「診療放射線技師」の仕事とは?技師の1日とキャリアの積み方を紹介します!
病院を受診すると様々な職種の人が働いていることに気が付きますよね。
「医師」、「看護師」などの職業はドラマ等でも取り上げられる事が多くなんとなく想像できると思いますが、皆さん「診療放射線技師」という仕事を知っていますか?
医師の診断を左右する「画像」を作っているのが診療放射線技師になります。また、画像業務だけでなく、装置の管理や被曝管理も診療放射線技師の仕事です。
診療放射線技師になるためには指定教育機関で勉強し、国家資格に合格する必要があります。就職先としては病院の他にも様々な選択肢があります。医療機器メーカーや原子力発電所、電力会社だったり「非破壊検査」を行う工業系分野で働く人もいます。
本記事では、病院に勤める診療検査技師の仕事内容をご紹介していきたいと思います。
目次[非表示]
- 1.診療放射線技師の仕事内容とは!?
- 1.1.画像検査業務
- 1.1.1.・レントゲン検査
- 1.1.2.・CT検査
- 1.1.3.・MRI検査
- 1.1.4.・消化管造影検査
- 1.1.5.・マンモグラフィ(乳房X線検査)
- 1.1.6.・骨密度検査
- 1.1.7.・超音波検査
- 1.1.8.・血管造影検査
- 1.1.9.・核医学検査
- 1.2.放射線治療
- 1.3.放射線被曝管理
- 1.4.機器管理
- 2.診療放射線技師の1日のスケジュールを公開!
- 2.1.診療放射線技師の1日
- 3.診療放射線技師のキャリアの積み方
- 4.まとめ
診療放射線技師の仕事内容とは!?
診療放射線技師の主な仕事は「画像を作る仕事」ですが、その分野は多岐に渡ります。分野別に分けて紹介していきます。
画像検査業務
・レントゲン検査
人体にX線を照射して骨や臓器の形、異物の有無を映し出す検査です。
放射線を使う検査では最もポピュラーな検査といえます。
身近なところでは健康診断で行われている肺の検査や歯科で撮る歯のレントゲンはこれに相当します。
・CT検査
人体にX線を照射して体の断層画像を作ります。
短時間で多くの断層画像が得られるので、交通事故や脳の疾患が疑われるときなどはファーストチョイスになることが多くあります。3D画像も作ることができるので臓器だけでなく整形分野でも活躍します。
・MRI検査
MRI検査はX線を使わずに断層画像を得る検査です。よって診療放射線技師でなくても撮影することができますが、断層画像を理解している技師が担当することがほとんどです。
X線の代わりに「磁石」と「電波」を使って画像を作りますがCT検査よりも時間がかかるということがデメリットです。
・消化管造影検査
バリウムを体内に入れX線を照射することによって、臓器内の腫瘍や凹凸を画像として映し出す検査です。
身近なところでは健診や人間ドックなどで行われることが多くあります。ガンや潰瘍などの早期発見に役立っています。
・マンモグラフィ(乳房X線検査)
乳房にX線を照射して画像にすることで、乳がんの早期発見に役立ちます。
撮影ポジショニングをする際に直接乳房に触れることがあるので、女性技師が業務を担当することが多くあります。
・骨密度検査
照射したX線がどれくらい骨に吸収されるかをみて、骨粗鬆症の度合いを検査します。
骨粗鬆症の治療として薬の投与を受けている場合は、数か月に一度定期的にこの検査を行うことになります。
・超音波検査
超音波検査は、臓器や血流によって異なる超音波の反響を画像化する方法です。
超音波検査もX線を使用しないために技師資格がなくても担当することがあります。
手軽にできる検査なので心臓、腹部、乳房、甲状腺と検査部位は多岐に渡ります。
・血管造影検査
血管に造影剤を投与することで血管の形や血流を画像化する検査です。
検査には腕の動脈や大腿動脈からカテーテルを挿入するので麻酔が必要な検査です。技師の仕事としては機器の操作、撮影が主な業務になります。
・核医学検査
核医学検査とは、体内に微量の放射線物質を入れて、それを外から撮影する検査です。
臓器の形状の変化は勿論、血流量や機能を調べることができます。
放射線治療
放射線治療は、病巣にX線や電子線を当てて治療を行います。主にガンの治療を目的とした場合が多くあります。
定期的にX線や電子線を当てる必要があるため、患者さんと触れ合う機会が多くなります。
放射線被曝管理
検査で患者さんに使用される放射線量が適切かどうか。また、診療放射線技師自身の被曝の程度がどのくらいかを管理するのも技師の仕事です。
機器管理
毎日検査に使用する機器の点検や管理も診療放射線技師が行います。
必要に応じてメーカーと連絡を取ったり、点検、修理の予定を立てたりします。
診療放射線技師の1日のスケジュールを公開!
