私たちの生活にはなくてはならないシリコンウェーハとは? グローバルウェーハズ・ジャパン(株)さんを訪問しました@新潟
グローバルウェーハズ・ジャパンさんの本社のある、新潟は聖籠町にやってきました。
みなさん、シリコンウェーハとは何なのか、何に使われているのか知っていますか?
普段、私たちの生活の中ではあまり耳にしないシリコンウェーハですが、じつは私たちの生活を豊かにしてくれている偉大な存在なのです!!
その素晴らしさを、会社の様子やそこで働く先輩女子技術者の先輩インタビューも含めてレポートします。
そもそもシリコンウェーハとは?
この円盤状のものがシリコンウェーハです。
半導体の基盤になる材料です。これがないと半導体を作ることができません。
これらの材料から作られた半導体は例えば、USBメモリや携帯電話のSIMカードといったデータ保存に用いるフラッシュメモリ。大きいものですと、車のモーターや電車のスピード制御にもパワー半導体として使われています。
そのほか、携帯電話、PC、TV、車、そしてなんとトイレのウォッシュレットなどにも、シリコンウェーハは使われているのです。
調査のために野生動物の体内に埋め込まれるチップにも使われているというのですから、世界のいたるところでシリコンウェーハが広く活躍していることが分かります。
当たり前のように使えている電子機器の数々…
私たちは、シリコン半導体のおかげで快適で豊かな生活をおくれているといっても過言ではないのですね!
シリコンウェーハはまさに陰の立役者、縁の下の力持ちです。
iPhoneなどのスマートフォンのカメラにもシリコンウェーハは使われています。純度の高いシリコンウェーハを作る技術により可能になったからこそ、カメラの高画質化が実現しました。
また、グローバルウェーハズ・ジャパンさんで力を入れられている製品はECASウェーハです。
略さずいうと”Engineered Customizable Application Specific”
これは、お客様からの注文に応じてつくられた特殊なウェーハです。
ウェーハをカスタマイズしてつくるのは同業他社ではなかなかやっておらず、ニッチな分野をめざして、高品質なウェーハを生産しお客様へ提供されています。
ただの円盤ではないそこに隠された技術とは?
さて、私たちの生活を見えないところで支えているシリコンウェーハですが、その見た目からして、「丸く薄くスライスしただけのただの円盤だ」とお考えの皆さん。
実は違います。製品化にはとても厳しい規格が要求され、とても高度な技術が必要なのです。
その厳しい規格とは、
1.東京ドームに置き換えると、ドーム内には30μmの砂粒が100個以上あってはいけない
1つ目が、パーティクル(ゴミ)があってはいけないこと。
これは、シリコンウェーハの口径300mmの円板の上に37nm(髪の毛の1/2000の大きさ)の大きさのゴミが100個以下であることが要求されます。
これを東京ドームに置き換えると、なんとドーム内には30μmの砂粒が100個以上あってはいけないということになります。
驚きじゃないですか?
2.国立競技場で置き換えると、髪の毛2本分以下の平坦度が必要
2つ目は、平坦度―板は平らでないといけない
これは、26mm×8mmで凹凸が38mm以下であることが要求されます。
国立競技場で置き換えると、髪の毛2本分以下の平坦度でなければなりません。
そのほかにも、炭素など余分な原子の有無に関しても条件があり、最終的にできあがるシリコンウェーハは不純物の少ない、平らなものになります。
ではどのようにしてシリコンウェーハは作られるのでしょうか?
高温で溶かしたシリコンをゆっくり回転させながら引き上げ結晶化させます。
そうしてできた円柱を薄く切断します。出来上がった製品は全て先ほどの厳しい規格を満たしているか、検査します。
これらの製造方法は企業秘密で各メーカが競い合っている生産技術です。
グローバルウェーハズ・ジャパンで働く女性技術者さんにお話を伺いました。
本日、インタビューに応じてくださったのは潮田さん、高須さん、村山さん、荒木さん、4人の女性技術者の方々です。
では、さっそく色々お聞きしましょう!
