかなかったが、共済からの出産祝⼀時⾦、親族からの出産祝⾦など後から補填されたものもあった)


上司には育休の取得意向と同時に業務上の懸念も伝えた。育休取得予定の7〜9⽉は国会対応の⼼配はなかったが、9⽉にヤマ場を迎える業務があり、それが⼀番の懸念だった。上司や部下とよく相談し、業務全体のスケジュールの確認、業務分担の可視化・調整をすることで、⾃分⾃⾝休んでも⼤丈夫だと安⼼感が持てたし、係内でも状況を正しく理解してもらえたと思う。


3 . 妊娠後期〜(2020年5⽉〜)

妊娠経過は順調。妻は産前休暇に⼊り、出産・⼊院に向けた準備を本格化させた。コロナの影響で両親学級などが軒並み不開催となっていたので、動画サイト等で沐浴の仕⽅やおむつの替え⽅を夫婦で勉強した。妻と近所を散歩しながら「⼦供の名前はどうしようか」「⽣まれた後のベビーカーでの散歩ルートの下⾒だね」などと話した。コロナの影響で異例づくめの妊娠期間だったが、こうしたゆっくりした時間が取れた⾯はよかったと思った。


緊急事態宣⾔発令により仕事にも影響が出ていた。9⽉がヤマ場の仕事はスケジュールどおりに進められるか不透明な状況だった。ただ、育休に向けた業務計画の検討を⾏ったことで、係内での業務の全体像の認識共有はできており、焦ることもなく緊急事態宣⾔解後にリスケジュールを引くことができた。


4 . 出産〜退院(2020年7⽉)

予定⽇より1週間前の平⽇、⾃分はテレワーク中だった。⼣⽅に妻が前触れなく破⽔。登録していた妊婦タクシーを呼び出す。お互い冷静さを⼼掛けたが、やはりどこか平静ではなく⽀度に謎に⼿間取る。職場にはこれから病院に向かうため早退する旨連絡。⼼の準備はできていたはずなのにふわふわした⼼持ちだった。テレワーク中で本当によかった。妻もこのときを振り返って「在宅してくれていて本当に良かった」と語っていた。


翌朝、⽣まれた。⽴ち合えた。これまでよく⾒てきたドラマのように、分娩台から⾚ちゃんの泣き声が漏れたとき、さすがに⾃分も涙が滲んだ。「ありがとう。おつかれさま。」との⾔葉が⼝をついた。


出産をもって、予定よりは早いが2週間の休みに⼊らせてもらうことになった。

感染予防のため⾯会時間は短めに制限されていたが、毎⽇会いに⾏った。妻は3時間ごとの授乳で寝不⾜であり、⾃分の⾯会中は気を緩ませうとうとしたり⾚ちゃんの⾯倒を⾃分に任せてシャワーを浴びたりしていた。

⾃分は⾯会時間以外の時間で、実家での妻⼦の迎え⼊れ準備を進めた。部屋の掃除、ベビーベッドの組み⽴て、現居から必要な荷物の運び込み、消耗品の買い出し等、到底1⽇では済まず存外⼿間がかかった。市役所に提出する資料、⾃分の職場に提出する資料、妻の職場に提出する資料をそれぞれ整理・準備した。

妻が⼊院中の5⽇間、現居〜病院〜実家の移動時間がかさんだこともあり、ほぼ休む時間なく動くこととなった。

無事に退院の⽇を迎え、⾃分の実家での暮らしがスタートした。


いよいよ育休⽣活開始!続きはこちらをご覧ください。

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「国家公務員」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか。 国家公務員の仕事は、医療や教育など暮らしに身近な分野から、国の財政運営・産業振興、外交・防衛まで、世の中のありとあらゆることと関わっています。 国家公務員の活躍のフィールドは幅広く、様々な専門性を生かせる場があります。子育てと両立しながら活躍するリケジョも多くいます。 「いま」を守り、「未来」をつくる。 自分、ではなく、みんなのために。 それが、国家公務員という生き方です。

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