【理系留学】憧れのタイで農業を学ぶ1年間の留学体験談
はじめに
今や日本人にとって代表的なバカンス先であったり、お仕事での出張先としてもよく名前が挙がるタイですが、留学先としても魅力のある場所でもあります。今回は私がタイで農業を学んだ留学体験について紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.タイへの留学に興味を持つことになったきっかけとは
- 3.タイという国のご紹介
- 4.私の具体的な計画と結果に関して
- 4.1.留学先のバンコク「シーナカリン・ウィロート大学」について
- 4.2.期間に関して
- 4.3.当時の語学力に関して
- 5.具体的に留学中にどのようなことを学んだのか
- 6.留学してよかったことと悪かったこと
- 6.1.留学するメリット3選
- 6.1.1.①費用を抑えやすい
- 6.1.2.②タイ語力は必ずしも必要ないが英語力は必須
- 6.1.3.③タイだからこそ学べることがある
- 6.2.実体験に基づく、留学中に気を付けること5選
- 6.2.1.①軽犯罪が多い
- 6.2.2.②街中で英語は使い物にならない
- 6.2.3.③誘惑が多い
- 6.2.4.④女性は僧侶に触れてはいけない
- 6.2.5.⑤野犬には触れない
- 7.具体的にかかった費用
- 7.1.①学費
- 7.2.②現地での生活費に関して
- 8.まとめ~今後海外留学を研究職で考えている学生へのアドバイス~
タイへの留学に興味を持つことになったきっかけとは
私がタイへの留学に興味を持ったのは、以前にタイを訪れたときの出来事に起因します。
タイをバックパッカー旅行していたとき、ライステラスを見る機会がありました。私はそんなライステラスに心を奪われるまでに感激し、その瞬間に「この国の農業を学んでみたい」と思うに至ったのです。
最終的には、「タイにおけるライステラスの創造するお米と人々の生活」という卒業論文を作成することになりますが、それはもう少し先の話になります。
バックパッカーが流行っていた大学生時代
私の大学生時代というのはバックパッカーがとても流行っていた時期でした。インターネット事情が大きく改善した現在では小さめのパソコンと格安simなどさえあればどこにいても容易に情報は手に入りますし、クレジット決済が出来る今となっては手元に現金がないのは必ずしも問題ではありません。
対して私の大学生時代のバックパッカー事情は、現在ほど便利とはまだ言えませんでした。ポケットWi-Fiは現在よりも高かったですし、simフリーも現在ほど流通していなかったので紙の地図はまだまだ現役でした。
「旅」ではなく、「暮らす」ことでその国に少しでも貢献したい!
そんな、今になって見れば「原始的な」旅はとても魅力的でした。しかし、私としては旅だけではタイに貢献するにはまだまだ不十分と感じてたのが本音のところ。どうすればより貢献できるか、成長できるかを考えて、私なりにたどり着いた答えがその土地、すなわちタイで「暮らす」ことでした。
後々の就活戦線を見据えて
留学期間については後ほど改めて記しますが、私の留学は5月まででした。これは何を意味するかというと就活には辛うじて間に合うということです。それまでの間日本でインターンシップや説明会に参加できないのはネックになりますが、5月以降でも説明会を開いたり、エントリーを受け付けている企業は今も昔も多いですよね。
そのため、帰国までに業界研究や自己分析を徹底した上で、帰国後のエントリー、選考に備えるという段取りです。今でこそタイで現地採用という形で働いていますが、この経験は生きたと考えています。
現在では企業の説明会をウェブ配信するようになっていたり、あるいは実際の面接もウェブで行う企業が増えています。留学していても就活で不利にならない時代になりました。
タイという国のご紹介
私の留学の詳細について紹介する前にまずはタイという国について概要を説明していきましょう。
日本とは2時間の差
時差ぼけが気になる方もいると思いますが、日本とタイの時差は2時間しかありません。そのため、時差ぼけで生活リズムが大きく崩れるということについてはタイでは心配無用です。
基本は常夏
タイには日本のような四季はありません。そのため、タイは基本的に常夏と考えてよく、とりわけ3~5月は最も暑い時期にあたります。6月~10月は雨季に入り、スコールによく見舞われるようになりますが、それも短時間でやみます。大雨が降っても気温は高いままなのでジメジメした暑さになります。
しかし、11~2月を中心に夜間の気温が一気に冷え込むことも珍しくないので油断はできません。屋内はクーラーがとても強く効いていることが多いので上着は必須です。