お名前 | 荒木さん | 村山さん | 高須さん | 潮田さん |
---|---|---|---|---|
所属部署 | 製品技術 | 生産技術 | 評価技術 | プロセス技術 |
学生時代の専攻 | 電子機械工学 | 材料科学工学 | 物理学 | 材料工学 |
就職したきっかけ |
前身である |
大手であり、 大学の先輩も就職 していたから |
学生時代に会社と |
材料関係の仕事に 就きたく、 ”産業の米”と呼ばれる シリコンウェーハに 興味を持った |
みなさんの部署は具体的にどういったことをしているのですか?
潮田さん:私は、アニールウェーハの開発をしています。熱処理や、熱を加えたときの欠陥のようすを研究しています。
高須さん:評価技術は、ウェーハ中の欠陥や不純物を評価します。また、その評価方法の検討もしています。
村山さん:研究開発したものを工場に移管して、量産できるようにします。また、試作品の製造手配、出荷管理もします。
荒木さん:製品の設計をして試作、評価をします。その結果が良ければ、量産をしていきます。
馴染みのうすい領域のせいか、とても難しそうに聞こえる半導体の世界・・・
なので、ここで働いているみなさんは、大学時代から半導体を学んでいたのですか?
高須さん:大学でグローバルウェーハズ・ジャパンと共同研究していたので、ある程度知識はありました。
潮田さん:材料工学部ではありましたが、半導体と関係のないことを研究していましたよ。
村山さん:大学時代は、無機化学の分野を学んでいて、半導体については一般的な知識しかありませんでした。
高須さんのように、大学時代からシリコンウェーハの研究をしている方もいれば、半導体とは無関係の分野を学んでいた方も多くいるそうです。
そこで、気になるのが入社後の教育。
グローバルウェーハズ・ジャパンさんでは、充実した教育システムが築かれていました!
入社1年目・・・シリコンや結晶についてのことはもちろん、安全教育や実習、技術報告書の書き方などを教えます。また、WA(ダブルエー)も始めます。
入社2年目・・・特許提案の書き方や原価管理といったお金の管理も学んでいきます。
さらに、入社して6-7年の中間技術者には、特許戦略やマネジメント、試験研究計画書の書き方も学んでいくそうです。
ところで、WAって何なのでしょう?
WAとはワークアサイメントと呼び、入社1年、2年、4年時にある教育です。
高須さん:私の場合、チューターは荒木さんでした。最初に立てた計画通りに出来ず、目の前のことばかり考えてしまったとき、「視野が狭くなっているのではないの?」とアドバイスをいただきました。WAを通して仕事のやり方を教えていただけて本当に良かったと思います。
先輩チューターさんの優しくも厳しいアドバイスやダメだしを通して、技術者・研究者としての”解決力”を身に着けていく。
グローバルウェーハズ・ジャパンさんの伝統的ともいえる教育法は、まさに”温故知新”です!
台湾の外資系企業となったグローバルウェーハズ・ジャパンさんですが海外とのコミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。
潮田さん:M&Aで今後さらに会社が大きくなっていくので、今以上に英語は必要になってきます。
そのため、社員も英語力アップも目指しており、社内の英会話教室に通って英語を学んでいます。とても楽しいですよ。
シリコンウェーハのどんなところに魅力を感じますか?
潮田さん:ウェーハ中の炭素がよい働き、悪い働きなど、条件によって働きが変わるのが面白いです。
高須さん:仕事では電気特性を見ており、電気シグナルが何に対応しているのか調査しています。大変ですが、とても魅力的です。
村山さん:結晶状態を少し変えるだけで性質ががらりと変わるところが面白いです。お客様のニーズにこたえて、いい結果が出たときの達成感はひとしおです。
荒木さん:高い純度のウェーハに不純物があると、特性が変わるところが魅力です。新しい発見があるのも楽しいです。
いかがでしたでしょうか、高品質な製品を作る思いに技術者としての覚悟やプライドを感じますよね。
かっこいい女性技術者がグローバルウェーハズ・ジャパンさんでは活躍されています!
グローバルウェーハズ・ジャパンさん取材ご協力ありがとうございました。
グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社
HP:http://www.sas-globalwafers.co.jp/
本社所在地:新潟県北蒲原郡聖籠町東港六丁目861番地5
事業内容:シリコンウェーハの製造および販売
生産拠点:新潟(聖籠町/関川村)、山形(小国町)、山口(周南市)
営業拠点: 東京(品川区)、九州(福岡市)