仕事内容が多岐にわたる診療放射線技師。どんなスケジュールで仕事をしているのかを紹介したいと思います。
1日のスケジュールは勤務先の病院や施設によって異なります。救急を受けていたり、健診専門施設だったりと特徴が異なるので、それによってタイムスケジュールも異なります。
そこで、今回は一般的な1日の仕事の流れを表にしてみました。
診療放射線技師の1日
時刻 |
スケジュール |
詳細 |
8:15 |
出勤 |
検査に使用する機器を起動させ、必要に応じてウォームアップ動作をかけます |
8:30 |
ミーティング |
朝礼後ミーティングを行います。当直がある病院ではこの間に引き継ぎが行われ、1日の検査内容、業務の詳細を全員で共有します。 |
9:00 |
午前の検査開始 |
各担当部署で検査を進めます。 |
12:45 |
休憩 |
急患が入ると時間が前後することがあります。 |
14:00 |
午後の検査開始 |
16:00頃になると一段落するので報告書や業務内容の記録などの事務作業にとりかかります。 |
18:00 |
業務終了 |
機器をシャットダウンし、夜勤がある病院は担当者に引き継ぎをします。 |
診療放射線技師のキャリアの積み方
1年目は検査の数が多いレントゲン検査やCTがメインになります。2、3年目になるとMRIや核医学検査、治療といった検査を任されるようになってきます。段々と仕事を覚えてくると夜勤や救命センターでの業務を担当するようになります。
経験年数を積んで業績が認められると「主任」や「部長」といった肩書が付くようになります。診療放射線技師のキャリアのトップは「技師長」です。しかし技師長になると、会議や勤務表の作成といった現場から少し離れた仕事が多くなるのも事実なので、「現場第一」の人には不向きかもしれません。
自分のスキルアップを考えたら、はじめは大学病院や総合病院に就職することをおすすめします。様々な装置に触れることができ、様々な患者さんが受診するのでスキルだけでなく患者さんへの対応も幅広く学ぶことができるからです。また自分がどういった分野に向いているかをじっくり見極めることもできます。
自分の興味がある分野がみつかったら職場の仕事だけでなく、放射線技師会や認定機構などが主催する資格や専門技師を取得することも可能です。費用も勉強時間も必要ですが、新しい技術や知識を増やして日々の業務に反映させることも技師の仕事の一つです。
まとめ
診療放射線技師とは医師の診断を左右する「画像」を作る仕事をしています。
患者さんから見た立ち位置も、業務自体もとても地味なものですが、その地味な経験の積み重ねができる人が向いている職種です。
自身のスキルアップを考えると大学病院や総合病院で勤めることで、様々な装置に触れ、様々な患者さんへの対応を幅広く学ぶことができます。
医療は日々進歩しています。日々の業務に最先端の知識を反映できるよう勉強を積み重ねる努力が必要とされる仕事です。ぜひ一緒に「画像」を作ってみませんか。