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学生時代の電気電子の知識が活かせる仕事。日本精工のもう一つの主力製品電動パワーステアリングとは?

理系学生による企業取材、日本精工(NSK)で育児をしながら技術者として働く女性エンジニア中村さんにお話を伺いました。

インタビュアー

(50音順)

・太田   (首都大学東京 都市教養学部 都市教養学科・化学コース 4年)
・小野寺  (東京理科大学大学院 基礎工学研究科 生物工学専攻 修士1年)
・寺尾   (大阪府立大学 生命環境科学域 応用生命科学類 修士1年)


学生時代は電気電子工学を専攻

ーー学生時代の専攻や研究内容を教えてください。

学生時代は電気電子工学を学んでいました。なぜ、電気電子工学を選んだかというと、高校の授業で電気が流れる仕組みがとてもシンプルで分かりやすかったからです。

大学では、モーターの制御について研究をしていまいた。モーターにはいろいろな箇所にセンサーがついています。例えば過剰な電流が流れないように防止するためのセンサー、動きをうまく制御できるようにするためのセンサーなどです。

しかし、このようなセンサーをモーターに多く取り付けてしまうと、その分コストも高くなりますし、センサー自体の故障からくる事故が起きる可能性も高くなります。

そこで、安全性を考慮しながら、いかにセンサーを少なくするにはどうしたらよいかということについて、研究をしていました。


現在のお仕事

ーー日本精工(NSK)ではどんなお仕事をされているのですか。

現在の仕事は自動車、産業用機械、工作機械などで使われるモーター周りの解析を行っています。

例えば、自動車でいうと、「電動パワーステアリング(EPS)」があります。

みなさん、「電動パワーステアリング(EPS)」って知っていますか?

例えば、遊園地などでゴーカートに乗ったときのことを思い出して下さい。

ゴーカートを運転し、カーブを曲がるときって、ハンドルが重くて曲がることが大変だった記憶はありませんか?

あんな小さい車でさえ、曲がることが大変だと、それより大きい自動車なんて、人間の力だけで曲がるなんて、考えただけでも不可能ですよね。

「電動パワーステアリング(EPS)」は電気の力(モータの力)を利用し、タイヤの向き変える動作をアシストする部品になります。

 
出典元:日本精工HP(http://www.nsk.com/jp/products/automotive/chassis/electricsteering/index.html#tab1

(http://www.nsk.com/jp/industries/automotive.html)

実はこの「電動パワーステアリング(EPS)」には様々な技術がつまっています。

例えば、この構造、まっすぐだととても設計し易いのですが、立体的に繋いでいますよね。これは、安全性を考慮して、この形になっています。

直線的な構造ですと、事故を起こした際に衝撃でハンドル部分が体側に飛び出してしまいます。危険ですよね。それを防ぐために過剰な力が加わった場合には、わざとポキポキ折れるようになっているのです。

この構造の設計には機械力学の技術が使われています。

そして、このパワーステアリングには、小さい電気モーターが取り付けられています。サイズは小さいですが、このモーター、かなり力を発揮しています。

みなさんが、アシスト付きの自転車に初めて乗り、一歩目を踏み込んだとき、「ギューン」と思ったよりも急発進した経験はありませんか?

同じように自動車のアシストが急にかかると危険ですよね。ですので、自動車の場合は、モーターがアシストしていることを操作する人が感じないくらいに滑らかにしています。

また、運転時に不快な音がでないように、モーターの音にも気をつけて開発しています。

こういった技術の進歩により、自動車は片手でもハンドルを回せるぐらい、軽くスムーズに運転することができるようになりました。

私は現在このようなモーターの開発に携わっており、主に解析の仕事を担当しています。

私達が設計開発したモーターの製造は日本精工(NSK)では行っておらず、専門のメーカーに製造していただいています。

ではなぜ、製造をしないのに、電気電子工学の分野の技術者が必要なのだろうと思われますよね。

身近なものでは、スマートフォンを思い浮かべていただくと良いかもしれません。

 スマートフォンは欧米や日本のメーカーで、多くの技術者によって開発・設計されています。しかし、製造は世界中の別の会社の工場が担当し同じ品質のものをつくっています。

それと同様で、日本精工(NSK)にも、モーターを作る会社に「こういう設計でつくると、こういう精度で能力値はこれくらいのものができるはずだ」ということをお話できる人間(技術者)が必要なのです。