微笑みの国
タイはよく微笑みの国と言われます。これは何に由来しているかというと、タイの国民性です。タイの人たちは温和な性格の人たちが多く、誰かが困っていたら自分を犠牲にしてでも助けるという考え方の持ち主です。これが微笑みの国と呼ばれる所以ですが、そこに甘えて頼み事をするのは自重しましょう。
タイは王国
タイは実は王国で、国王もいます。タイ国内で国王は絶対的な尊敬対象ですので、公の場で批判したり、冗談を言ってしまうと顰蹙を買うのはもちろん、不敬罪として刑罰にも問われる場合もあります。タイ国民の尊敬対象を傷つけるような真似はご法度です。
私の具体的な計画と結果に関して
私が留学していた時代と現在とでは必ずしも事情は同じではありませんが、私の留学計画と、留学を通して得られた結果を紹介していきたいと思います。
留学先のバンコク「シーナカリン・ウィロート大学」について
シーナカリン・ウィロート大学はタイ屈指の総合大学です。学内で取り扱っている学問の幅は大変広く、私の学んだ農学分野はもちろん、他に人文学、社会学、経済学、体育学、薬学、看護学、理学、観光学などと充実しています。
キャンパスはバンコクの都心部にあるのでアクセスが抜群であるだけでなく、中心部にいることを忘れさせるほど落ち着いた環境も備えています。何不自由ない留学生活を送ることができました。
期間に関して
シーナカリン・ウィロート大学は8月から11月までが1学期、1月から5月までが2学期となっています。私は約1年と冒頭で先述しましたが、厳密には8月から5月までの10か月の期間、すなわち2学期間留学としました。
当時の語学力に関して
タイの公用語であるタイ語力については完全に皆無に等しいものでした。その代わり、英語についてはやや自信がありました。在籍中、授業は基本的に英語で受けていたこともあって大きな障害にはなりませんでした。しかし、日常生活面となるとやはりタイ語が多少できるに越したことはありませんし、フィールドワーク先では英語力に期待しない方がいいです。そのため、在籍中は専門科目とは別にタイ語の授業も受けて基礎部分は習得できました。
具体的に留学中にどのようなことを学んだのか
留学中は専門科目(農学系)を中心に若干数受講した以外では、タイ語を学んだか、研究室で先生方と議論したか、フィールドに出ていたかのいずれかでした。私のテーマは初めてのタイ旅行で思い立った“ライステラスが創造するお米と人々の生活との繋がり”でしたので、農学の他にも社会学系の授業にお邪魔したこともありました。
留学してよかったことと悪かったこと
留学中の時間を改めて思い起こしてみると、必ずしもいいことづくしというわけではありませんでした。タイに留学するのであればネガティブな側面も含めて熟知することが大切だと思います。
留学するメリット3選
タイに留学するメリットは主に以下の3点に大別されると思います。その3点について詳しく見ていきましょう。
①費用を抑えやすい
タイは日本から近いこともあり、LCCを使えば片道10000円からでも行けるような時代になりました。その上物価も安く、経済的に嬉しいです。なお、物価については別項で詳しく説明します。
②タイ語力は必ずしも必要ないが英語力は必須
タイ留学のいいところは必ずしもタイ語力が必要でないばかりか、そもそも求められていない場合が多いです。授業も英語で行われているものも多く、在校生も多くが英語を上手に操ることができます。つまり、タイ語力は求められなくても英語力は必須ということです。
③タイだからこそ学べることがある
学問分野によって様々ですが、タイだからこそ学べることがあります。例えば私の場合は冒頭でも述べたようにタイのライステラスを見たことがきっかけでタイにおける(特にライステラスのある地域)お米と人々の生活について研究したいと考え、留学に至りました。農学分野以外でもタイ仏教やビジネス、観光学など、タイだからこそ学べることは豊富にあります。
実体験に基づく、留学中に気を付けること5選
①軽犯罪が多い
タイの治安はとても悪いというわけではありませんが、日本と同じ程度と考えていたら痛い目に合います。特に軽犯罪などの、スリ被害は多発しています。
私がショッピングモールで買い物しているときに見た光景ですが、外国人観光客が不用意にズボンの後ろポケットに財布を入れていて、間もなくそれがなくなっていたというようなシーンに遭遇したこともあります。
また、もうひとつ注意してほしいのが「お金を見せて」と言われたときです。この言葉に乗って見せてしまったらそこで最後、そのまま返されることはありません。ですのでこのように金を見せてと言われても絶対に見せてはいけません。私もあと少しで盗まれかけた経験がありました。
