【筑波大学生物資源学類レポートNo5】女性研究者としての働き方 農林生物コース

蔬菜・花卉学研究室に所属するお二人の理系女子先輩にお話しを伺いました。

博士号を取ってからの女性の働き方を紹介します。

女性研究者としての働き方

院に進み研究者になろうと思ったきっかけを教えてください

院に進もうと思ったのは、4年で研究室に配属されて実験をしたときに「楽しい」と思いこれを続けたいという思いから院に行くことを決めました。

大学は農学部で、研究では『収穫後果物が成熟や老化でおいしくなくなることがありますが、どうやったらおいしい期間を延ばせるか』という研究をしていました。

修士課程と博士課程の違いはありますか?

やはり、博士課程の方が、責任が大きいです。

また、博士課程では国際雑誌などに論文を提出したり、学会に出席したりと忙しく感じました。

現在どのような研究を行われていますか?

組換えトマトを利用したミラクリン生産に関わる研究を行っています。

ミラクリンとは西アフリカで栽培されている「ミラクルフルーツ」の実から抽出されるタンパク質です。

「すっぱい」という感覚を「甘い」に変えることができるタンパク質になります。

 

例えば、ミラクルフルーツの実を口に含んで2~3分した後にプレーンのヨーグルトを食べると砂糖が入っていないのに、砂糖がはいっているように甘く感じて食べることができます。

これは、ミラクルフルーツに含まれるミラクリンが舌の味蕾にくっつき、酸の影響で構造が変化することで、甘味受容体を刺激して甘く感じるからです。

糖分の摂取を制限されている生活習慣病の方への精神的ストレスの緩和やダイエットによいのではないかということで注目されました。

 

しかし、ミラクルフルーツが日本での栽培が厳しく、また結実率(実のなる確率)が良くなかったことと、冷凍輸送しなくては効果が薄れてしまうということがあり、日本国内での安定的な栽培が困難でした。

そこで、トマトに遺伝子組換え技術を利用してミラクリンを効率よく生産させるための開発・研究をおこなっています。

 

なぜトマトを利用されたのでしょうか?

 

トマトはすでに日本では1年中栽培することができ、収穫量が多いからです。

トマトで取り組む前にはレタスやイチゴでも試みました。

レタスは世代を進めるとミラクリンを蓄積しなくなるということがわかり、イチゴはミラクリンの蓄積量が少ないという問題点がありました。

トマトでは世代を進めても蓄積し、蓄積量も多かったことからトマトで取り組むことになり、研究を続けています。


自分の好きな植物の研究に携わっている棚瀬さんとっても素敵でした。

ありがとうございました。

 

これから増えてくる新しい職種 科学の専門知識を持つからこそできる「リサーチアドミニストレータ(プログラムコーディネータ)」

筑波大学では「プログラムコーディネータ」として働かれている住吉さん。

博士号を取得して研究者以外の働き方を教えていただきました。

博士課程へと進学されたきっかけを教えてください。

まず大学院へ進学したのは4年で研究室に配属になった時に研究の続きをしたいと思い、院への進学を決めました。

博士課程へ進んだのは、自分が学んできたことを社会に還元させていきたいと考えたのと、もっと専門性を身につけたい気持ちがありました。また博士号を取得することで将来の選択肢が広がるのではないかと考えたからです。

 

“プログラムコーディネータ”という職業は具体的にどのようなことを行う仕事でしょうか?

一般的には「リサーチアドミニストレータ」という職業です。

アメリカなど外国ではよく知られている職業です。

 

仕事の内容としては、予算の配分やプロジェクトの運営、大学間や大学と企業・研究所間の情報交換などを行う取りまとめ役的な存在です。

この職業は少しずつですが日本でも増えてきています。

リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備

“我が国の大学等では、研究開発内容について一定の理解を有しつつ、研究資金の調達・管理、知財の管理・活用等をマネジメントする人材が十分ではないため、研究者に研究活動以外の業務で過度の負担が生じている状況にあります。このような状況を改善するため、文部科学省は、研究者の研究活動活性化のための環境整備及び大学等の研究開発マネジメント強化等に向け、大学等における研究マネジメント人材(リサーチ・アドミニストレーター:URA)の育成・定着に向けたシステム整備等を行っています。

(URA:University Research Administrator の略)

 

引用:文部科学省HP“

なぜ増えてきているのでしょうか。

今までは、博士課程をとった場合は、そのまま研究職につくことが多く、その道しかないと思われていました。

しかし、本当は研究職という道だけではなくて、知識を持っている人がもっと活躍できる場所があると思います。

例えば、知識を生かして、研究プロジェクトの管理をしたり、新聞記者になったり。

外国にはそのような場所がたくさんあります。研究現場の管理業務や弁理士、研究所の広報なども理系の方がなさっている場合も多いです。日本の大学も最近はそれに習おうという動きが見られます。

普通、経理は文系というイメージがありますが、研究という特殊な環境内では専門知識があるからこそスムーズに行うことができると思います。


博士をとると研究職という道しかないと個人的に思っていましたが、

いろいろな働き方があるのだととても勉強になりました。

ありがとうございました。

 

博士号を取ってからの女性の多様な働き方を知って、皆さんどのように感じましたか?

これをみて、博士を目指す女性、筑波大学に行きたいなと思ってくれる高校生の方が増えると嬉しいです☆

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