モーターを製造していないのに、モーターを研究していた私が日本精工(NSK)に入社を決めた理由

このようなことを学生時代に最初から知っていて、日本精工(NSK)に入社したのかと思わるかもしれませんが、実は日本精工(NSK)の社名も、大学の研究室の先生に言われるまで知りませんでした。

モーターには最低2個以上の軸受が使われているのですが、学生時代モーターの中を開けることはありませんでした。

そういったこともあり、私が就職活動をしようとした時に最初に考えていたのは、B to Cの家電メーカーでした。

部品メーカーって聞くと、「部品って製品じゃない」と学生時代は思っていたのです。

しかし、大学の先生のお話を聞いて、「家電製品など普段私達が目にしている製品は、部品メーカーで働く技術者集団が頑張って開発した製品の集合体なのだ」ということに気が付きました。

また、「日本精工(NSK)が新しいことをしようとしていて、これから電気電子の分野に力をいれようという動きがある」ということを聞き、「日本精工(NSK)に入社すれば、イチからできるぞ!」と思い入社しました。

自動車は自動運転の時代ですが、今後自動車に限らず、さまざまなものが自動化、電動化していきます。

そうすると、将来、その部品自体が考えて自動的に動きはじめるようになるのではないでしょうか。これから様々な業界に需要のあるこの電気電子の技術はとても期待の大きい分野の一つです。

私が仕事をする上で大切にしている4つのこと。

解析の仕事において、近年ツールがかなり発達しているので、数式を自分で書いて計算をしなくてもパソコンが計算をして答えを出してくれるようになりました。

しかし、パソコンだけに頼っていると、実際にはありえない数値が計算で出てきてしまうことがあります。

例えば、磁気解析では、機械的にはその数値は現実的にはありえなくても、磁気が成立してしまえば、答えとして出てきてしまうのです。

最終的にこれは、妥当だ、これはありえない数値だと判断するのは人間(技術者)になります。ですので、そういった感覚を養うために、学生時代の数学の勉強や、実験でいっぱい失敗をして経験をしておくということが大切だなと思っています。

私が仕事をする上で大切にしているのは、

1)一生懸命仕事をする。

2)目的を考えて仕事をする。

3)相手の気持を組んで仕事をする。

4)楽しんで仕事をする。

ということです。

育児をしながら仕事をすることはごく自然なこと。

「育児と仕事の両立」というととても頑張っているという風に聞こえるかもしれませんが、

私が育児をしながら仕事を続けている理由は、自然のなりゆきと言いますか、辞める理由がなかったからです。

もしかすると、出産、育児で仕事を離れていく方の多くは、「仕事自体が嫌だった」「会社の制度が整っていなくて、うまく続けることができなかった」「体力的にきつかった」というような何かしら「負の理由」があるのかもしれません。

私の場合、そういった理由がなかったですし、日本精工(NSK)で働く先輩ママさん社員や周りの環境をみても、育児をしながら働くというのがすごく普通で当たり前だったので、続けて仕事をしています。

私の場合、「育児を優先したい」という考えを会社に伝えてあり、理解をしていただいています。

保育園の迎えなど、決まった時間に帰宅する必要があるため、時間短縮勤務制度を利用しています。また、業務内容も考慮していただき、育休を取得する前までは、実験など体を動かす仕事を多くしていましたが、なるべく体力的に無理のないように、パソコンに頑張ってもらう仕事、解析の仕事などを割り当ててもらっています。

もちろん日本精工(NSK)には育児中のママ、パパを支援する制度が整っていて恵まれた環境だということもありますが、こういった、周りの上司や社員の理解と協力があるからこそ続けられています。

育児が一段落したら、また実験や設計、開発などに復帰したいと考えています。


中村さんありがとうございました。

育児のこと、仕事のことなど、とてもイキイキとお話しされている姿を見て、私達が感じていた、育児と仕事に対する不安も解消することができました。

「好きだから続けている」、「辞める理由がないから続けている」という言葉、「ツールが発達しても最終的に判断するのは人間である技術者」という言葉がとても印象に残っています。

とても素敵なお話ありがとうございました。

次回は、「専門以外の異分野にチャレンジするワーキングマザー」です。

お楽しみに〜

日本精工(株)技術開発センター見学会開催決定!!

https://rikejocafe.jp/blog/296


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