②街中で英語は使い物にならない
学内では英語ができれば問題ないものの、街中では事情が大きく異なります。英語は街中では殆ど通じなくなると考えてよいでしょう。こうなるとタイ語がある程度できなければ日常生活の中でのコミュニケーションに大変苦労することになります。
私自身も意思疎通がまともにできなくて屋台でご飯を食べるのも一苦労でした。ですが、タイ語を学び始めてからはその障壁も段階的に取り除くことができるまでに至りました。
③誘惑が多い
私がタイで研究していた間は常に誘惑との闘いでした。旅行が好きだった私にとって航空券の安さは魅力的で、タイ国内のみならず東南アジア域内も安く行けるからです。
研究でフィールドに移動するときの費用が安かったのはもちろんありがたいことですが、安さにつられて旅行を繰り返すとあっという間に時間をロスしてしまいます。私自身もこれがきっかけで研究のスケジュールを狂わせかけたので、反省しています。
旅行するなというわけではありませんが、頻度を押さえるようにしましょう。また、11月から1月まで長い休暇期間もあるのでその間に楽しむことをおすすめします。
④女性は僧侶に触れてはいけない
これは気を付けるというよりはむしろ私を含めた女性だからこそ気をつけたいエチケットになります。ふとしたきっかけで僧侶と知り合いになり、握手しそうになった際に「生憎握手はダメだ」と僧侶から注意されたことがあります。
⑤野犬には触れない
バンコク市内を含め、路上に住み着く野犬が多いです。日中は寝そべっていますが夜になると活発的になります。
私も時折帰りが遅くなった際は、野犬が近くにいることを想像してなるべく刺激しないように迂回したりしていました。基本的に大人しいのですが少しでも刺激してしまうと追い掛け回されたりして、生きた心地がしませんでした。野犬に触れるという行為は狂犬病のリスクを避けるためにも、避けた方が無難でしょう。
具体的にかかった費用
やはり費用はとても気になることと思います。同じタイの大学でも留学の期間や方法等によって費用は上下しますが、生活費はどの手段を使ってもあまり変わらないので参考になるかと思います。
①学費
学費についてですが、私は協定校派遣留学を使って留学したので日本で在籍していた大学に通常通り学費を納めるだけで、留学先に新たに払うということはありませんでした。つまり、留学先での授業料が免除されたということです。ですので、もし協定校にシーナカリン・ウィロート大学が入っていれば派遣留学の枠を使うことをおすすめします。
協定校にシーナカリン・ウィロート大学が入っていなかった場合でも今では「トビたて」を使って奨学金を得ることもできるので、一度チェックをしてみてはいかがでしょうか。
②現地での生活費に関して
項目 |
費用(1か月あたり、日本円換算) |
アパート |
16,000円 |
食費 |
17,300円(3食屋台、フードコート) |
交通費 |
4,400円(BTS50回券) |
携帯 |
1,000円 |
アパートは個人で手配するのが面倒だったので、シーナカリン・ウィロート大学の住居斡旋サービス(Accommodation)に斡旋してもらいました。私が滞在していたところは大学までBTSで1駅という好立地でしたが、月16,000円と日本では考えられないほどの安さです。
食費についてはタイの場合、自炊するよりも屋台やフードコートで外食した方がむしろ安いです。私は徹底的に節約生活を送っていたので食費も日本では考えられないくらい抑えることができました。時々奮発してレストランに行くときがあると月あたりの食費が2万円を超えることがありました。
交通費ですが、自転車を使えば確かにかなり節約できるのですが、先述したように高温多湿な環境なのでその中で何十分も自転車をこいでいられません。ここばかりは健康と安全のために公共交通機関を使うことにし、回数券を買ったりして通学していました。
まとめ~今後海外留学を研究職で考えている学生へのアドバイス~
私はいったん日本で就職してから再びタイに舞い戻ってきましたが、タイに進出している日系企業が多いことから留学中にそのまま現地法人の現地採用で内定を得るという方法もあります。日本ではなくタイで働きたいという方はひとつの選択肢として検討してみるといいでしょう。
留学中は必ずしも楽しいことづくしではなく、時にもがくこともあります。それでも日本でないからこそ学べること、得られることは多いです。そしてそれらを乗り越えた暁には留学前では考えられないほど大きな成長と経験が身に着くはずです。
海外留学を少しでも検討しているのであれば、ぜひとも貪欲にチャレンジしてほしいと私は思っています。